2015年01月29日

発掘された ===> Pelikan M710 Yellow TOLEDO 18C-B

1先日、机のそばにある大きなキャビネをかたづけた。箱に入ったままの萬年筆を箱からだし、箱は実家に送った。その作業中に発見したのがこのYellow TOLEDOじゃ。
こいつは発売直後、何本か購入した記憶があるが、日本ではさっぱり人気が出なかった。実に良い感じの萬年筆なのに欲しがる人があまりいなかった。
結局はミニペントレで2本の萬年筆と交換した記憶がある。ガマさんとだったかな?まさにトレーディングだったのだが、ガマさんの不本意そうな顔が忘れられない。それほど不人気だった・・・
全部お嫁に出したと思っていたので、箱を開けてこいつが出てきた時には驚くと同時にニヤリとしてしまった。
こういう一度は惚れた萬年筆は、人気は無くとも、1本は手元に置いておきたくなる。手元から消えると、時間と共に切なさが増し、そのうち我慢が出来なくなって再度購入してしまうことが何度もあった。

模様的にはある意味完璧な萬年筆なのじゃ。胴体には黄色と銀。ペン先は金と銀で、黒い部分は一切無い。
M710 TOLEDO Red はインク窓が黒だったので、余計にM710 TOLEDO Yellowの一貫性が目立つ。何故日本では人気が出なかったんだろう?
レモン・イエローに近い色がうけなかったのかな?でも【檸檬】は大好評だったがなぁ・・・

23強いて言えばペン先のダサさかなぁ?今どきペン先の斜面がこれほどオカチメンコの物は無いだろう!
雛一羽の現行品ではずいぶんと改良されているはずだが、この時は雛二羽のペン先。いわゆるM400冬の時代のペン先と同じ形をしている・・・
またペン芯とペン先を重ねる位置も拙者の好みとは違う。もう少しだけペン芯を前進させ、模様の先端部とペン芯がちょうど重なる位置がベストじゃ。
ペン先の刻印【B】の位置はもう少し奥になるはず。Bの下側に文字の巾と同じだけスペースが空いた状態が美しいと思う。まぁ、M710の場合は・・・という意味だがな。M800での最適位置は少し違う。

45こちらは横顔。どうやら奥側のペン先が少しだけ上に上がっている。いわゆる段差が出来ている。しかもペン先を上下しても位置関係は変わらない。
こういう場合はペン先ユニットを分解し、ペン先とペン芯の位置から微調整し、それでも段差が直らなければ、強制的に曲げてでも段差をなくすのじゃ。
このペンポイントを良く見ると、巾が広いのに円盤研ぎと同じような加工が施されている。
互いに逆回転する丸砥石の接点部分に、ペンポイント部分から押し込んで余分な部分をそぎ落としたような形状になっている。
すなわちペンポイントの両側は断崖絶壁のように切り立っている。少しでも萬年筆を傾けて書こうとすると筆記感は最悪な上、インクがまともに紙に付かない。森山スペシャルの対極にあるような形状なのじゃ。

この状態が続いていたら・・・Pelikan ブランドは消えていたかも知れない。その後のめざましいペンポイントの流麗化が消費者を繋ぎ止めている状態だと思う。
さらなる躍進をするには、Montblancや国産メーカーのように、ペン先とペン芯の位置を一カ所に固定出来、左右にペン先とペン芯がズレないような設計にした方が良いのではないかな?
調整師からすれば、現在の方が微調整できてありがたいのだが、調整をしない販売店を経由して消費者にわかるのであれば、もう少しバラツキが少ない仕組みが必要だと思うなぁ。 

Posted by pelikan_1931 at 21:00│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
この記事へのコメント
この萬年筆は、見栄えもバランスもいいんですがねぇ・・・
時代が悪かったのかな?
Posted by Pelikan_1931 at 2015年01月30日 23:47
師匠から譲っていただいたYellow TOLEDO
書き味もばっちりで大変気に入って使っています。
そういえば、それ見せてとあまり言われた覚えが
ありません。いいペンなのに…
Posted by tetsujin28mori at 2015年01月30日 08:18
素敵な黄色ですね。
ただ値段が・・・画像検索で我慢します。
Posted by うにゅ at 2015年01月29日 23:37