今回の依頼品はDELTAのアンデルセンモデルじゃ。これまで調整で数回触ったが、完全分解したのはこれが初めて。
で、わかった事は、DELTAのレバーフィラーの中では出色のできばえということ!実に筆記バランスが良い。
軸の太さ、重心の位置も絶妙で、書いていて萬年筆の重さをほとんど感じない。キャップも一応は尻軸に挿す事が出来るので、拙者には申し分ないな。
このキャップの白い部分はカゼイン製かな?だとすれば水に浸けたままにしておくと・・・溶けてしまうはずなのだが。
インクフローが悪く、書き味(スムース感)もイマイチなので書き味調整して欲しいということなのだが、ペン先のスリットは綺麗に開いている。
萬年筆店で中古で入手したらしいが、拙者の好みとほぼ同じ調整がなされている。ただし、ペンポイントの腹の調整はそこそこで押さえられているようじゃな。
こちらは横顔。今回はTG-3の深度合成は調整後の映像にだけ使うので悪しからず。
ペンポイントの調整は悪くはないのだが、丸研ぎに近い状態で止められている。もう少し筆記角度に合わせて研磨すれば絶妙になるはず。
伊太利亜製萬年筆のペン先は、アウロラを除けば、どれもよく似ている。ひょっとすると同じメーカーに発注しているのかも知れない。
ただ、北部と南部は仲が悪いので、別々のメーカーに発注しているかもしれない。
昔の噂で、エボナイト製ペン芯を使っているのが南部、樹脂ペン芯を使っているのが北部なんて聞いたことがある。(逆だったかな?)
今回のペン先に刻印されている模様がまったくわからない。
この土俵入りしているような絵柄とアンデルセンとがどのような関連があるのだろう?
どなたかご存じなら教えて欲しい!
DELTAだからどうせインクサックは腐っているだろう・・・と開けてみたら、ちゃんと修理されている。
しかも長さも、仕上げも拙者の好みと同じ。このBlogを読んでいた人が元のオーナーなのかな?それとも昔に拙者が修理した物?それにしてはペンポイントの調整が甘いように思うがな。
こちらが根性を入れて拙者が調整したペンポイントの状況。全てTG-3の深度合成の成果じゃ!
スリットが開いているのに書き味が悪いというのは、スイートスポットが無いから。
そこで依頼人の筆記角度に合わせてペンポイントをゴリゴリと研磨し、丸めてスイートスポットを作り込んでおいた。
スリットは当初と同じくらいで、敢えて開いてはいない。調整前はかなりの背開きだったので、左右がほぼ平行になるように微調整を施した。
横顔の綺麗なペンポイントは、高確率で書き味が良い。どれどれとインクに浸して書いてみる。
おお、DELTAの書き味がここまで良くなるのか!と感動するほどの書き味になった。今回も大成功!
【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1.5h 修理調整1h 記事執筆0.5h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間