2010年06月28日

月曜日の調整報告 【 Pelikan コンチェルト 18C-B こりゃまた何とも・・・ 】

@01本日はPelikan コンチェルト 18C-B。昨日独逸から拙者の元へ届いた品物。使用品でペン先などかなりくたびれているように思えたのだが、18C-B付きなので購入した。それにコンチェルトは持ってないし・・・

届いたブツを見て、【ああ、この値段ならやはりこの程度か・・・】と納得せざるをえなかった。届いてみて初めて知ったのだが、ペンケースはピアノの形状を模したもので出来は良い。傷だらけのところをみると、前の所有者はこのケースを机の上に置き、毎回ペンをこれから出し入れしながら使っていたのだろう。いいなぁ、そういう使い方!

@02@03ペン先の拡大画像を見ると、かなり汚れている。インクはPelikanのブルーブラックらしい。これでアスコルビン酸の効果が確かめられると多少ウキウキ!スリットが詰まっているにもかかわらず不思議とインクフローは悪くないのだが、少しスリットを開いた方がBニブには良いであろう。

ペン先はかなり首軸に埋まっている感じ。拙者はペン先の太さやP.F刻印の全身が上から完全に見えるくらいが好きなので、分解して位置調整をしておこう。M800はインナーキャップが深いので、かなりペン先を前に出してもペン先がインナーキャップの天井に衝突することはない。

@04@05こちらは横顔。まるで調整師によって研磨されているかのような綺麗なペンポイントにびっくり!PelikanのP.F時代のペン先は、横から見て台形に近い形状になっていると思っていたが、これは完全な鉈型。すなわち往年のMontblancの研ぎに近い。

まるで引っ掛かりが無くスムースなのだが、書き癖が付いている感じもしない。ひょっとすると自分で調整しながら使っていたのか?しかし、そういう能力があれば、このような汚い状態でオークションには出すまい。いやいや、親の遺品を遺族が販売しているのかもしれない・・・などと妄想するのも楽しい!

あまりに汚いので、ペン先ユニットをばらして清掃しようとして、ペン先とペン芯をゴム板で握って捻ったのだが、ビクともしない!こりゃインクが固まって大変な事になっているな!

まず80度くらいのお湯に浸してピストン運動を繰り返す。モクモクと煙のようにインクがいつまでも出てきて、いっこうに色は薄くならない。が、適当なところでペン芯を冷水で冷やし、硬くしてから再びペン先と共に捻ると、グググググゥ〜っと、ものすごい抵抗を示しながらペン先ユニットは首軸から外れた。

ネジの部分が青くなっているソケットを流水にさらしたが、いっこうに綺麗にならない。しかたなくスポンジでゴシゴシ擦って色が薄くなったところで、ノックアウトブロックを使ってペン芯をたたき出した。

ペン芯もインク滓にまみれていてなかなか綺麗にならないので、アスコルビン酸水溶液に浸け、ピンセットで摘んで液の中を1分ほど振り回したら、ウソのように綺麗になった。

@06画像はスリット部分が見えるように明るめにしてあるが、ごらんのようにすっかり綺麗になった。通常は隙間ゲージでの清掃もするのだが、今回はその必要なし!アスコルビン酸水溶液から引上げたペン芯のスリットをエアーダスターでシューっと一吹きすれば、この状態になる。アスコルビン酸水溶液恐るべし!

@07こちらは、ソケットからはずしたペン先を洗浄してスリットを開いた状態。これまた美しい!

インク滓が付いていたので傷だらけか?と思っていたのだが新品と見紛うばかりの美しさ。やはりP.F刻印付きのニブは美しい!実際にインクを入れてこのコンチェルトを使うならペン先は現行の18C-Mを付ける。こちらの方が拙者の好みにあった書き味なのだが、飾っておくならP.F刻印付きの方がシルエットが美しい!

これをペン芯と合せ、同じくアスコルビン酸で洗浄したソケットで固定して、首軸にねじ込んだ。実は、この首軸内部のインク滓洗浄に一番時間がかかった。ネジにインクがへばりついているので、アスコルビン酸を綿棒に浸して擦っても、賽の河原の石積みのように、いつまでもブルーインクが付着する。

最後はアスコルビン酸水溶液で満たした超音波洗浄機に首軸を浸けてやってみたが・・・それほどの効果は無かった。やはりネジ溝の内部にこびりついたインク滓は丹念に擦り落とすしかないようじゃ。

@08@09ペン先がかなり首軸から出ているのがわかろう。これでもペン先の固定はしっかりしているので問題は無い。細字の場合は、もう少しペン先を後退させている。拙者は細字で書く時には、ペンを多少立てて書くので、ペン先を引っ込めて、握る位置をさほど変化させないでもいいようにしている。

スリットもこれくらい開けばインクフロー問題は無くなる。ほんの少し拡げるくだけでいいのじゃよ。

@10こちらが横顔。実はペンポイントには一切研磨を入れてない。それでも書き出し掠れもなくすばらしい書き味。どうやらコレは当たりのペン先じゃ。このカーブを見ると人が研磨を入れた形跡はない。

ということは出荷時からこの書き味が実現出来ていたことになる。これほど書き味のよい萬年筆を自ら手放すとは思えないので、所有者が亡くなり、親族が独逸のオークションに出したという可能性が高まった!

言葉がまったく通じない人とのやりとりは、こういうのがあっておもしろい。敢えて独英翻訳機能など使わずメールのやりとりをした。全て想像でのコミュニケーション。今回はPayPalも使えなかったので、Postal Money Orderでの取引。ゆっくりとしたやりとりは久しぶり!そういえば昔は一ヶ月かかる取引なんてザラだったなぁ。


【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1h 修理調整2h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間



この記事へのコメント
快ショク快ペン しゃん

ビカビカに綺麗になりました。胴体もインクと手あかにまみれていましたが、そのぶん、胴体の傷は皆無。良かった!
Posted by pelikan_1931 at 2010年06月29日 10:13
師匠ついに購入されたのですね。
ボディもかなりくすんでいるようですが、綺麗になりましたでしょうか?
手の汗の成分でも汚れるように感じ、時々液晶用のウェットクリーニングティッシュで拭いています。
Posted by 快ショク快ペン at 2010年06月28日 21:58