2009年12月02日

水曜日の調整報告 【 Waterman ル・マン200 18K-M 丸研ぎからの脱却 】

2009-12-02 01 今回の生贄はル・マン200。1983年に発売されたル・マン100の小型版として発売された。ペン芯などはより安価モデルと同じ物を流用しているのでありがたみは少ないが、性能は決してル・マン100に劣ってはいない。

 ル・マン100では最初期モデルで、筆記途中で突然インクが切れるトラブルが頻発したが、ル・マン200ではそのような現象は発生しなかった。ル・マン100にはサントネール(純銀)とかブライヤーとかの素材変化のバリエーションがあったが、ル・マン200では模様のバリエーションが主体だったと記憶している。キャビア模様なんて魅力的だったが結局は買わずじまいだった・・・残念!

2009-12-02 022009-12-02 03 症状はインクフローが悪いということだが、実はピントもずれている。

 ここからインクが出ると筆記者が考えている部分と、実際にインクがつく部分に視差があるため、思い通りの字が書けない・・・という現象を【ピントがずれる】と、stand_talkerしゃんが数年前に定義した。

 今回はインクフローの改善と併せて、ピントをあわせる調整も施しておこう。

2009-12-02 042009-12-02 05 こちらは横顔。依頼者の筆記角度だと一番おいしいところが平面になっていない。従って、インクフローの悪さと相まって、ゴリゴリとした書き味になっている。

 そこでスリットを広げるとともに、ピントをあわせるための細工+スイートスポットの位置変更を施すことにする。
 
2009-12-02 06 こちらが首軸から外したペン先の全体画像。エボナイト製ペン芯の上に乗っているわけではないので、特にエボ焼けはしていない。

 ペン先の形状はル・マン100に酷似している。相似形(やや小型)と言って良い。初めてル・マン100のペン先をNo.146と書き比べた時、圧倒的に書き味がよいと感じた。こちらがMでNo.146がFだったということもあるが、ペン先のハート穴位置からペンポイント部までに尖っていく形状は、ペン先を柔らかくするのに大きく貢献していると思われる。

2009-12-02 07 首軸内部に隠れているのはホールマークではなく、ただの刻印。上の文字列と下の文字列の間に、萬年筆をかたどった線がある。凝っている・・・

 今回記事を書くに当たって初めて、これが萬年筆であるとわかった。向かって右側がペン先じゃな!

 首軸内部に隠れている部分は全体の25%程度。本当は33%ほど欲しいところだが、Watermanでペン先がぐらつくなどのトラブルはほとんど無いので、問題はないのかもしれない。最悪はマーレンかな?

2009-12-02 08 こちらが調整後のペン先先端部。スリットを広げ、ペンポイントの頂上をStubのように削り取った。これでピントのズレは無くなる。

 拙者が一番好きなペンポイントの形状は、No.149の開高健型ペン先のMで、先端部は平たい形状をしたもの。通常は丸い仕上げのMだが、たまに四角く仕上げられたMがあった。こいつはピントのズレも無く、実に気持ちよく書ける。通常のMから簡単に研ぎ出せるので、一度試してみる価値はありますぞ!

2009-12-02 09 こちらが調整後の横顔。スイートスポットにあわせて平面を作り込んだ。インクフローの改善と併せて、ぬらぬらの書き味が実現できた。

 特にそれように調整は加えていないが、ペンをひっくり返して書いても、わりと【使える】のがル・マン×00シリーズの特徴。気が向いたらひっくり返して書いてみるのも一興?


【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 

Posted by pelikan_1931 at 07:30│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整