今回の依頼品はOmas 1930というオマスで一番小さいペン先を使うモデル。しかも1970年代以前のVintageじゃ。
1990年以降の1930のペン先は異様に硬くなっておりガッカリした記憶がある。
同じペン芯を使う、OMAS EXTRA 555 用のスチール製ペン先の方がはるかに柔らかくて好感触だった。
しかし、このVintageの14金ペン先はいいなぁ・・・特にFlexではないのだが、ハート穴から先だけが少し反る感じが気持ち良い。ただし、調整しないと酷い!
この左側画像を見れば、これがVintageのOmas 1930のペン先だとわかる。かなり穂先がシャープになっている。いわゆるハイレグ一歩手前!
ペンポイントはBだと思われるがどこにも刻印が無い。これもVintageを証明するもの。1990年以降のOmasのペン先にはペンポイントの太さを示す刻印が必ずある。
この時代のBのペンポイントの調整は丸研ぎになっている。これは珍しいなぁ。現行のPelikan M800のペン先みたい・・・
しかし、ペンポイントの付き方やカットの仕方は現在のPelikanよりは数段上じゃな。出荷前にかなり手をかけてペンポイントを研磨していると思われる。
こちらが調整前の横顔。ペン芯は現状とほとんど同じだが、首軸内に隠れた部分の形状が現行品と少しだけ違う。
ペンポイントにはスイートスポットらしき物が出来ているが、依頼人のスイートスポットとは大きく離れている。これでは気持ち良く書けまい。
さらにはインクフローも今一歩。エッジが立ったペンポイントを持つ萬年筆でも気持ち良く書けるが、それはインクフローが良いときだけ。
インクフローが渋ければ、書き味を我慢して細字を書くしかないが、この依頼人にそれを求めるのは酷。なんせ、良い書き味の万年筆でしか仕事をしたことがないのだから・・・
首軸にクラックがはいっているかも?手にインクがつく〜・・・との事だったが、クラックなんて生やさしい物ではなく、割れ目と言いたいほど。
首軸を正面から見ると大きな二つのクラックが見える。一つは割れ目でもう一つはクラック・・・というところか。
さて、これを何で直そうか・・・と悩んだ。パテを使うのが一番良いのだが、最近パテによって手先が以上に荒れてきたのでパテは使いたくない・・・ということはアレじゃ!