今回は45頁から47頁。それにしても綺麗でカワイイポスターじゃ。
歴史を紐解くと、ギュンター・ヴァーグナーの娘婿のフリッツ・ヴァインドルフの時代に、ポスターの展覧会を積極的に主催し、参加作品は後に商業ポスターの古典になったとか。
また彼は、ペリカンの絵の具で描いた芸術作品の展覧会も企画し、買い上げた優秀作品は現代の膨大なペリカン・コレクションの一部をなしている・・・と文房具の研究のペリカンのコーナーに記載されている。
以前紹介した不気味なポスターなどはその時に見いだされた物かもしれない。
46頁の下で紹介されているのが、Pelikan P1-RG。Parker 51の大攻勢にさらされてPelikanもHooded Nib製品を出さざるを得なくなり、しぶしぶ?発売したモデル。
カートリッジへの移行期に回転吸入式で出したためか、ほとんど売れなかったのではないかな?
実は拙者は大好きなのだが、まったくといっていいほど人気がない。BBのペン先付きも頻繁にオークションを賑わしていた事があるのだが、どれも非常に安い値段で落札されていた。
弱点は細軸のためか、回転吸入式の機構が壊れやすいこと。そして非常に修理しにくい構造になっている。
拙者が【ペリカンの暗黒時代】と呼んでいるのは、P1の時代とMxxの時代。
そのMxxは47頁に掲載されている。けっこうな本数が日本市場でも発売されたはず。
またデュポンのクラシック・シリーズのベースにもなっていたので、みかける事は多いが、良い書き味のブツにめったに出会わない。また調整の巾が狭いので、調整していて面白くない。調整師からみても、Mxxの時代は暗黒時代なのじゃ。
それにひきかえ、Pelikanoはペリカンの嘴をモチーフにしたクリップを残している。(画像は47頁の左上)
もちろんスチール製のペン先だが、筆圧をかけて書く人にはちょうど良い。値段の割には良い・・という程度だがな。
この【そこそこに良い】【Parker 51に追随】の2つが、往年のペリカンのブランドイメージに傷を付けたと拙者は考えている。
MontblancはHooded Nib として2桁番シリーズを出したが、No.149もフラッグシップとして残しておいた。そしてHoodで被われている事ではなく、Parker 51とは違う独特の柔らかな書き味で圧倒した。悪かったのは素材の脆さだけ・・・
PelikanはParker 51と同じような硬いペン先で勝負したが、ラウンドニブもどきだったため、書き味がParker 51よりかなり悪くなってしまった。機構も良く壊れる・・・これでは勝てるわけはない。早めに切り上げて400NNの復刻をしたのは正解じゃった!
もし日本からの強烈なPushで往年のシリーズが復刻されなかったら、既にPelikanというブランドの萬年筆は消えていたかも知れない・・・・
解説文にはもっと面白いことが書かれていそう。attempto(1477番)しゃんに補足説明をお願いしたい。よろしくおねがいしま〜す!
☆☆ ここからがattempto(1477番)しゃんからのコメントから転記したものじゃ!
さて、ボールペンの普及でインク事業は打撃を受け、学校・オフィス向けの5、10、25リットル入り(樽?)は出荷を停止。インク事業の復活はカートリッジの登場のおかげで、1961年にはペリカーノを土台に大人向けとしてP25、P15モデル、1965年にP20、P30モデルを発売(吸入式としてM20、M30を用意)。ところが、生徒向けに好評を博したカラフルなカートリッジ式万年筆は、一般市場には受け入れられませんでした。にもかかわらず、ペリカン社は1965年に400シリーズの製造を停止し、機材も破棄。以後ペリカーノ事業に集中するものの、モダンなペンを得意とするラミー社の登場で、万年筆市場における地位はさらに低下。400モデルの人気は1973年から78年に日本向けに再発売されたことにも明らかでしたが、すでにペリカン社は必要な製造機材を持っておらず、別会社に生産を委託せざるをえなかったのです・・・まさに「暗黒時代」ですね。