
先頃M800系の3Bが発売中止になるという発表があり、極太マニアの中に衝撃が走ったが、それほど心配するには及ばない。
現行品のBBはpf刻印時代初期の3Bと同じくらいのペンポイントの厚みがあり、斜めにカットするように研げば接紙面積は広く取れる。
またスリットを多少拡げ気味に調整すれば、以前の3Bと同じくらいの字幅にはなる・・・なんて余裕をかましているが、実は拙者の持っているトレド系コレクションの半分程度はpf刻印付き3B。
手に入る時代に買い集めていておいて良かったぁ!という感じ。でもpf刻印付きを使った事はあまりない。あまりに美しくて使うのがもったいないので使うのは現行ニブ。
それに書き味の差がわかるのはせいぜいM程度までで、それより太いペンポイントでは、インクフローさえ良くしておけば、ペンポイントの差もペン先の弾力の差も識別不能じゃ。


拙者はペン先とペン芯を外し、ソケットの浅い方の穴に凸を押し込むことによってBB刻印全体が首軸から出るようにしている。この方がカワイイから!
ただし、ペン先の表と、胴体の模様の位置が反対になるので、分かりやすい模様の限定品では、たまに間が抜けた状態になる。例:オリンピアードやイカルスなど。
拙者は軸の模様にはあまり興味が無いので気にならないが、気になる人はソケット穴の深い方に浅く挿すという技もあるので心配ご無用!
購入当初はこれほど綺麗なペンポイントの状態ではなく、多少右側におたふく風邪のように膨らんでいたが、チャーチャーで少しだけ研磨して痕跡を消した。
またBBともなると、この程度はスリットは開いておかないと書き出し掠れが解消できない。いつも同じ姿勢で書くのなら必要ないが、毎回椅子の高さが違うような場合には必須の調整じゃ。
pf刻印時代にはBですら角研ぎだったが、現在ではBBも3Bも丸研ぎに変わっている.従ってインクフローさえ確保出来れば、スイートスポットを削り込まなくても書き出し掠れは発生しにくい。
ただし角研ぎにスイートスポットを削り込んだときの書き味は、最高に気持ち良い。もはやそれを経験できるチャンスは多くはない。角研ぎpf刻印のB、BB、3Bを見つけたら即買いじゃよ。
ちなみに現行のM800のニブ単体の定価は24,150円。それと同程度でpf刻印付きの太字系が売られていたら買っておいて損はないですぞ。

腹の部分のエッジは少し落とし、腹開き気味にスリットを拡げている。インクに浸して書いてみると、かなりブレーキが効いた書き味で実に良い。これで滑られるとますます読みにくい字になってしまう。
最近のペンポイントはMontblancにしろPelikanにしろ、書き味に関しては国産と遜色のないレベルに来ている。ただしペンポイントの美しさではPelikanは他社より一歩劣る。
だからこそ愛おしくて応援したくなる。そして調整を施した時の変化の大きさはピカイチ。調整によって激変する萬年筆の代表。調整師にとっては楽しさだけで元が取れる!

昔のビッグトレドの軸色は上のようにシャドーが黒っぽかった。ところが最近のビッグトレドは下のようにシャドーが灰色。
これでは重々しさが無いので、毎回【銀黒】という筆で塗る銀燻し液で黒化させている。
ビッグトレドはみな拙者の手元にいる期間が短く、すぐにお嫁に行ってしまうので、じっくり使って味を出そう・・・と思ったのが昨年の今頃。それから4本のビッグトレド現行品がお嫁に行った。
うち2本にはまだ債権付き。それほど安くはないのに何故か人気がある。今回のがユーロが安かった時に5本まとめ買いした中の【最後の1本】 。
これだけは自分で10年くらいは使って味を出したいと考えている。さっそく本日、一回目の燻しを敢行する予定!