2010年06月21日

月曜日の調整報告 【 Waterman レタロン 18C-L 生贄 】

2010-06-21 01今回の依頼品はウォーターマン・レタロンの純銀製。2008年10月18日の記事で、本音で最も好きな萬年筆と告白したのが、これと同じレタロンの純銀軸。この気持ちは今でも同じで(限定品を除けば)いちばん好きな萬年筆!

2010-06-21 022010-06-21 03依頼品も18C-Lニブ付きなのだが、拙者が紹介したものよりは、いささかペンポイントが小さいし、丸研ぎになっている。拙者が入手したのは発売後すぐだったので、市場の評判を見て丸研ぎに変えたのかもしれない。

エラからペンポイントに至るカーブを見ると、途中で曲線が乱れている。このあたりがペンポイントの大きさが変わったことへの苦肉の策かもしれない。この曲線の乱れは美的には許せないので、発泡スチロールの筒へ両面テープで耐水ペーパーを貼り付けたもので削り、綺麗な曲線に変えることにする。

それと若干スリットが詰まっている。これを拡げるのに、表側から隙間ゲージを入れると金が表面に盛り上がって汚いので、ペン先を外して裏側から隙間ゲージを入れるのじゃよ。

2010-06-21 042010-06-21 05こちらがペンポイント。拙者のLニブとはまったく違う形状をしている。

これは個体差でかたづけられる差ではないので、明らかに設計が変わったと思われる。すなわちスタブ的な形状から、Zoomやコースの形状に変化している。

2010-06-21 06こちらはニブの刻印。左側が上で、右側がペン先の根元側。これも2010年5月31日に紹介したレタロン(青軸)とは向きが異なっている。

この刻印をニブ製造のどの段階で入れるのかは不明だが、M800で伊太利亜刻印と呼ばれているものの位置が縦横無尽にばらついているのと同じく、ペン先の形になったあとで打ち込まれたのではないかな。はたして正解は?

2010-06-21 07こちらはペン芯のペン先側。外側にインクを保留させるのではなく、ペン先で隠される部分にインクを溜める方式。非常にParkerに似ている。もともとクロスライセンスを結んでいたのか、同じ会社にM&Aされた後に技術の共有化を図ったのか?おそらくは前者と見ている。

2010-06-21 08外したペン先を清掃し、スリットを開いた画像。ペン先を直接スキャナーの上に載せて高解像度でScanした画像ほど美しい物はない。いつも魂が吸い込まれてしまう。

このレタロンでは、ペン芯側にニブの後退を止めるストッパーは付いているが、その前1个曚匹浪堝させられる。すなわちペン先だけを前に伸ばす事が可能となっている。いちばん奥までペン先を押し込んだ状態が最も美しいので、拙者はペン先を前進はさせていないが、動かす事は出来ますぞ。

2010-06-21 09こちらがスリットだけを調整した画像。これだけ開くだけでインクフローは格段に良くなる。書き出しでインクが紙に付きさえすれば、あとは紙がインクを引っ張り出してくれる。

ここまでスリットを拡げたものをペン芯にのせ、首軸に突っ込んでセットしてからペンポイントの研磨に入る。ここからは簡単じゃ。

2010-06-21 10依頼者の筆記角度でペンポイントをガシガシ削り、エッジを落し、ペンポイント表面を筆圧に応じて荒らし、書き出し掠れが出ないようにする。

特に今回はペンポイントの腹の仕上げに時間を費やした。調整の終わった萬年筆をインクに浸し、ペン先からインクを全てぬぐって、ペン先を下に向け、5秒待って書き出す。これでドボドボとインクが出てくればOK牧場!(ガッツ石松)


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  

Posted by pelikan_1931 at 08:30│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
venezia 2007 しゃん

拙者はWatermanではレタロンがいちばん好き。復活して欲しいな。
Posted by pelikan_1931 at 2010年06月26日 23:34
monolith6しゃん

どうやら最近は丸だまになってきたんですかな・・・昔は大木買ったのになぁ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2010年06月26日 23:33
師匠、有難うございます。大変楽しみです。Waterman、特にこのレタロンやMan100 が銀軸に一番合うデザインではないかと思います。Pelikan や Montblanc の銀軸を見ても特に平常心でいられますが、Waterman の高級ラインアップの銀軸を見てしまうと、どうも心が落ち着いていられず結局入手することになるというパターンから逃れることは難しいようです。有難うございました。
Posted by venezia 2007 at 2010年06月22日 22:33
 御無沙汰しております。

 私が所有するチャールストンのLニブも、このレタロンのような丸研ぎの、大して太いとも言い難い書け味のものでした。

 以前 Pelikan_1931 さんが、ウォーターマンのLニブは玉が大きいと仰っていたので、楽しみに通販で買ってみたのですが、がっかりした記憶があります。ペン芯の形状もチャールストン、レタロンで差異はありません。結構部品の共通化が図られているようですね。

 
Posted by monolith6 at 2010年06月22日 21:50