2012年10月29日

月曜日の調整報告 【 Pelikan M800 ブルー・オ・ブルー 18C-B 書き味最悪? 】

1今回の生贄はブルー・オ・ブルー。この軸色は非常に美しい。このあと緑、赤がM600でラインナップされたが、透明感が無く、今一歩人気は出なかったかなぁ・・・。
少なくとも赤軸には未だに食指が伸びない。もう少し透明感があれば惹かれたはず。ともかくこのブルー軸は見ているだけで気持ちが弾んでくる。
ブルー・オ・ブルーが人気が出たのは天冠が金属素材だったことが原因であろう。金属天冠の最初はM800Italic Writingだったかもしれないが、インパクトとしてはこちらが大きかった!

23こちらがペン先の拡大図。ペン先は太さを示す刻印までが首軸に入っており拙者的には気持ち悪い。
ペンポイントの形状も目を覆うばかり!左右不均等で汚い形状をしている。しかも完璧な背開き。
実は、ブルー・オ・ブルーの時代のペン先は、Pelikanの歴史上最悪の仕上がりだと思う。現在ではずいぶんと改善されているので、まずはご安心を!

45実は、この段階では酷い段差もあった。ペンポイントの腹が厚くて段差があり、しかも背開き・・・もう最悪!
これを直すにはエラを拡げた上でペン先先端部をお辞儀させるしかない。その上で、ペンポイントの両側を削って形を整える。
さらにペン先の腹を削って平べったく加工し、スイートスポットを削り込む。これ最近マイブームの調整方法。
筆記時の抵抗があるのに、引っ掛かりはない。かなりしゃっきりとした書き味になる。最初なんじゃ?と思うが、数分間使っていると手放せなくなる書き味!

6こちらがペン先の全体画像。ペンポイントは丸研ぎで不細工な形状になっているが、コストカット穴は無い。また子ペリカンは2匹!
うーん、複雑な時代のニブだなぁ・・・いずれにせよ、書き味が最悪なのはこの時代。単に子ペリカンが2匹というだけではなく、ペンポイントが丸研ぎというところがポイントじゃ。

7M800のペン先をソケットから分離する場合に気を付けなければならないのはペン芯の凸を折ってしまわないこと。左画像の赤で囲った部分。
これをソケットの深い穴に入れればペン先は首軸から後退し、浅い穴に入れればペン先は首軸から前寄りにセットされ、太さを示す刻印がの全体が見えることになる。

8そのためには、ノックアウトブロックを左のようなゴム板でカバーし、このゴム板の凹の部分にペン芯の凸の部分を合わせてたたき出すのじゃ。
少しでもズレると、ペン芯の凸が吹っ飛んでしまう。もっとも吹っ飛んだからといって不具合はなにもない。
胴体の模様の一番好きなところと、ペン先のスリットの位置を合わせるために、この凸を意図的に折る人もいる。

9こちらが調整後のペン先の位置。太さを示す刻印がずいぶんと前に出ているように見えるが、これでしっかりと止まっている。
スリットの開きも何回も調整してベストの状態になっている。ペンポイントの先端部は平たく研いで視覚誤差(ピントのズレ)がないようにしておいた。ちなみに黒白画像。

10こちらが腹を徹底的に研磨した横顔。字幅と書き味のバランスをとるには、この程度の厚みが一番都合が良い。
もし将来、Italicの字が書きたくなったらさらに厚みを減じればよい。大玉のペンポイントの場合は、ずいぶんと調整の幅があり、調整師を楽しませてくれる。


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 

Posted by pelikan_1931 at 20:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック