【万年筆評価の部屋】を開設した当時、目標としていたのは徳大寺有恒氏の人気車評シリーズ『間違いだらけのクルマ選び』だった。
個人の好みで万年筆をバッサバッサ切っていく!というつもりだったのだが、工業製品の代表である車(人間の命を守る品質)と、筆記具(命に別状無い)とを、似たような土俵で評価してもしかたないな・・・とすぐに気付いた。
それに、当時は万年筆であると言うだけで、たとえどんな物であろうとも愛おしかった。現在ではずいぶんと了見が狭くなってしまった。何故だろう・・・と考えてみたが、どうやら【ミニ檸檬】以降に了見が狭くなったと思われる。
それ以降、60年代Montblancの2桁番、インキ止め式、スチールペン先・・・などを受け入れられなくなった。伊太利亜製万年筆もほとんど買わなくなった。
そんな今なら【間違いだらけの万年筆選び】シリーズをBlogで出来るかな?・・・とも考えてみたのだが、徳大寺方式はなじまない。
そこに友人がヒントをくれた。iPhoneの有料アプリである【奥田政行の食材スーパーハンドブック】じゃ。
これはスーパーで食材(野菜、果物、魚介、肉)を買う場合に、新鮮な状態と、そうでない状態を写真で比較し、解説がついているというもの。
たとえば、鶏肉(モモ)であれば、新鮮な物は【盛り上がるような弾力があり、肉はピンクがかった肌色】。新鮮でない物は【肌色が黒ずみ、肉質がベタっとした感じ】と解説され、それぞれに写真が付いている。
すなわち、個別の車種について好き嫌いを表現しているのではなく、日常的に出会う代表的な食材について、新鮮な状態と、そうでない状態を比較している。
これを見せられたときに、拙者がやりたかったのはコレだなぁ・・・と感じた。
店頭で萬年筆を購入する場合、どこに気をつけて買えばよいのか?たとえば、スリット、段差、ペンポイントのアンバランス・・・等々、いろいろ注意すべき点はある。これらを集められれば非常に役に立つ資料になるであろう。
それほどたくさんの切り口は無いので、アプリにするほどでもない。ただし、Blogをキーワード検索するのでは面倒なので、どこかにまとめて掲載しておく必要はある。
Vintage萬年筆選びまで手を広げると、辞典をつくるほど大変な作業になるので無理であろう・・・なんて夢想しながら楽しんでいる。
ただし、まとまった作業をするには、このblogの毎日更新や、WAGNERの活動自体が重荷になるので、そのあたりも含めて考慮中・・・じゃ。
萬年筆業界の興隆の為には何をすれば良いのか・・・それを元に判断したい。
左端は最新のエラボーのペン先、真ん中はヘリテッィ 91のペン先、右端は2006年製造のカスタムカエデのペン先。左二つには、製造年月日の頭にアルファベットが付いていない。
左から、1209、909、a1206となっている。下二桁が製造年の下二桁で、その前の数字が製造月、最初のアルファベットが製造工場とか言われていたように記憶している。
2006年から2009年の間に、ペン先の製造番号体系が変わったらしい。もし継続的に作られているモデル(かえで)の最新ロットのペン先番号の頭にアルファベットが付いていなければおもしろいなぁ・・・というように細かいことにこだわっている人間には、blogの方が好みなのだがな。