水曜日の調整報告 【 Parker 75 18K-BI ペン芯がめちゃくちゃ・・・ 】

今回の依頼品はParker 75 純銀軸。初めて目にする舶来萬年筆がParker 75だったという人も多かったはず。かくいう拙者も父親のParker 75が初接触の舶来物だった。
たまにこっそりと筆箱から抜き出して字を書いていたりしたものじゃ。ただ、筆圧の低かった父には手に合わなかったらしく、通常はFERMEのソフトニブ付萬年筆を使っていた。


最後期を除いてParker 75の普通の純銀軸に18金のニブが付いているケースはほとんど無い。今回の18金ニブは、Parker プリミアのニブがついている。eBayで入手する場合などには良くある話じゃ。ただ今回はそれだけではない理由があったのだが・・・

ペン先はBroad Italicという巾広ペン先がついている。元々の所有者は、このニブをスペアパーツとして入手していたと思われる。元々のニブを自己調整で壊したので、ペン先だけをパーツとして購入した・・・というふうに想像をした。
スリットはちゃんと開いているし、ある程度のスイートスポット(もどき)もある。Italicならこんなものでしょ・・・という許容範囲書き味。


左画像の上が通常のParker 75のペン先で、下が今回のペン先、すなわちプリミア用。見分け方は簡単で、ペン芯がツルツルか梨地かということ。もちろん14Kか18Kでも見分けられる。
また海外市場で入手した物は、ペン芯の番号でペン先の種類を表現しているケースが多い。国内では特殊ペン先自体を売っていないはずじゃ。
今回の【95】というのはBroad Italicという意味。

症状はインクが途切れると、再び出るまでに時間がかかる・・・というもの。このような場合、往々にしてペン芯に障害がある場合が多い。なぜなら構造上、Parker 75は非常に優秀な首軸構造なので、インク途切れが発生しにくい設計となっている。従ってもしインクの出が悪いとすれば、インクが固まってインクのとおりを阻害しているのか?と考えたが間違っていた。


右側が今回のペン芯、左側が正しいParker 75のペン芯。依頼品のペン芯は、溝をめちゃくちゃに削っている。悲惨じゃ!これでは毛細管現象は一切効かない。
おそらくはインクフローの悪さを直そうと、Parker 75のペン芯構造を知らない輩がナイフで
ぐじゃぐじゃに削ってみたら、さらに状態が悪くなったのでeBayで売り飛ばしたのであろう。これもよくある話じゃな・・・
そして残念ながら、こうなってしまったら
ペン芯交換しか手はない。Parker 75のペン先を入手し、そのペン先だけをペンチで抜き取り、今回のプリミアのペン先を装填すれば良いだろう。プリミアのペン先は、現在のペン芯ごと燃やしてしまえばすぐに外れるはずじゃ。
今回が初の、
修理できなかった例!かも?
【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整0h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 07:00│
Comments(10)│
mixiチェック
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萬年筆調整
Xantos しゃん
ソネットも、Parker 75も、ペン芯に太さの刻印があるので、交換するのは、あまりよろしくない・・・次世代に伝えられたときに混乱が起こるかもしれないのでな。
私の2本の75は指で引き抜くだけで、スポスポ抜けますが・・・
後継モデルと思われるソネットシリーズも同様で「着せ替えごっこ」をして遊んでいましたが本当はいけない事だったのかしらん?
轢死体の軸、懸命に探してみます。
見かけは同じでも製造時期の違い等で個体差があるのですね。
Xantos しゃん
車にひかれた軸というのは拝見したいですね。
Leonしゃん、さにうしゃん
移植完了。元通りになりました。
Mont Peliしゃん
Parker 75のペン先はヒートガンで温めればすぐに抜けました。ありがとしゃん!
ただ、プリミアは、ほとんど糊が付いていなかったのに、はずれず、燃やしてペン先を抜き取りました。
おかげで、ちゃんとしたBI付のParker 75として依頼者に返せます。
画像を見て懐かしく思わず書き込みました。私にとっては2本目の舶来万年筆で1本目は高1の時の生意気にもモンブランの#22で(確か5000円で6000円の#24は買えませんでした。)パーカー75は高2くらいの時に父親の香港土産に頼んだ物で現地で5000円くらいだったと思います。(その時の日本価格は13800円と記憶しています。)得意げに1〜2週間持ち歩いていたのですが、その時のビニールバッグの底に穴が開いていたらしく、到着先で落としたことに気づき顔面蒼白で今来た夜道を戻り、道の真ん中に落ちていた75を発見、銀のボディは無残にも車に踏まれペッタンコ!首軸、ペン先は無事で万年筆店に駆け込み銀のキャップ、胴軸を取り寄せてもらい(確かシュリロトレーディング)泣く泣く6000円位支払い、結果日本で買うのとあまり変わらない価格となりました。青春?の想い出でしょうか。当時のつぶれたボディとペン先調整用の小さなツール?は探せばどこかにあると思います。初期型のいわゆる平らな天ビスと小さめの羽根、ゼロ表示付きで銀の厚みも後期型より若干厚いようです。ペン先は63とあり、EFでしょうか・・
おお、見事なまでに無残なペン芯…
パナマ運河を拡張するのは良かれども、ペン芯では逆効果なんですね。
本当に残念ですね...
2009.10.3の記事にもコメントしましたが、これと同じタイプの
ニブ・ユニットはペンチを使わなくてもペン先を外せます。
加熱して付け根部分の接着剤を緩めながら、爪で左右交互
に少しずつズラしていくのがコツです。