2010年09月23日

筆記具関連四方山話 【 最近のお気に入り萬年筆 2本紹介 】

2010-09-23 01こちらは9月10日に入手したPelikan M800 18C-IB(Italic Broad)じゃ。既に入手した人や販売店の人が嘆いているように、拙者が入手したものも書き出しでインクが紙に付かないという根本的なトラブルで往生した。

応急措置でとりあえずはトラブルは多少改善されたが、全面解決には至っていなかった。とはいえ、これは使用者の使い方が悪いから・・・というのもある。

Italic Nibは萬年筆を立てて、首軸付近を握って使う物。けっして拙者のように軸中央付近などを握り寝かせて書くような調整にはなっていない。というかそういう発想は世にItalic Nibが出来ていらい設計者の頭にはなかったはずじゃ。

2010-09-23 022010-09-23 03そこで、寝かせて書いても書き出しでインクがスキップしない調整を本気で試みた。太字のインクドバドバを期待するなら、スリットはある程度開いていた方が良い。ただし、先端部が開いている萬年筆を、ペン先を上にしてペン立てに立てていると、重力が毛細管の力をしのいでインクがペン芯まで降りる事がある。

そうであってもペン先の開きが弱ければ、ペン先を下にした瞬間にインクが下がって書き出しは掠れない。しかしスリットが過剰に開いているとインクが再びペンポイントに到達するのに時間がかかり、書き出しまでに間に合わない。

2010-09-23 042010-09-23 05そこで拙者の書き出しのお作法に照らしてギリギリ間に合う程度のスリットの開きを模索し、かつ、ペン芯との密着度合い、お辞儀角度、ペンポイントの研ぎ、ペンポイント表面の荒し度合いを考慮して出来上がったのが現在使っているM800 18C-IBじゃ。

筆記角度40度、超低筆圧で書き出してもインクが掠れることはない、会心の調整となった。延べ時間にして6時間くらいかかった。自分用の調整としては驚異的に時間をかけた会心作。調整が狂うとイヤなので、他人にはむやみには持たせない・・・つもり。

2010-09-23 06こちらは9月17日にAurora マーレ・リグレアと一緒に入手したセーラーのプロギア・グリーンマイカルタ。一週間で2本目の入手となった。こちらに付いていたニブはEF。36gある本体で、この細さというのは太字好きの拙者には厳しい。重い軸には極太を使いたい。

2010-09-23 072010-09-23 082010-09-23 09ということでペン先をWAGNER 2010 21K-Zから移植した。ズームとはいってもStubに近い調子で書けるように調整してあるので、書かれた字形が拙者好みになった。こちらも以前、書き出し掠れの無いように時間をかけて調整した。

最近の拙者の好みに合わせて、筆記時の紙と擦れる音を出しつつも滑らかな筆記を実現した傑作!

プロギア・グリーンマイカルタの軸色に合わせてMontblancのレーシンググリーンをコンバーターで使っている。これが当たり!セーラーのペン芯性能を引き出す能力は、セーラー製インクに匹敵する!実に気持ちよい。またZニブ先端部の無骨さ加減がマイカルタの模様と良い感じ!やはりマイカルタには極太がよく似合う・・・かも?

実は以前から気になっていたのが、エイジングに適した軸と、不潔さの関係。Pilotのカスタム・カエデやマイカルタ軸は、手の脂ですぐにエイジングする。すなわち軸色が濃くなっていく。これって手の雑菌もいっしょに軸内に練り込んでいるのではないかというここち悪さは常に持っていた。

10年以上前、あるペンクリに、セーラーのプロフィット80の表面剥がしモデルを絶妙にツヤツヤにエージングさせたものを持ち込まれた60代後半の男性がいた。【すばらしい艶ですね!】と褒める若い女性店員に、おじさまは【いやぁ、この歳になると鼻の脂が少なくなるので、ここまでにするのは大変なのよ!】とおっしゃった。

その瞬間、女性店員は相手に気付かれないように、萬年筆を机の上に置くと、そそくさと向こうに行ってしまった。おそらくは手を洗いに行ったのであろう。

エイジングした軸って不潔なのでは?という疑念はこの時から生まれた。手や鼻の脂ではなく、ひまし油でエイジングをするのもこの不潔さに対する疑念が原因じゃ。

先日、アルカリイオン除菌クリーナーを持っているときに、ふと気付いた。これで消毒できないか?

