2012年06月29日

金曜日の調整報告 【 Pelikan M800 青縞 14C-BB DEROSA Special 】

1今回の依頼品はPelikan M800の旧型モデル。天冠と尻軸が初代のモデル。今見てもM800にはこの天冠が似合う。
拙者の趣味から言えば、M800のゴールドトリム系には、この旧型天冠+旧型尻軸がもっとも格好良い!

M805に関しては複雑で、黒軸ならシルバーのプリント天冠が見合うし、青縞に関しては現行のシルバー天冠が似合うと思う。トレドM900はプリント天冠以外なら何でも好き。

23今回のモデルには14C-BBのペン先が付いている。キャップの刻印はW.- Germanyではなく、Germanyなので、ペン先だけ後で交換したものと思われる。
依頼人は、この状態の組み合わせで中古萬年筆店から購入されたらしい。
ペン先とペン芯の位置関係、首軸から前に出ているペン先の量とも、拙者の好みと100%一致しているので、拙者が調整した物が流れた物かも?という期待を持ったのだが・・・

45ペンポイントの調整の癖が拙者とは違うのに加えて、ペン芯をソケットに挿す位置が拙者と180度違っていた。
拙者は通常はソケット穴の浅い方にペン芯の突起を合わせて押し込むのだが、今回のものは深い方に押し込んであった。

また横顔のペンポイント斜面にくっきりと研いだ痕が残っている。拙者ならわからないように丸めているはずじゃ。よって自身の調整ではないとの結論。少し残念!

6ペン先は多少汚れていたのと、ペン芯から外すとスリットが密着した状態になった。これが多少インクフローが悪い原因じゃな。
下のように、綺麗に清掃し、スリットを少しだけ開いて再度装填した。この画像を見ていると、ペン先もたまには分解清掃をしてあげなければな・・・と感じてしまう。
清掃後の美しさは半端ではない!また切り割りもちゃんと真ん中を通っている。
最近のペン先社内生産、丸研ぎ化、スリットズレ・・・などと考えていくと、ペン先外注してたときの方がペン先は綺麗だったなぁ・・・と考えてしまう。
書き味はともかく、見栄えは14Cの頃、そして18C-PFや18C-ENの時代の方が良かったのは事実じゃ。

7Pelikan M800の秀逸な書き味を支えるのが、このペン芯。根元の下側にゴミのような黒い部分があるが、ここが材料を噴出注入する場所。
シュっと一吹きで、この複雑なペン芯が一瞬で出来上がるのじゃ。ああ、工場見学したいなぁ・・・
このペン芯はセーラーのペン芯(左右非対称)とは違って、左右対称。回転吸入式専用なので、ペン芯後部にカートリッジに突っ込むための細管がない。
そのため、空気流入にそれほど気を使わないでも呼吸困難になるリスクは少ないのかもしれない。

89今回の調整はDERASA Specialという特殊な研ぎ方・・・というかエッジの立ったStubだが、Italicほど書き味は悪くない。
通常は18C-PFニブ、それもペンポイントが厚いモデルに施す調整方法だが、今回は初めて14Cに適用してみることにした。 

10結果から言えば、本来のDERASA Specialほどエッジが立たなかった。これは14C-BBニブがかなり丸められていたことによる。
その為、腹を削り込んでも、頂点が出来なかったのじゃ。書き味は良いのだが、Italic調Stubとしては少し物足りないかもしれない。
ただ、その分、通常筆記時の書き味が良いので勘弁して貰おう。 


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  
Posted by pelikan_1931 at 13:00│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
pelikan400nnさん
自己満足です。美しさが違うんです。眼ではわかりませんが。
Posted by pelikan_1931 at 2012年07月05日 01:26
ソケット穴の浅い方にペン芯の突起を合わせるのは、どういった拘りなのでしょうか?
縞柄の継ぎ目との関係かなと考察しましたが、見当がつきません。
Posted by pelikan400nn at 2012年07月03日 10:41