2010年07月21日

水曜日の調整報告 【 Goldfinc St 14K-EEF インクフローが悪い! 】

2010-07-21 01今回の依頼品は、独逸のマイナーブランド、GoldfincのSt(ステノグラフ) 14K-EEFじゃ。Goldfincは過去に何度も調整しているが、このモデルは初めて調整する。しかもよくわからない機構もあって楽しい。

拙者はGoldfincの萬年筆は独逸マイナーブランドの中ではMatadorの次に好きじゃ。ペン先の出来は負けていないはずだが胴体の出来はかなり負けている。

2010-07-21 022010-07-21 032010-07-21 04依頼人によれば、極細のためか、かなりカリカリしてインクフローも悪いとか。

たしかにペン先の寄りはきついし、段差もある。しかしなにより書き味を悪化させているのは、スイートスポットにあたる部分にある気泡によるペンポイントの欠けじゃ。これが最悪の紙当たりを演出している。当時のペンポイントには頻繁に見られる現象。これはペンポイントを気泡が無くなるまで研磨するしかない。

幸いなことに、横顔を見る限り、ペンポイントには削れる余地がかなりあるのでなんとかなりそうじゃ。

2010-07-21 05安価モデルにもかかわらず、ソケットでペン芯とペン先を固定するタイプになっている。こうしておけば、ペン先に不具合がある場合や、軸が割れた場合など、部品交換で顧客サービスに応じられるので、顧客満足度が高まる。

ただ、胴体にペン先の太さを表す刻印が入っているのが難点。これがペン先に入っていれば言うことはない。現行のPelikanや国産各社の方式がベストじゃ。

2010-07-21 062010-07-21 072010-07-21 08吸入機構は変わっている。インクを押し出す方向にピストンを回すと、まず金属棒が伸びてくる。その後にピストンの弁が伸びるのだが、弁が二個重なって下りてくる。

インクを吸入する方向にピストンを捻ると、尻軸側の弁がまず上に上がり、その後で前の弁が上がる(中央画像)、そして前の弁が上がる際には、金属棒は収納されている。不思議じゃ!

なぜそうなっているのか、ご存じの方がいたら教えて欲しい。ピストン機構側へのインクリークを二重に予防しているのだとしたら、すごいことなのだが・・・

ちなみにペン芯には、金属棒を収納する穴が1僂曚匹凌爾気之,蕕譴討い襦

2010-07-21 09こちらはソケットから外し、清掃した上で寄りを弱めた状態。寄りを変更するには、必ずペン先を外してからやるようにしている。ペン芯に乗せたままでも寄り調整は出来るが、その場合は調整戻りがかなり大きくなってしまう。本格的な調整は、やはりペン先を外してからやるのが良いはず。

2010-07-21 10こちらがペンポイントの欠けを削り取った状態。EEFの細さはなくなりF程度になったが、書き味はずいぶんと向上した。Vintageの独逸マイナーブランドの細字らしい繊細な書き味になった。大成功!


【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1h 記事執筆2
h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間



Posted by pelikan_1931 at 10:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
フリッツしゃん

ありがとしゃん!実際、前の弁がなければ、ずいぶんとインク量が増えたのに・・・と思ってました。
Posted by pelikan_1931 at 2010年07月23日 05:25
yamamotoしゃん

柔らかさの感触はインクフローによっても変わりますので、ぜひ試してみて下され。
Posted by pelikan_1931 at 2010年07月23日 05:22
下の私の書き込みで"shokubutsuen"さんは、"syokubutsuen99"さんのまちがいでした。syokubutsuen99さん失礼しました。
Posted by yamamoto at 2010年07月22日 13:20
お困りのようなのでワンポイント! ご推察通り弁が2ケあるのは、コルク磨耗による尻軸からのインク漏れ予防と私も思います。ゴルトフィンクは一見似たようなデザインでも、今回のようなダブルヘッドと、一般的なシングルヘッドの2種あります。実際これより古いコルク仕様の万年筆は、手に入れた時、上部の方が磨耗してインク/水が下部のヘッド(弁)で食止められていました。尤も運命的なコルク痩せ対策としては保険の意味で良心的な設計ですが、ヘッドが塩化ビニル製の時代になると”鬼に金棒”を通り越してやり過ぎな面もあると思います(笑)。その複雑なユニット構造を簡略化(シングル化)することによって、より多くの吸入も可能だったハズでしょうから。
Posted by フリッツ at 2010年07月21日 22:54
ピストン構造はおもしろいですね。
現物を見ていないので良く解りませんが、師匠の説明から推測するに、
ペン先側ピストンはあるストロークはフリー状態で
金属棒とは隙間のある状態と思われます。

いま仮に2ケのピストン、ペン先側を第1ピストン、尻軸側を第2ピストンとすると、
第1・第2ピストンが押し出し側(ペン先側)で密着状態にある状態からインクを吸うようにすると、
先ず第2ピストンが動き始めるが、このとき第1ピストンは動かないので
インクは金属棒と第1ピストンとの隙間から第1・第2ピストンの間に流れ込む。

次いで金属棒先端が第1ピストンに当たると第1ピストンも動き始めるが、この時同時に金属棒先端が弁の役目をして第1・第2ピストン間の空間は密閉状態となるため、インクは第1ピストンで吸い上げられることになる。

この状態でペンを使用すれば、当然第1ピストン側のインクが消費されるが、
インクを使い切った状態からピストンを押し出し方向に回せば、先ず第2ピストンが動き始め、同時に金属棒先端の弁が開き、第1・第2ピストン間に溜まっていたインクが押し出され、ペン先側に供給される。

即ち、第1・第2ピストン間の空間をリザーブタンクとして使用しているものと推測される。金属棒の先端は第1ピストンの引き上げと弁の2つの役割を持つ、巧妙な構造と思われる。

以上が勝手な推測。水でも吸って見て確認お願いしまーーす。



Posted by syokubutsuen99 at 2010年07月21日 22:34
調整ありがとうございます。

気泡の問題は、4月にペントレでshokubutsuenさんにOsmiaの書き味調整をしてもらったときにニブに気泡があると言われ、vintageにはそういうこともあるのかと思った次第です。そのモデルもかなり研磨してもらってよくなりました。

ところでステノグラフですが柔らかいニブの印象があるのですが、どうなのでしょう?このGoldfinkはインクフローも悪く柔らかさは全く感じられなかったのですが。
Posted by yamamoto at 2010年07月21日 21:20