
今回の依頼品はMontblanc No.136 14C-B。最近とみに人気が出てきているようじゃ。No.139の系統のボディで、尻軸ユニットは簡単に外すことが出来るので、コルク交換なども簡単。
何故No.149、No.144、No.146、No.149のラインにこの便利な機能を引き継がなかったのかは謎じゃ。


ペン先はBだが、かなりItalicに近い形状をしている。インクさえ出れば実に気持ちよい書き味のはずだが、インクが出ない!ということらしい。
たしかにこれだけペン先が詰まっていればインクフローも悪かろうが、ひょっとするともう一つ原因があるかもしれない。


左画像のように、ペン芯とペン先との間に隙間がある。紙に乗ったインクが後続インクを引っ張るほどインクフローが良ければ、このスリットは問題ないが、ペン先が詰まっている時のインクフローでは、ますますインクの流れが阻害される。書き出し掠れの確率も上昇するので、この隙間はない方がよい。

こちらはスリットを開いた状態のペン先。実は、この時代のMontblancのペン先はペン芯と曲率が合っていない。特にペン先の後ろのほう。従ってペン芯からペン先を押し上げようという圧力が非常に大きい。そういう状態にもかかわらずペン先を前に出しすぎて首軸にセットしているせいでスリットが目立つようになったのじゃ。
ペン先根元の曲率をペン芯に合わすのは、ツボ押し棒でゴシゴシと3〜4回やれば作業完了。ペン先のエラの部分を拡げるように左右に引っ張ればスリットも出来る。これらの作業は簡単だが、経験がないと力加減が難しい。壊さない程度に試行錯誤して下され。


左画像がペン先をやや首軸に押し込んだ状態。そして右側がスリットが広がった状態。ペンポイントの根元にある黒い部分は、ペンポイント作成時に入ったピンホールじゃ。これが腹側にあれば引っ掛かって筆記が出来ないが、今回のような背側にある場合はまったく問題はない。

こちらが横顔。少しスイートスポットを作り込み、Italic調ではあるが、ある程度書き味も良い・・・という状態に調整した。
実際にインクを入れて書いてみると・・・時代が蘇ってくる。この書き味を拙者が生まれる前に作り出していたとはな・・・
【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 07:00│
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