金曜日の調整報告 【 Pelikan M405 青軸 14C-EF タコスペ・超不細工化 】

こちらは前回の神戸大会でお預かりしたもの。Pelikan M405の青軸。天冠が新しくなってからずっと良くなった軸の一つ。
最近まで拙者はM800信者で、M800の次はM300がずっと離れて続いている・・・と考えていた。ところがM400系を頻繁に研磨するようになってから、細字系(特にEF)のM400は非常に良い感じに研ぎ上がると気付いた。特にタコスペ系の研ぎと相性が良い。


調整前にインクをつけて書いてみると・・・すばらしい書き味!調整しなくてもインクは良く出るし、字形も綺麗。これが店頭に10本くらいあるM400の中に混じっていたら、試し書き後に間違いなくこれを選択するであろうというほど書き味が良い。
ペンポイントは綺麗な球形で、スリットも通っている。見て良し、書いて良しの逸品じゃ。それをタコスペ・超不細工に加工するのはもったいないな・・・とも考えたのだが、いろいろ書いているうちに、寝かせると少しカリカリすること、EFというには線幅が太いことに気付いた。


こちらは横顔。なんと横から見ても球形のペンポイント!米国から球形のペンポイントに変えろという強烈なPushがあったにせよ、これは見事!
ペンポイントを球形に変えた直後はびっくりするほど不細工なペン先先端部の形状だったが、ずいぶんと綺麗になった!と感激した。
ここまで綺麗だとタコスペ・超不細工加工もやりやすい!

ペン先とペン芯の位置関係も許容範囲内だったので、いきなりタコスペ・超不細工研磨に入った。その場合の一次研磨時間は2分ほどで非常に早い。
そこからの二次研磨、三次を入れても30分ほどで終わった。そこから先は実際に字を書きながらの微調整。これを含めても1時間ほどで作業は終了。
タコスペ・超不細工調整の結果、EFはEFらしい字幅で、なおかつ筆圧をかけなければ非常に滑らかな書き味。そして裏書きでペンを寝かせ、筆圧をかけないで書けば、インクはヌラヌラと太字の字幅で出てくるが、筆圧をかけるとインクの出がしぶくなり、やがてはインクが出なくなってくる。筆圧防止ギプス付き萬年筆なのじゃ。(笑

こちらが、タコスペ・超不細工の特徴のある横顔。ペンポイントの背中は、直線状だが実は曲面形状に研磨している。何故、インクフローが良いかは来週金曜日の調整講座で種明かし。
ペンポイントの腹はゴムブロックに乗せた耐水ペーパーで、平らに削り取っている。その状態で軽く8の字旋回して書き癖を付け、こまめにエッジを落としていく。たったこれだけで、魔法のような書き味になる。
そもそも書き味を良くしようとして始めた調整ではなく、細字でStubを実現したいというのが発端であった。しかし何本もの調整をしているうちに上達し、いまではタコスペ・超不細工であっても、出荷状態よりはるかに良い書き味にする事が出来るようになった。
土曜日に、会場で手渡し予定なので、依頼者がどういう反応をするかが今から楽しみじゃ!
【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 07:00│
Comments(3)│
mixiチェック
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萬年筆調整
たまささん
今後はタコスペ・超不細工調整は、ペンクリや生贄扱いではやらないでで、大切にして下され。
これ、本当に良かったです。
これほど細くて、横細縦太の線が、引っ掛かりもなく書けるなんて。
しかも、裏書きではするすると太めの線が書けてしまいます。
何人かに書いてもらいましたけど、皆、笑ってしまいました。
まさに、なんじゃこりゃーのペンになりました。
本当にありがとうございました。
もしかして、私がお願いしていた物でしょうか??
くー!楽しみです!
確かに、新しい天冠はいいですよね。以前のモデルは別に気にとめなかったのに、今では黒い部分が気になってしまいます。