
拙者は他社の同クラスの萬年筆と比べて高くはないと主張した。
品質の安定性、デザインの秀逸性、コンバーターを含めた総合的な満足度でトップクラスなのは間違いない。
【 サファリの材料費は26円程度ですよ。ペン先とクリップは安い金属だし、他は樹脂ですから! 】と萬年筆関係者は言う。
もちろん、26円には、研究開発費、人件費、機械の減価償却費、利益、広告宣伝費、株主配当・・・などは一切含まれていない。純粋な材料費だけ。
考えてみれば、材料費26円のものを数千円で売ることこそ、製造業のあるべき姿ではないか?
拙者が学生の時から算出方式が変わっていない?中小企業庁の付加価値の計算式では・・・
製造業の付加価値(加工高)=売上高−(材料費+買入部品費+外注工賃)
先のサファリの例では、外注工賃は無しで、買入部品費は材料費に含まれていると考えられる。
ラミー社が、販売業者に販売する値段(売上)が1,500円とすれば、付加価値額=1,500円-26円=1,474円ということになる。
売上高に対する付加価値の比率は98%以上! これってコカコーラよりも高いだろう!金ペンでは絶対に達成できない比率だ!
一本あたりの利益額ははるかに大きいのに、なぜ鉄ペンの比率が圧倒的に高いのかよくわかった。鉄ペンの方が付加価値比率が高いからじゃ。
付加価値額の中には社員の人件費が含まれている。ラッカーの生産分配の法則によれば、付加価値額に占める人件費の比率は(マクロ的には)一定であると言われていた。
すなわち、社員を食わすには付加価値比率の高い鉄ペンをたくさん作って売った方がはるかに良いことになる。
もちろん、そのためには言いデザインと魅力的な宣伝(マーケティング戦略)と安定した品質が必須!
サファリが毎年限定色を出すのも、同じ客に同じ萬年筆を毎年買わすための戦略と考えるのが自然だろう。
萬年筆は筆記具であると同時に嗜好品でもある。もっともある層の人々にとっては、萬年筆はビットコインと同じ役割も担っているようでもあるがな。