さっそくひまし油と手垢で黒くなったマイカルタ軸に除菌クリナーを噴霧すると、汚れた水滴がポタポタとしたたり落ちる!それが綺麗になったところで、ハンカチでゴシゴシとこすると・・・・

2010-09-23 10上の画像のように黒くエイジングしていた軸が、下のように当初の色合いに戻った。なんだエイジングってたんなる汚れか・・・とも思ったのだが、よく見ると、軸にはエイジングが進んで色がマイカルタに染みこんだ部分と、汚れが落ちた部分とがある。それを指で摘んでいじくっているうちに、マイカルタはドンドンと手の脂で色が変わっていく。こりゃおもしろい!

エイジングを何度も楽しめる!と同時に軸に染みこんだ雑菌の退治も出来る。ということで、現在では毎日軸をアルカリイオン除菌クリーナーで消毒している。インクの汚れを落とす効果もあるので、マイカルタがインクで汚れた時にも、すぐにこれを噴霧すれば、ものの見事にインクは流れ去る。

毎日これを繰り返しているうちに、まだら模様にならないかなとかすかに期待している。

今回の実験で、筆記具の不潔性に確信を持ったので、毎日、使った全ての筆記具(5本程度)をアルカリイオン除菌クリーナーで清掃することにした。寝る前の数分間、一日活躍してくれた筆記具に愛を込めて、体を拭いてあげるのじゃ。単なる気休めかもしれないが・・・

ちなみに萬年筆研究会【WAGNER】東北地区大会@仙台で、お医者様の会員に、筆記具の不潔さについて聞いてきたのだが、【気にしなくてもいいですよ、そんなこと!】というニュアンスのお返事をいただいたので、皆さんは真似をされなくて結構ですよぅ〜!


Posted by pelikan_1931 at 10:10│Comments(16) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
5
モチロン存命です(^O^)

ただ尻軸が取れたりキャップが空回りして筆記時に外せないトラブルを修理して貰いましたが接着剤で付けただけでした

僕にとっては中字でこれ以上の書き味はないです(^O^)
Posted by Dahlia at 2010年09月26日 13:25
Dahlia しゃん

プロフィット80はまだ存命ですかな?
Posted by pelikan_1931 at 2010年09月26日 07:32
お久しぶりです。
軸の不潔の件、最近、本当につい最近ですが、僕も気になってました。

手油なんかと一緒に、汗なんかも吸うと塩分なんかも吸うんじゃないかな・・・なんて。

でも艶出しはやめられませんから困ったものです(笑)

ところで以前TVで見たのですが、岐阜だかどこだかには、白木のお盆。
素材はなんだったか忘れましたが、それを毎日手のひらでスリスリスリスリしてツヤツヤにしてる映像が流れましてね・・・、あれが思えば僕の艶出し道の始まりでした^0^

ものすごい艶でしたよ。 ほんとアメ色。

Posted by Dahlia at 2010年09月24日 22:41
仙台GOLD PIX しゃん

ハンティングやコンチェルトだけではなく、ぞうきんトレドもそうですし、オーストリア1000も樹脂が柔くなったものを見たことがあります。ただ、洗浄水とは無関係で、おそらくはベンジンとか、煤医エタノールなどの触れたのでは・・・と推察してますがな。
Posted by pelikan_1931 at 2010年09月24日 21:26
萬年筆=ばい菌の固まり説を出したわけじゃが、やはりちゃんと清掃した方が良さそうですな。

くろきちしゃんのおっしゃるように繊維を樹脂で固めたものなら、少しずつしか浸透しない。ということは大半のエイジングは単なる汚れじゃからな。
Posted by pelikan_1931 at 2010年09月24日 21:23
はじめまして

マイカルタにもいろいろあるので、セーラーの軸素材については確かなことは言えませんが、
本来マイカルタというのは、木・布・紙等に高温高圧で無理矢理樹脂を染みこませたものですので
基本的にほぼ芯まで樹脂の塊です。
だから結構重みがありますし、削って加工したりすると黒檀並に硬くて苦労します。
実際、金属の使えない化学プラントで歯車として使われたりする素材です。
分類としてはベークライトに近いものとか。

