2013年01月04日

金曜日の調整報告【 丸善 130周年記念 檸檬 14K-B 掠れる・・・】

1丸善の檸檬と名付けられた万年筆は2種類ある。130周年記念の檸檬と140周年記念の檸檬だが、今回の万年筆は130周年記念のもの。
丸善は明治2(1869)年1月、福沢諭吉の門下であった早矢仕有的によって創業された。それから130年後が1999年で140年後が2009年。
130周年も発売されたころはそれほど人気があったわけではなかったが、後にものすごい人気となった。それに拍車をかけたのがラピタの付録だったミニ檸檬。
その人気に便乗するように発売されたのが140周年記念だよなぁ〜!と邪推していたのだが、140周年もあっというまに店頭から姿を消した。まさにミニ檸檬のおかげ!
実際、ミニ檸檬騒動がなければ、パーカーのマンダリン・イエローに対するクロワゾネのように大失敗?の限定品になっていたかもしれない。
ちなみに拙者は130周年檸檬は狂ったように捜して入手したが、140周年はスルーした・・・

23こちらが調整前のペン先。依頼主は左利きなので、右利きには絶妙なPilotの研ぎであっても、上から下の線を引こうとするとやや苦しい。またインクフローがBにしては少ない。
それもそうだが、首軸先端部に澱のようなものが付着している。なんとなく黄色インクが固まったようなもの・・・ひょっとすると悪名高きPelikanのハイライター・インク(黄色)かもしれない。

45ペンポイントの研ぎはほれぼれするほど美しい。スイートスポットを入れない前提であれば、もっとも書き味が安定しているのがPilotのペンポイントであろう。
これほど誤差の少ないペンポイントにするには、途中まで自動研磨機でペンポイントの形状を整え、最後のフィニッシングだけを人間が手で少し研ぐ・・・という方式しかあるまい。
拙者では、球状のペンポイントから、この形に研ぎ出すことはとうてい出来ない。出来たとしてもとてつもなく時間がかかるだろうなぁ。

6こちらがミニ檸檬と130周年檸檬の対比じゃ。丸善の了解を得て作ったのだろうが、実に良く似た形状と色。ミニ檸檬の方が少しだけ明るい黄色!
ミニ檸檬が発売された時には、みなが狂ったようにラピタを購入した。拙者ですら15冊は購入した。改造大魔王らすとるむさんやゑでぃさんは、もっと購入していたはずじゃ。
その後の赤と黒には、そこまで熱狂はしなかったたが、万年筆としての性能はずいぶんと上がっていた。

7先日入手した器具に首軸とペン芯と超電解水をいれて強く振ると、左画像のように濁ってくる。
染料系の普通のインクであれば、超電解水に入れれば色は消える。にもかかわらずこの黄色い色!やはり変なインクは怖い!

8こちらはペン先。万年筆の発売は1999年だが、ペン先は1998年の10月に作られている。
1月が創業月なので、それに間に合わせるためにはペン先は10月に作っておく必要があったのであろう。130周年ということだけはキャップリングにも彫ってある。
しかし何時が130周年かということは万年筆本体には彫ってないので、ペン先刻印の1998年を130周年と勘違いする人がいるかもしれない。ま、それもまた一興か・・・

910調整は至極簡単。スリットを多少拡げ、ペンポイントの右側を少しだけ研磨する。
左利きならば、上から下への線を引く際に書き出し掠れが起こらないようにデッパリを少し研磨する。これで完璧じゃ。
やはりベースがしっかりしていうペンポイントであれば、カスタマイズも至極簡単じゃな!


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


Posted by pelikan_1931 at 21:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック