


アレアレ?筆圧をかけないと紙にインクがつかない。書き出し筆圧に関しては依頼人と拙者は同じくらい。従ってコレが原因だとすぐにわかった!
強筆圧の人の場合は、何のストレスもなく当時のクーゲルの筆記感触を楽しめるのだが、筆圧が低いと書き出しでインクがまったく出ない。筆記中でも力を抜くとインクが切れてしまうほどじゃ。画像を見るとかなり寄りが強いことが想像できる。


最近の拙者の研ぎは、可能な限り発売されていた時代の特徴を生かすようにしている。従って、今回もヌラヌラではなく、サクサクに多少ジョリジョリ感を残した調整にしよう。これが(多少荒れたペンポイントの)特徴的な書き味なのでな。


今回はスリットを開いてもペン先とペン芯との間に隙間が空かなかった。とうことはかなり強くペン先を寄せていたことになる。軟らかいペン先の寄りを強くすると、筆圧に応じて線巾に大きな差が出ておもしろいのだが、低筆圧の人には難儀なだけの萬年筆になってしまう。


実はスリットを開いた段階では、カミソリで皮膚をなぞるような感じで紙に引っ掛かっていた。この引っ掛かりがイヤで寄りを強めたのであろう。

口で言うのは簡単だが、今回は多少時間を要した。そのぶん丁寧に調整出来たので仕上がりは Very Good じゃ!
【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間