
過去に紹介したカタログによれば、この模様はバルレー(きよらかな真珠)というらしい。
https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/5/0/50349d19.jpg
それにしても【優雅なタータン】【まばゆい宝石】【情熱の炎】【きらめく流星】など魅力的な日本語のニックネームがついている。


このシリーズには仏蘭西製の14金ニブがついているものが多いが、これは米国製の14金ニブ付き。Fニブだが、大きくて球形のペンポイントが付いている。
ペンポイントの溶接部から先端までの球の径が大きいので字幅にキレが無い。筆圧をかけてもぼんやりとした線幅になってしまう。
しかもペンポイントが徹底的に詰まっているので、通常筆圧ではインクがほとんど紙につかないほど。まずは、横にはみ出した部分を研磨してキレのある線を描かせる必要がある。


こちらは横顔。まさに球形のペンポイント。ずっと昔、アメ横のフレンド商会のオバチャンから【こういうのは手溶接だからしっかりしてるわよ】とうかがったのだが本当かどうかはわからない。
たしかに手溶接であれば、あまりに小さな玉では扱いが難しいので多少大きめのペンポイントにする必要はあるだろうが、逆は必ずしも真ならず。大きな玉でも機械溶接は出来るからなぁ。

じつはペン先ユニットがかなり緩い。ひょっとすると仏蘭西製のペン先を引き抜いて米国製を挿したせいでそうなったのかもしれない。
インクフローに影響の無い部分に少しだけシェラックを塗ってほんの少しだけ硬くしておこう。いずれにせよペン先を抜いたり挿したりはあまりやらない方が良いのだが・・・

首軸の劣化を調べる最良の手段は、首軸ユニットをこの角度からチェックすることなので、1回抜くのはしかたないかなぁ・・・。
ブルーブラックインクを使っていると、ここにインク滓がこびり付いて化石のようになっている。インク瓶からの吸入よりもカートリッジの方が被害は少ないように思う。
拙者は他社製インクを使う場合は、コンバーターに注射器でインクを注入して使っている。酸にもアルカリにも弱い首軸先端部の金属をあまりインクに浸さないのがポイント。
まったくの思いつきだが、パーカーがpH 7.0付近のペンマン・インクを開発したのは、Parker 75の先端部対策かも?たしかプ初代プリミアと同じタイミングで発売されたので当たっているかどうかは定かではないがな。

コンバーターは左側画像の一番上の物が付いていた。古い順に下から、1,2,4,3,5の順となるので、このなかでは一番新しいコンバーターじゃ。拙者は今までに見たことがなかった。
金鍍金が施されているので、少し高級モデル(Duofoldなど?)に附属しているのかもしれない。いずれにせよ当時のコンバーターではない。おそらく下から二番目の時代であろう。

こちらは調整後のペンポイントの拡大図。まずは本格チャーチャーで横のデッパリを落とした。ガガっと削れば各2秒ほどで落とせるのだろうが、慣れていないのでおっかなびっくり回転する砥石に当てる。
チョチョっと当てては確認し、またチョチョっと当てては確認するという作業を10分くらい続けた。やはりこういう作業は慣れないとスピードが上がらない。
拙者の場合は、まだまだ耐水ペーパーで研磨する方がスピードが速い。今後もかなり生贄の協力がいりそうじゃな。
スリットは隙間ゲージで少しだけ開き、出来た傷を金磨き布で綺麗に研磨するという作業を施してある。

こちらが調整後の横顔。ペンポイントの背中は猫背に研磨し、腹も少し落としてからスイートスポットを削り込んでから、磨きでそれを消した。
細字の場合はスイートスポットは最後に消滅させた方がよい。残すと字幅が拡がってしまう。
こうすることによってParker 75の細字独特の、ペン先の反発を残しながらもいっさい引っ掛からないスムーズな細字筆記が可能となった。この方法はイケル!
ぜひ伝統芸能として残したいなぁ。タコスペ超不細工の発展形として・・・・
【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1.5h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 09:30│
Comments(1)│
mixiチェック
お手数をおかけしありがとうございました。コンバーターは当初付属していなかったので当方で新規に購入、パルレーの外装にあわせて金色のものを装着したものです。紛らわしくて失礼しました。
仕上がり楽しみにしております。