2010年06月16日

水曜日の調整報告 【 Sheaffer Lifetime 14K-M 何故か物足りない・・・ 】

2010-06-16 01今回の依頼品はSheafferのライフタイム。非常にファンが多い萬年筆じゃ。レバーフィラーであり、ゴムサックさえ交換すれば、半永久的に使える!コンバーター式の場合、WatermanのCFシリーズのように口のデザインが変わればアウト・・・になってしまう。誰にでもサック交換が出来るのもファンが多い理由であろう。サックセメントとサックを1,000円ほど買えば、一生修理できよう。

依頼者の不満は、なんとなくしっくりこない・・・というもの。とりたてて不満は無いがザラつくのかなぁ・・・とか。

実際には段差もあり、スリットも詰まっているのだが、それでもあまり不満を感じさせないのはさすがライフタイム!

2010-06-16 022010-06-16 03ごらんのように、ペン先はガチガチに詰まっている。ニブがものすごく厚いので少々力をかけてスリットを開こうとしてもビクともしない。拙者が渾身の力を込めても微動だにしなかった。

ペン先に刻印がある4129759は何を意味するのかな?パテント番号かな?【Sheaffer 4129759】でGoogle検索してみたが、意味のある情報は得られなかった・・・

2010-06-16 042010-06-16 05横顔を見るとニブの厚みがわかる!こりゃすごい。何故にここまで肉厚にする必要があったのか?欧州のメーカーが金を節約するため?に薄いペン先の萬年筆を作っていたので、米国の富の象徴として作ったのか?理由はよくわからないが肉厚のペン先はFでは実に気持ちよい。ただ今回のようにMとなると、書き味はボールペンと変わらなくなってしまう。そこには調整で少し味付けが必要じゃ!

2010-06-16 06基本的に修理済萬年筆なので、ゴムサックは生きている。ただし素材が薄いので勢いよくはインクを吸わない。

そこでより肉厚のゴムサックに変えておこう。これでインクを吸入するスピードもあがり、インク漏れのリスクも多少は減るだろう。

2010-06-16 07ペン芯とペン先を分離すると、固まったインク滓がボロボロと紙の上にこぼれ落ちた。古いブルーブラックが固まるとどうなるか・・・という恐怖を教えてくれる。数十年を経過し、とてもアスコルビン酸で溶ける様な状態ではないため、ナイフで削り落とした。

2010-06-16 08こちらがスリットを開いたペン先。ペン先の裏側から0.15个侶箚屮押璽犬鮑垢傾んで、少しだけ左右にクイクイと捻り、そのまま抜き取った。

ペン先の表と裏は、ロットリング洗浄液を浸した綿棒で丹念に擦り、最後に金磨き布でゴシゴシと、プラチナ鍍金を落とさない程度に擦った。

2010-06-16 09こちらがペン先のスリットの状態。たったこれだけ開くだけで、インクフローは上がり、書き味は激変する。

隙間ゲージをペン先の表側から入れて捻ると、金がスリットの両側に盛り上がるので、出来るだけ裏側から隙間ゲージを入れるようにしてくだされ。特にスリット周辺がプラチナやロジウムなど、銀色系で鍍金されている場合は、盛り上がりを耐水ペーパーで落とせないのでな。

2010-06-16 10こちらが依頼者の筆記角度に合わせて研磨したペン先の横顔。かなり寝かせて書いても気持ち良いように研いだ。

インクはにゅるにゅると出て来るが、あくまでも当時のSheafferの書き味から逸脱はしないように注意した。Sheafferの書き味をPelikan風にしてしまっては失礼だからな。あとは引き渡し時の書き出し掠れの微調整のみ。


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  

Posted by pelikan_1931 at 09:00│Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 質問・アンケート 
この記事へのコメント
Mont Peli しゃん

ありがとしゃん!ペン先ごとのSerial番号とは気付かなかった!
そうとう品質管理に力を注いでいたと思われますな。
Posted by pelikan_1931 at 2010年06月21日 09:07
pelikan_1931さん

それを聞いて安心しました。まだあるのでよろしくお願いします。
Posted by yamamoto at 2010年06月19日 21:28
>ペン先に刻印がある4129759は何を意味するのかな?

これは、nib serial numbersで7桁の個体番号ですね。
根拠資料は、PENTRACEのSheaffer's Flat-Top PensやRichard Binderの
サイトの同名の記事。
Posted by Mont Peli at 2010年06月19日 09:02
yamamotoしゃん

いろんなメーカーの萬年筆を経験できるので楽しく調整してます。一次MontblancとPelikanだけという時があったので・・・
Posted by pelikan_1931 at 2010年06月18日 06:58
kammyしゃん

同感!レバーフィラーでお願いしたいものです。
Posted by pelikan_1931 at 2010年06月18日 06:55
連日、私のペンがブログを占領して恐縮です。4月のペントレで複数本持ちこんでしまったのを、pelikan_1931さんに引き受けてもらいました。

私もこの模様、この形が好きで入手したんですが、指摘されている通り、書き味はまるでボールペンのようでした。スムースには書けるんだけど「万年筆」を買ったのに。。。購入先はアメリカのヴィンテッジ万年筆修理店のウェブ・ショップからで、機能に問題ないよう修理してあるようだけど、ペン先調整まではしないんですね。

このように調整してもらわなければ、あれもこれも「ああぁ。。。」と失望のうちに放棄していたんでしょうね。再び喜びを持って使えるよう再生してもらい、何とありがたいことか。
Posted by yamamoto at 2010年06月17日 16:14
こんにちは
シェーファーにぜひ このデザインで
再度発売してほしいですね
見ただけで「いいなあ」って思います
Posted by kammy at 2010年06月16日 14:38