2015年10月02日

金曜日の調整報告 【 丸善ーONOTO 18C-F 書き味改善 】

17今回の依頼品は丸善とONOTOのダブルネームの萬年筆。オノトといっても、デ・ラ・ルー社が復刻したONOTOというわけではない。
デ・ラ・ルー社は現存し、たしかお札の印刷などの高度な印刷技術を持つ会社だったと記憶している。すなわちデ・ラ・ルー社は一度も倒産したことは無いはず。
ONOTOもブランド復刻というだけで、カヴェコやコンクリン、エバーシャープなどの復刻と同じレベル。ブランド名を復活させただけ。でも一番長続きしている。
萬年筆自体は往年のオノトよりも出来が良い。もちろん自社で製造している部品は少ないのだろうが、設計は良く出来ていると言える。

23ペン先も良く出来ている。ペン先の裏側をみると、ハート穴から前にはロジウム鍍金かプラチナ鍍金が施されている。
以前、川口先生が【理由はわからんけど、裏にロジウム鍍金するとインクフローがようなるんじゃ】とおっしゃっていた。もしオノトの設計者がそれを知っていたのならマニアじゃな。
スリットが詰まっているのでインクフローが悪く、それで書き味が悪く感じるのだろうと考えていたが、そうではなかった。

45真横から見るとペンポイント先端部は円形になっている。実に綺麗な形状なので書き味も良いかと思ったら・・・・カリカリでどうしようもない。
最近のMontblanc No.149の細字は、同じような形状でも書き味は実用レベル。文句を言う人は調整に慣れたマニアくらいだろう。
いくら出来が良かったとしても、工業製品のレベルで、手調整にはまだ勝てない。良い書き味の定量化が出来ていないのだから当たり前。
もし出来たら数年以内に機械調整が手調整を抜くのは明らか!だってチェスよりずっと簡単だもの、調整の手順は!

6書き味がカリカリする原因はペンポイントの形状にある。楽器のシンバルの左右をピッタリと重ねたのを前から見たような形状じゃ。いわゆる円盤研ぎ。
この場合、合わせた部分が上下にズレると、エッジがカリカリと紙に引っ掛かる。コレをとり除くには、左右の内側のエッジを細かく丸めるしかない。
しかし細字のペンポイントの内側エッジを丸めすぎると、今度は外側と内側の中間が針のように尖ってしまい、余計に紙に引っ掛かる。
これが細字の素人調整が陥る罠で、拙者もずいぶんとペン先をつぶしたなぁ・・・(遠い眼)

8このペン先とペン芯をOEMで作っているのはどこだろう?ペン芯は左右非対称で、これは最近の流行らしい。
今回のケースでは、ペン芯下の空気の通り道から上にのぼる通路は、左図で下から左方向だけ。上からの通路は埋められており、空気は通れない。
左図左側の溝はインクの通り道で、その上側の空間を空気が通ってコンバーター/カートリッジの中へ空気が導かれる。
空気が入った量だけインクが溝からペンポイントまで導かれるわけじゃな。
今回のケースではペン芯にはまったく問題は無かった。インクはペン芯を通ってペン芯先端部まで導かれるのだが、スリットが詰まりすぎているため、インクが少ししか出ない。
しっかり筆記するためには筆圧をかける必要があり、筆圧をかければエッジが紙に引っ掛かる度合いは増す・・・ということ。

910そこで、今回はスリットを開いた上で、そのスリットの内側を何度も研磨、バフがけし・・・たかったのだが、止めた。
それはペン先先端部がプラチナかロジウムで鍍金されているから。バフをかけると鍍金は簡単に剥がれてしまう。
そこで今回は新兵器を使って丹念にエッジの内側を研磨した。そう、あの詐欺にひっかかったサイトで購入しようとしたものじゃ。
それが何かは・・・明日の表定例会@水道橋でご披露しよう! そして二度と公開はしないよー!


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
   

Posted by pelikan_1931 at 22:22│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
この記事へのコメント
Mont Peli さん

ありがとうございます。最近のボックのペン先の上位バージョンは、下手なメーカー純正ペン先よりも出来が良いですねぇ。
Posted by pelikan_1931 at 2015年10月04日 10:33
FPN投稿にHoratio Nelsonモデルのレビューがあります。ココ。---#1のJonstさん投稿
http://www.fountainpennetwork.com/forum/topic/235894-onoto-horatio-nelson/
ニブのコメント(5. Nib and Performance)---ドイツのBock社製であろうと見立てています。私も同意見です。
ペン芯もぱっと見Faber-Castell 伯爵コレクション そっくりです。

貴金属軸は英国のGoldsmithのJack Perry社に外注していることが開示されています。(ただし、より精緻な銀加工のOverlay軸は、Henry Simpole社製で軸にhallmarkあり)
樹脂軸の外注先は不明です。
Posted by Mont Peli at 2015年10月03日 08:21