2010年12月02日

筆記具関連四方山話 【 マリオの自主研究 】

WAGNER 自主研究レポート

報告者:会員No.01127 / マリオ 作成日:2010/11/27

1)はじめに
入会させて頂きまだ日も浅く、万年筆についても高みに堕ちるレベルにはまだまだと自覚しておりますが、たまたま金属切削加工を中心とした製造業に身を置く者として、何か自分の出来る範囲内で会への貢献が出来ないかと思い、ペン先を工業用拡大鏡で観察し、普段ルーペでしか見られない倍率を一気にx100 以上にしたらどうなるのか? というテーマでレポートする事で、会員各位の参考になればと思い報告させて頂きます。

また、今回は師匠チューニングモデルを調整のマスターピースとして、日々自己調整に精進されている方々に有るべき姿として目指すイメージを作る一助になれば幸いです。

2)使用機材と観察方法

(写真1)
2010-12-02 01① 使用機材
~ デジタルマイクロスコープとかデジタルファインスコープとか名称は様々であるが、光学レンズからの画像をファイバースコープを介してディスプレイで見たり、データとして取り込んだり、またデータを加工して3D 画像に変換したり出来る画像診断機。 電子部品(集積回路)のポインティングや素材の性状、加工面の仕上げ粗さなどを見る為に使用。(参考価格200 万~600 万円)

ア) オムロン社 デジタルファインスコープ VC3000(最大倍率 X3500)
イ) 使用レンズ X20~X160 ズームレンズ (部分拡散光フィルターを一部使用)
ウ) マウント 専用マイクロステージ(X 軸Y 軸Z 軸+チルト)
~百分の1ミリで縦横に検体をスライドさせる事が出来る台

② 観察方法
ア) 専用ステージ上に「計測用V ブロック」を置き、検体をマウント
イ) XY 軸でペン先位置を画面センターに置き Z 軸を使い低倍率からピント調整
ウ) 位置決め、ピン合わせ完了後ズームアップ(観察倍率 x160)
エ) ディスプレイを見て絞り量調整をし、撮影画像をJPEG データで保存

③ 観察風景
~M800 師匠チューニングモデルをレンズ側を筆記状態になるようにチルトで軸角度を付け、「紙の目線」でデータ取りしているところ

3)観察データ その1

   (写真2)
2010-12-02 02①マスターピースとしてのペリカンM800 黒軸 M ニブ 「師匠チューニングモデル」
~夏の中部大会で師匠から譲って頂いたもの。「良いモノは美しい」の通りの調整具合をご覧下さい。


②ポイントを 四方から観察する
ア) 裏表
2010-12-02 032010-12-02 04(写真3:上から見る) (写真4:軸側から見る)
~ 写真4ではスリット中央のモアレから、ペン先まで潤沢に水(インク)が来ている事が判ります。



(写真5)
2010-12-02 05イ)側面   
~破たんの無い局面の連続。美しい仕上げの状態をご覧下さい。



ウ)「美人角度は斜め45 度」

     (写真6)       (写真7)
2010-12-02 062010-12-02 07~スキャナーだと縦横からの画像が多いで、アイドル風に斜めからの画像にしたところ、更にその局面の連続する美しさが際立って見えました。



エ)先端方向&「紙の目線」
(写真8)     (写真9)    (写真10)
2010-12-02 092010-12-02 102010-12-02 08~写真8の先端方向からはこの装置は被写界深度が浅いので少し見づらくなってしまいました。
「紙の目線」とは実際に紙と接触する方向から見たらと言う単純な発想でしたが、写真10のようにインク(水)の潤沢な盛り上がりを見ていると、すぐにでも上質な紙を用意したくなります。

この検査機は取り込み画像で3D 表示が出来る機能も有るので、機会を見てレポートします。

Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
monolith6しゃん

この画像を見て、改めて調整とは【感知するのが第一】とわかった。
削りは真似すれば出来る。どのような形状にすれば良いかを感知するのが大切で、それは、経験でも会得できるし、勉強によっても会得できるということがわかった。
Posted by pelikan_1931 at 2010年12月05日 19:52
 凄い機械ですね。こういうものを扱った、ペン・ポイントの調整ってどうなるのか、楽しみです。

 それにしても100倍にしても、手仕事の妙というか、指先の勘、ルーペ越しに目に見える範囲の調整がこれほどまでにできることに感嘆します。

 (手先が器用な)人って凄い!
Posted by monolith6 at 2010年12月03日 12:33
IloveHappy しゃん

LEDランプがあるデジタルスコープではペン先は反射して見えない。
需要なのはペンをセットするボードで、これが0.1ミリ単位で動かせるかどうかが勝負。

手持ちでピントを合わせるのはほぼ不可能じゃ。

10年ほど前にWindows 98対応のデジタルスコープで酷い目にあった経験有り。
Posted by pelikan_1931 at 2010年12月03日 09:58
IloveHappyです。実物を所有しているのでも、手に取って見た訳でもないので、少々無責任なお勧めですが、以下のURLにあるようなデジタルマイクロスコープなら、私でも手が届くかな(失敗しても諦めがつくかな)と考え、買おうかと思っていました。マリオさんがお使いのプロ用と比べたら、おもちゃみたいな物ですが。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-04049/
Posted by IloveHappy at 2010年12月03日 08:23
う〜ん、実に羨ましい環境ですね、しっかり観察して勉強させていただきます。

可能なら写真6、7をもう少し大きいサイズで見てみたいですね。
Posted by wavio at 2010年12月02日 21:31
regulus821 しゃん

デジタルファインスコープを買えば上手くなります!ぜひ!
先日、エボナイト軸を作る職人さんに聞いたところ、エボナイト削り作業の半分は刃物を研ぐ時間。
シャカシャカと砥いでは削り、すぐまたシャカシャカと砥ぐという感じでした。
同じように、調整とは確認する作業。ルーペで見るのも、砥ぎあがった状態を確認して次の作業を考えるためです。
Posted by pelikan_1931 at 2010年12月02日 13:06
すばらしい、レポートですね〜。
勉強になります、ありがとうございました。

こうして見るとペン先調整がいかに繊細な作業かと思い知らされます。
しばけば良いというものではないようです(笑)

デジタルファインスコープを買えば上手くなる?なんてことはないですよね・・・
Posted by regulus821 at 2010年12月02日 09:55