ですから天然木とは異なり、理屈上後から水分や油分が浸透することは殆ど無いように思われます。
そんなわけでマイカルタ軸の軸色の変化は殆どが表面についたものだったから
除菌クリーナーであっさり落ちたのではないでしょうか?
とは言えマイカルタにも経年熟成がいわれますので、長期間での変化はあるのかも知れません。
Posted by くろきち at 2010年09月24日 10:52
世の中は雑菌で溢れている、といつも考えています。電車の手摺りなどからサンプリングして
シャーレで培養したらどんな菌のコロニーが形成されるか考え出すと夜も眠れなくなりそうです(泣)
電車の手摺りに掴まる度に手を洗う人もいないでしょうから、ペンの雑菌についても気にしない!気にしない!と一休さんの様に自分に言い聞かせています(笑)
Posted by すいどう at 2010年09月23日 21:39
「不潔さ」同感です。自分が神経質過ぎるのかも?と思い,他言はしていませんでしたが。新品物でもハンドソープで洗い,除菌ウェットで軽く拭いています。(単なる気休めですが)特に知人から「トイレ内に落としたものをネット出品した輩がいる!」と聞いてからは。
 一応軸材への影響も考慮しますが。 ところで、ペリカン・ハンティングやコンチェルト等の塗料にべたつき感(劣化?)が出るということ聞いたことありますか?
Posted by 仙台GOLD PIX at 2010年09月23日 16:49
お久しぶりです、達哉んです。

アルカリイオン水で拭く際は一部樹脂製のものにお気をつけください、と某万年筆店でいわれたことがあります。ご注意を。

我々愛好家は手を入れて万年筆を熟成、成長させていくわけですが、幾人か、一切手を入れずに何十年も使って(自然と)成長させていく方がいます。きっとアルカリイオン水で拭いたことなどないのでしょう。人工による美しさ、ある種ではヨーロッパの美のようなものもいいですが、自然な、気にせず使い続けていけばそうなるような美しさ、日本的な美もまたいいように思います。たとえそれが不潔と言われたとしても、美は違うものでしょう。

ヨーロッパの庭園と日本の庭園。どちらも美しいものですが、そこに清潔・不潔っていう概念はないから、別にいいのではないか、と思う次第です。
Posted by 達哉ん at 2010年09月23日 15:42
 前に勤めていた学校で、パイロットの「ジャストミート・多機能ペン」(バット端材のアオダモ製)を使っていた生徒がいて、クリップも折れて樹脂部品の塗装も剥げてしまっているくらいに使い込まれていましたが、軸の木は飴色でそれはそれは美しくエージングされておりました。

 私も何本か木軸のペンを持っておりますが、まだまだ彼の足元にも及びません。今後どんどん使って、手垢を擦り込んで、彼のような美しいペンを作るのが今の目標です。
Posted by しまみゅーら at 2010年09月23日 14:55
Bromfield しゃん

萬年筆が欲しい・・・というのが、そもそも雑菌のせいかも?
Posted by pelikan_1931 at 2010年09月23日 11:19
つきみそうしゃん

そういえば、下剤と言えばひまし油でした。一度だけ、洗面器一杯ほど飲んだ記憶があるのですが、自分の体も小さかったので、お茶碗くらいの容器だったかもしれません。
Posted by pelikan_1931 at 2010年09月23日 11:18
きゃんでぃ小海老爺しゃん

イギリスのフォルシュが金属製の軸内にインクを貯蔵できる筆記具を考案し特許をとったのが1809年の今日。

近代萬年筆は1883年のウォーターマン創業まで待つ必要があるので、微妙な・・・万年筆の日です。
Posted by pelikan_1931 at 2010年09月23日 11:17

おはようございます。

お話の流れを損なって申し訳ないのですが、
職場でメールをチェックしていたら、
数件の文具ネット通販業者から、

『9月23日は万年筆の日』

という内容のメールが来ていました。

小生の不勉強で、
今まで全く知らなかったのですが、
これで、
今日も一日、万年筆で仕事をしようという、
元気が湧いて来て嬉しくなったので、
書き込みをさせて頂きました。

先輩諸氏はとうにご存知のことなのかもしれませんが。(汗)
Posted by きゃんでぃ小海老爺です。 at 2010年09月23日 10:51
雑菌がないと、免疫が出来ません。そのように毎日軸をきれいにしたものを拝見してしまうと、免疫が形成されなくなり、すぐ「欲しい欲しい」病に感染してしまいます。
Posted by Bromfield at 2010年09月23日 10:09
 幼稚園時代は毎日、先生さようなら、の前に虫下しのチョコレート
(のようなもの)を食べさせられていた世代です。世の中があまりに
清潔になり、体の中にも虫が少なくなったので、花粉症などが猛威を
ふるうようになったのだ、という説に賛成ですので、筆記具の清潔さ
に関しては無頓着な方ですね。

 子供は本当に汚い手であちこち触りますが、これもある程度までは
雑菌に対する耐久性を高める訓練になっているのでは、と思います。

 でも、でもですね、アルカリイオン水で拭くのって楽しそうです。
さっそく実践し始めております。
Posted by つきみそう at 2010年09月23日 10:03