2013年02月13日

究極の 【 Pelikan M850 】を組み上げた!

1拙者のM850は元々数種類のM800から部品を集めて組み上げていたものだった。
今回、そのM850に別のM800からペン先を移植した。移植されたペン先は18C-IB。Italic Broad というM800系で最後に登場したペン先。
この18C-IBのペン先の登場は極太好きの人をかなり迷走させたらしい。すなわち18C-3B派と18C-IB派とに別れ、どうやら18C-IB派が征したもよう。
とうとう18C-3Bのペン先が廃版になってしまった。欧米人にとっては18C-3Bはイタリック調の文字を書くのに使われていたのかも?
とすれば、いっそのことItalicが書ける超極太を出してみようか・・・と試してみたら大成功!
Montblancや他の競合メーカーには無い需要を引き出すことが出来た!
一方18C-3Bは、日本というごく限られた市場で、しかもたった一件の万年筆専門店で、その大半が消費されていた。いくら数が多いとはいえ、Italic Broadの人気と比べればしれたもの。じゃ、廃版だ・・・となったのかな?
メーカー → 日本総代理店 → 専門店 → ユーザ という構造の中では、ユーザの意見は直接メーカーには届かない。
そしてメーカーが得る意見は、各国の総代理店からの要望が、数として伝えられるだけ。いきおい市場の大きな米国の要望が市場の要望となってしまう。

今までに萬年筆研究会【WAGNER】を初めとするユーザの希望がPelikanに届いたな・・・と感じた事は1回だけ。
マジェスティが世界の万年筆まつりで紹介された際、【この構造だと吸入機構が胴軸内側のエッジで傷だらけになるかも・・・】と懸念を表明した。そうしたら発売が無期限延期になった・・・という話を聞いた。
おそらくは世界中のPelikan フェチが懸念を表明したのであろう。なんせ海外では万年筆店主こそが一番のヲタというケースは往々にしてあるらしいから。

万年筆メーカーはお客様相談室や販売店からはいる【苦情】をもとに製品開発をして欲しくない。利用者の夢や希望をもとに開発を進めて欲しい。
国産万年筆業界は、すでにかなりそういうやり方に変わってきている。これはペンクリなどを通じてエンド・ユーザの声を企画や製造へ伝える仕組みが確立したからであろう。
海外メーカーの日本代理店も、すこしそういう方向で考えた方が良いと思う。現在どれくらい出来るか試行しているのだが・・・
萬年筆研究会【WAGNER】における修理・調整依頼に書かれた内容を電子化し、各メーカーに提供出来る形にしようかとも考えている。まずは、3月からデータ蓄積を始めることにする。

23さてこちらは未調整のItalic Broadのペン先。先週届いたばかりのもので、当然コストカット穴付きモデル。
同じItalic Boradでも子ペリカンが2匹のモデルもある。そちらにはコストカット穴は無い。
いずれもなかなか良い仕上げ。スリットは詰まっていないし、段差もほとんど無い。
ただし、インクを入れて書いても、まず90%以上の人にとってはインクが紙につかない!という現象が頻発する。
なんせ拙者ですら書き出しでインクが切れるというか滑るというかスキップするというか・・・まったく書けなかった。
姿形は極めて美しいのだが、かなりじゃじゃ馬娘のItalic Broadだが、すこしだけ舐めると、その独特の書き味を堪能できるようになる。
早い話が、調教師が必要なペン先なのじゃ。現在、欧米でのItalic Broadの人気は非常に高く、ペン先ユニット単体の価格は、通常ニブの1.5倍程度となっているらしい。
元町で行われた萬年筆研究会【WAGNER】のミニ・ペントレで、ブルー・オ・ブルーにItalic Broadのペン先付きを販売したが、あれが目玉商品でした!
もっともパーソナライズしてはいないので、入手された方は、次回の元町大会に持参されたし!

