2011年01月26日

水曜水曜日の調整報告 【 Penol Ambassador No.5 14K-M 酷い書き味 】

2011-01-26 01今回の依頼品は、2010年8月4日以来のPENOL。キャップバンドと尻軸以外は非常に良く似ている。拙者もこのブランドは好きだった。どこが魅力なのかと問われても言葉に窮するのだが、敢えて言えばマイナーブランドだから・・・・とでも表現するしかない。

2011-01-26 022011-01-26 03今回はボタンフィラーそのものは修理済。しかし書き味があまりに酷い!ということで預けてもらった。マイナーブランドは分解清掃する際に何が起こるかわからないので、可能であれば持ち帰りり修理としている。

この個体ではペン先が詰まっているので多少インクフローが悪そうだが、それほど大きな問題は無いはず。書き味にそれほどうるさくない依頼者の表現としては【ひどい書き味を直して欲しい】というのは強烈!かなり苦労されているのであろう。

2011-01-26 042011-01-26 05横顔を見ても取り立てて問題は無さそうに見える。実際に筆記してみたが、この時代の万年筆としては悪くない書き味ではないか?と感じた。

しかし依頼者が酷評するには理由があるはず・・・それがこれ!

2011-01-26 06ペン先の惨い段差。ペン先が柔らかいので低筆圧かつ一定筆圧の拙者が筆記すればそれほど不快ではない。ただ、筆圧変化を楽しみながら書く人にとっては、この段差は耐え難い苦痛を感じるであろう。

スリットを多少拡げると同時に、段差を直しておこう。それ自体は至極簡単な作業!

2011-01-26 07交換されてあるサックであるが、多少太く、かつ長い。そのため、内部のI-Barにストレスがかかり内部でひん曲がる危険がある。そこで丈夫の細くて短いチューブに交換することにした。

実際I-Barは多少曲がっていた。ただ、拙者が持っているスペアのI-Bar短すぎる物と長すぎる物だけでちょうど良い長さのJ-Barが無い。そこである細工をすることにしたのだが・・・これは秘密!

2011-01-26 082011-01-26 09こちらはペン先を清掃してスリットを拡げ、ペン先調整を施したペン先。右側画像を見れば、どの程度スリットを開いたかがわかろう。この状態でペン芯に乗せて首軸にツッコミ、親指と人差し指の腹でペン先のエラをハサミながらスリットの幅を調整するのじゃ。その際、新たな段差を作らないように、一階作業する毎にルーペで段差確認をすること!

2011-01-26 10こちらはペン先とペン芯との関係。マイナーブランドの性(さが)として、コストカットの観点からペン先の根元の長さがペン芯と比べて短い。ここがもう少し長ければペン先とペン芯はもっとしっかりとホールドされるのになぁ。

ある細工はまだ終了していない。あと23時間かかるはずじゃ・・・下記はそれを含めた予想時間を書いている。このblog史上最長修理時間となるのではないかな?


【 今回執筆時間:128時間 】 画像準備1.5h 修理調整25.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


Posted by pelikan_1931 at 17:30│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整