2013年09月05日

セーラー プロフィット・レアロ の分解清掃は考えない方が良い・・・

1先日久しぶりに実施した質問コーナーで、セーラーのプロフィット/プロギア・レアロの分解清掃についての質問があった。これには意表を突かれた。
開発の経緯を伝え聞いている限りでは、分解清掃を考えての設計はなされていないはずなので、それ(分解清掃)をやろうという発想は皆無だった。
しかし、萬年筆に関してだけはきれい好きという方も大勢いらっしゃるので、分解清掃が出来ない事を証明してみようということになった。

それには生贄が必要だが、まさかペン先+ペン芯が付いて筆記可能な物を使うわけにはいかない。幸いにしてWAGNER 2013のプロトを作った際の軸が残っていたのでそれを使う事にした。
もちろん、かなり手荒に扱うので、軸は割れ、金具は歪み・・・と二度と元の状態にはもどらない。しかし、これも今後の犠牲者を作らないための(前向き)な生贄と割り切って実施した。

2まずキャップ部分は工具なしでも緩めることは出来た。ただし左画像のように完全分解するには、インナーキャップ・プラーが必要だった。
この画像を見てわかるのは、セーラーはプラチナがスリップシールを発表する前から、同様の機能を天冠部に組み込んだスプリングによって実現していたということ。
プラチナでは、中田社長ご自身が将来社長になる前提でマーケティングを学んだだけの事はあってしっかりとアピールするところを心得ている。一方でセーラーは技術では先んじてもアピールがたいそう下手

機能的な違いはインナーキャップが最後に首軸と一緒に回る(スリップシール)か、回らないかということだけ。実際の効果は50歩100歩だが、積極的ににアピールされればそれに従うのが庶民。
スリップシールは特許逃れの苦肉の策のようにも思われるが、価格政策ともあいまって#3776センチュリーは大成功!今でも納品待ちの販売店が多数ある。

3首軸は強く左に捻れば外れる。ただし黒いソケット兼首軸固定ネジの発想はNo.149と同様の考え方。もっともとっくに特許の期限は過ぎていようが・・・
 
4そして尻軸ユニットを力ずくで分解したのが左側画像。画面下側の黒いピストン軸は胴軸に接着剤で固定してあった。これではいくら力を入れて回してもビクともしないはずだ・・・
こちらはPelikan M800に近い方式だが、高価な金属は使っていないのでなんとなく安っぽく見えてしまう。
ピストン軸を尻軸から外れないようにする仕組みはPelikan M800とほとんど同じ!
TWSBI Diamond 540はM800のデッドコピーに近かったが、さすがに国産メーカーともなると、参考にし具合にも慎みと配慮がある。

各所を接着剤で固定してあるので、スパイ大作戦(おはようヘルペス君〜)の力自慢男のウィリー氏ほどの力でメキメキと音を立ててねじ切った後、ペンチでピストン機構をまわさないと外れなかった。
よい子は絶対に真似をしてはいけない作業。やると、上の画像のようになってしまう。これでは再起不能!なま煮えどころか、完全な(神様の)食後の生贄になってしまった。

5そして胴軸をペンチで挟んで割れ目をつけてから剥がしたところ、ピストンが上下する筒の部分が現れた。
従来からレアロは内部にコンバーターを仕込んだだけでは?との疑惑があったが、今回の画像でそれは完全に払拭された。ちゃんとした吸入機構を持っている。
しかしこの筒の素材も設計も、なんとなく1960〜1970年代の回転吸入式のMontblanc 2桁 / 3桁モデルに瓜二つ!特許に触れない範囲でアイデアを有効利用する・・・日本人の最も得意とする部分じゃ! 

願わくば接着剤で固定してある部分に接着剤を付けないカスタマイズド・モデルを発売して欲しいな。汚れを落としたいニーズは、これだけインクの種類が増えた現在においては、決してレアな要求では無くなってきているから。 
Posted by pelikan_1931 at 16:00│Comments(5)
この記事へのコメント
今日、セーラーのシャレーナを掃除してたら、インナーキャップがへこむことに気づきました。
どうやら、シャレーナの世界一細いキャップにもバネが仕込まれているようです。
こうなると、現行のモデルにどれだけバネ式が普及してるかが気になりますね。
Posted by 申し訳ない at 2013年09月08日 22:12
5
続けて申し訳ありません。
外れたときの事をブログに書いていました。
http://d.hatena.ne.jp/pgary/20110905/p1
Posted by がりぃ at 2013年09月06日 19:00
5
こんばんは。
私のレアロは接着剤の固定が甘かったらしく、キャップを外そうとよそ見をしながら回していたら、継ぎ目の部分が外れてインクがドバーッとなった事があります。
長原幸夫さんにペンクリニックで見ていただいた時は、ここの接着剤は特殊で今ないので、修理に送ってくださいと言われました。
結局そのまま使っているので、今でも外そうと思えば外れると思います。
Posted by がりぃ at 2013年09月06日 18:58
杜のあくま さん

じつは、 http://www.sideriver.com/ec/products/detail.php?product_id=17971 を購入すれば分解しなくてもわかったんですが・・・
Posted by pelikan_1931 at 2013年09月06日 12:13
お師匠様、皆様、おはよございます!

レアロの生贄、ありがとうございます(^_^;)
きっと世界初の公開生贄ではないでしょうか?
流石、お師匠様です!

小心者の私は、レアロを洗浄する時にタコ糸を使用します。
水洗浄後ペン芯ごと外し、タコ糸をウリウリと入る限り
挿入いたします。
その後ピストンを排出側に作動させ、タコ糸に内部を
拭き取りをさせます。

最初、キッチンペーパーで実験し内部に残り、
泣きそうになりました(^_^)v

Posted by 杜のあくま at 2013年09月06日 08:20