2016年04月27日

TWSBI VAC mini このペン先には恐れ入った!

1既に発売されてから時間が経過したが、気になっていた TWSBI VAC mini を先日のペントレで入手した。
プランジャー式の萬年筆は、通常より長い軸になりがち。インク量を稼ぐためには胴軸が長い方が有利だから。
そこにmini軸を投入してきたのはTWSBIの歴史の浅さ、いいかえれば、萬年筆に対する先入観の無さの勝利だろう。
とはいえ、最大インク量は1.8ccになる。回転吸入式ではなかなか達成できない吸入量じゃな。
ただし、普通に吸入しても胴軸の半分くらいまでしかインクは吸入出来ない。この場合の吸入量は1.2ccほど。
それに対し、以前に趣味文で紹介したやり方で入れれば・・・1.8cc入る。この状態では胴軸内に細かな気泡が数個ある程度。すなわち99%まで吸入出来る。
この状態で1.8ccの吸入量と言う事になる。こういう荒削りな機構は、使い手の工夫で性能を上げる事が出来る。やってみなはれ!(鳥井信治郎)

23こちらがTWSBI VAC miniのペン先。TWSBI創業当時とはニブの供給元を変えたのかな?
以前、書斎館でTWSBIの社長とお話しした時、近い将来ペン芯は自社製造するとおっしゃっていた。
ただしペン先はドイツの専業メーカーに生産委託。その委託先も近々変えるとおっしゃっていた。もう何年も前のことなので既に実現していると思われる。
台湾の企業は、(鴻海と同じく)意思決定が異常に早い。侵攻も撤退も実に素早い。ましてやオーナー企業なのでTWSBIの意思決定も早いだろう。

45この萬年筆のペン先はなんお変哲も無いスチール製のMなので、まったく期待しないで書いてみたのだが・・・
インクフローは良いし、ひっかかりも無い。皆無なのじゃ!もちろん封を切ったばかりなので誰もペン先をいじっていない。
スイートスポットを埋め込めば、さらに書き味は良くなるが、一般的な筆記には十分すぎる書き味じゃ。
インクがねっとりとしながら出てくる感じ。これが良い書き味を演出している。
スチール製ペン先差別主義者の拙者ではあるが、この書き味を見せつけられると、最近のスチール製ペン先に対する評価を変えなければならないかもなぁ〜。
はっきり言います!この書き味は抜群です。もちろん個体差かも知れないが、未調整でこの書き味なら・・・調整師に頼る必要は無いだろう。
重量もインクを万単位すると26.1g。胴体が小さい割りに重いので、持っていてしっくりとくる。今年初めてのお薦め萬年筆です! 

Posted by pelikan_1931 at 23:00│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
この記事へのコメント
Mont Peli さん

貴重な情報ありがとうございました。
ペン先をBockに変える事は、社長から伺っていたのですが、その後JoWo社製に変えたのは知りませんでした。
Posted by pelikan_1931 at 2016年05月05日 09:01
>こちらがTWSBI VAC miniのペン先。TWSBI創業当時とはニブの供給元を変えたのかな?

根拠資料は省きますが、調べた結果は次の通りです。

1.TWSBI創業時モデルは530だと思いますが、ニブ・ユニット(ペン先・ペン芯・ホールダーの3点セット)はシュミット(Schumidt)社製でした。
ただし、Schumidt社はペン先を製造していないので、この時のペン先のメーカーは不明。
2.その次の540からは、ペン先がBock社製にチェンジし、ペン芯とホルダーがTWSBI製のオリジナルに変わりました。
3.Vac700の途中でペン先がBock社製からJoWo社製に変わりました。
JoWo社(JoWo Berliner Schreibfeder GmbH)は、1852年創業のドイツの老舗steel nibメーカーで優秀と折り紙つきのsteel nibを作っています。(現在は金ペン先も製造)
4.TWSBI VAC miniのペン先は、発売時からすべてがJoWo社製です。
Posted by Mont Peli at 2016年04月28日 07:32