2010年04月12日

萬年筆四方山話 その15

【万年筆評価の部屋】を開設した当時、目標としていたのは徳大寺有恒氏の人気車評シリーズ『間違いだらけのクルマ選び』だった。

個人の好みで万年筆をバッサバッサ切っていく!というつもりだったのだが、工業製品の代表である車(人間の命を守る品質)と、筆記具(命に別状無い)とを、似たような土俵で評価してもしかたないな・・・とすぐに気付いた。

それに、当時は万年筆であると言うだけで、たとえどんな物であろうとも愛おしかった。現在ではずいぶんと了見が狭くなってしまった。何故だろう・・・と考えてみたが、どうやら【ミニ檸檬】以降に了見が狭くなったと思われる。

それ以降、60年代Montblancの2桁番、インキ止め式、スチールペン先・・・などを受け入れられなくなった。伊太利亜製万年筆もほとんど買わなくなった。

そんな今なら【間違いだらけの万年筆選び】シリーズをBlogで出来るかな?・・・とも考えてみたのだが、徳大寺方式はなじまない。

そこに友人がヒントをくれた。iPhoneの有料アプリである【奥田政行の食材スーパーハンドブック】じゃ。

これはスーパーで食材(野菜、果物、魚介、肉)を買う場合に、新鮮な状態と、そうでない状態を写真で比較し、解説がついているというもの。

たとえば、鶏肉(モモ)であれば、新鮮な物は【盛り上がるような弾力があり、肉はピンクがかった肌色】。新鮮でない物は【肌色が黒ずみ、肉質がベタっとした感じ】と解説され、それぞれに写真が付いている。

すなわち、個別の車種について好き嫌いを表現しているのではなく、日常的に出会う代表的な食材について、新鮮な状態と、そうでない状態を比較している。

これを見せられたときに、拙者がやりたかったのはコレだなぁ・・・と感じた。

店頭で萬年筆を購入する場合、どこに気をつけて買えばよいのか?たとえば、スリット、段差、ペンポイントのアンバランス・・・等々、いろいろ注意すべき点はある。これらを集められれば非常に役に立つ資料になるであろう。

それほどたくさんの切り口は無いので、アプリにするほどでもない。ただし、Blogをキーワード検索するのでは面倒なので、どこかにまとめて掲載しておく必要はある。

Vintage萬年筆選びまで手を広げると、辞典をつくるほど大変な作業になるので無理であろう・・・なんて夢想しながら楽しんでいる。

ただし、まとまった作業をするには、このblogの毎日更新や、WAGNERの活動自体が重荷になるので、そのあたりも含めて考慮中・・・じゃ。

萬年筆業界の興隆の為には何をすれば良いのか・・・それを元に判断したい。


2010-04-12 052010-04-12 062010-04-12 07左端は最新のエラボーのペン先、真ん中はヘリテッィ 91のペン先、右端は2006年製造のカスタムカエデのペン先。左二つには、製造年月日の頭にアルファベットが付いていない。

左から、1209、909、a1206となっている。下二桁が製造年の下二桁で、その前の数字が製造月、最初のアルファベットが製造工場とか言われていたように記憶している。

2006年から2009年の間に、ペン先の製造番号体系が変わったらしい。もし継続的に作られているモデル(かえで)の最新ロットのペン先番号の頭にアルファベットが付いていなければおもしろいなぁ・・・というように細かいことにこだわっている人間には、blogの方が好みなのだがな。

Posted by pelikan_1931 at 09:00│Comments(12) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 
この記事へのコメント
皆さん、ヒントをありがとしゃん。

少しだけ参考になりそうな資料・・・という目標でやってみましょう。
Posted by pelikan_1931 at 2010年04月14日 07:32
今後の展開 とても楽しみにしています 一人でも多くの万年筆ファンを作りたいです 別にマニアにならなくても 万年筆っていいなあ 素敵な世界やなあ しかも毎日ちゃんと使えちゃうので集めるだけでない 充実感が絶対あると思います ちょっとしたヒントで人は万年筆に対する見方が変わると信じております
Posted by kammy at 2010年04月13日 16:46
間違いだらけの自動車選び は、一人の筆者が様々な車を比較する事に意義があったと考えます。基準値のようなモノでしょうか。
当然、基準値に対する補正を行い、それぞれの個人の好みに当てはめる作業が必要ではあります。
ですから、師匠の感覚でちまたに溢れる万年筆を片端から評価して頂く事も重要ではないかと思います。

それとは別に、万年筆選びの観点 と言うのも、必要かと思います。
Posted by きくぞう at 2010年04月13日 09:06
師匠

こんばんは、Itomoro51です。先日の裏定例会in大宮ではお世話になりました。…「【ミニ檸檬】以降に了見が狭くなった」とありますが、差し支えなければどのような理由により心境の変化あったのか、教えて戴けますか?
Posted by Itomoro51 at 2010年04月13日 00:27
承知しました!
5月は参加できない可能性が高いのですが、6月は行きたいと思いますのでよろしくお願いします。
Posted by プラーナ at 2010年04月12日 23:12
二年前にワグナーに入った当時は海外製品のビンテージばかりに目が向きましたが今ではまた違った視点を持つことができつつあります。
今だから師匠のビンテージ万年筆の選び方って興味津々ですが…

久々にテレスコープのコルク交換も見てみたいなぁ〜(笑)


Posted by しげお at 2010年04月12日 22:43
TomCatしゃん

大歓迎です。では連休最後の元町で!
Posted by pelikan_1931 at 2010年04月12日 20:52
蓮覇fe500rs しゃん

9月と12月の間の変化といえば、10月の創立記念日・・・
そこで何か変わったのかな? そうだとすれば、かなり特定できる・・・
Posted by pelikan_1931 at 2010年04月12日 20:49
プラーナしゃん

ありがとしゃん。定例会で声をかけて下され。構想段階から相談したいので。
Posted by pelikan_1931 at 2010年04月12日 20:47
TomCatです、2度目の書き込みになります。

小生のパイロット・カスタム・カエデ(1995年購入)のニブ
には「A195」の刻印があります。

追伸

5月8日の関西大会でWAGNERに入会させて頂きたく思います。
Posted by TomCat at 2010年04月12日 19:13
失礼します。パイロットの番号の件にて、気になる点を一つ。

現エラボーに関してですが、こちら所有には『A609』とあります。
Posted by 蓮覇fe500rs at 2010年04月12日 11:37
店頭で萬年筆を購入する際の留意点というのは、
万年筆に慣れていない人にとってとても有意義だと思います。
(試し書きにしたって、慣れていない人にとっては、なんだかよくわからないままに、ぐるぐるやっているだけのような気がします)

アプリ化も含めて労力的にお手伝いできることがあればお声かけください。
Posted by プラーナ at 2010年04月12日 10:37