45横から見ると、ペンポイントの上下の幅が狭く、Italicと言えなくもないが・・・まぁStubと呼んだ方が良いかも?
ParkerやAuroraのItalicニブは先端部が抉られたように更に薄くなっていたと記憶している。
拙者の場合は。3BをItalic Broad のような形状に削りだして使う事が多かったので、3Bが消えてもそれほどインパクトは無い。
しかし、縦も横も字幅が太いヌルヌルヌラヌラのペン先が好きな人にとっては3Bの消滅は残念しごくであろう。
ただ、Italic Broadの字形は実に面白いし、書き味の指向もヌルヌルヌラヌラから多少シャキっとした書き味への移行しているように思う。
やはり実用面から萬年筆をとらえる会員が増えたせいであろう。 萬ヲタの集団から少しずつ萬年筆愛好家の集団に変質しているのかもしれない。残念なような、嬉しいような複雑な気持ち・・・

最後に、この究極のM850が何本のM800系から出来ているのか数えてみよう。

胴軸と尻軸:旧M800の青軸から移植
ペン先ユニット:M800 黒軸 Italic Broadニブ付きからペン先ユニットを移植
キャップ:M850黒軸からキャップ本体とクリップを移植
天冠:新M800の緑縞軸のキャップから天冠だけを移植

ニコイチどころかヨンコイチだった!


Posted by pelikan_1931 at 08:00│Comments(10) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
この記事へのコメント
 良かった!少なくともお二人、同じ御意見でありましたか!

 確かに、メーカー名に限らず、モデル名であってもクリップの延長線上にロゴの真ん中が来ないものはありそうです。
Posted by monolith6 at 2013年02月19日 15:07
 ペリカンにかぎらず、クリップ側から見てメーカー名が正面を向いて欲しいとは私も思います。もしくはせめてモデル名。
 同じように天冠もクリップ側から正面を向いていないモデルが一部ある気がします。
 考え出したら、軸の刻印とペン先の方向とか他にも沢山ありそうです。

 3B問題はペンポイントを研がずにつけっぱなしのまま出荷する特注を受け付ければそれでかなり解決するのでは?と思っています。
Posted by Mike at 2013年02月18日 20:49
monolith6 さん

世の中に2人は存在するのですがね・・・
Posted by pelikan_1931 at 2013年02月15日 23:08
KANOさん

気が向いたら・・・ペントレに出すかも?
きっと出さないでしょうが。
Posted by pelikan_1931 at 2013年02月15日 01:30
先輩、是非販売リストにお願いします!
Posted by KANO at 2013年02月14日 19:59
こんばんわ。素敵ですね!もとはドイツ製なのに、オーストリア王朝文化の雰囲気です。
こういう華やかな外観のものって、メーカー品だとファーバーカステルだけと思うので、もっと増えるといいなと思います。
Posted by tmtyan at 2013年02月13日 18:25
>今までに萬年筆研究会【WAGNER】を初めとするユーザの希望がPelikanに届いたな・・・と感じた事は

 2回の間違いでは?天冠部が印刷?から金属製のものに戻ったではありませんか。これは絶対に Pelikan_1931 さんに同意見の人が多かったからだと思うのです。

 2度あることは3度ある、を期待して、クリップの延長線上に「PELIKAN」ロゴの「I」の字がピタリと来るように、樹脂軸の金環刻印を直して欲しいです。誰も同調してくれないのですが...。本当に私だけ?だれか同意して下さい!
Posted by monolith6 at 2013年02月13日 18:19
IBブルー・オー・ブルーをお嫁にもらった、ぽこぺんです。
このIBは感動ものです。インクフローは潤沢ながらもイタリックらしく縦横で字幅の変化が楽しめます。普通に英字や漢字を書いても表情豊かな字が書けます。
しかも、どの方向でも引っ掛かりがなく書き出しのかすれも皆無です。
ブルー・オー・ブルーの貴重な青軸と相まって、私の「奇跡の一本」です。
ありがとうございました。
Posted by ぽこ at 2013年02月13日 14:09
きゃんでぃ小海老爺さん

Pelikanの歴史の中ではキャップと尻軸だけ金色というのはPelikan 500 と M450くらいではないでしょうか?
500Nや500NNはキャップだけ金色。むしろこちらが保守本流と考えるなら、M850のデザインはOKだと思います。でも本当は胴軸も金色の720NNが好きですが・・・
Posted by pelikan_1931 at 2013年02月13日 10:37

M850 小生も気に入って使っています。

究極の、という観点から、ひとつ残念なのは、尻軸が M450 の様なバーメイルではないことでしょうか。
もっとも、このサイズで、キャップも尻軸もバーメイルだと、キャップを尻軸に挿したら、尋常ではないリアヘビーになって書きにくいモデルびなってしまいそうですけど。(^-^;

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Posted by きゃんでぃ小海老爺です。 at 2013年02月13日 08:18