従って、重箱の隅をつつくようなレポートになりがちなのだが、今回の薫風については最大限の評価をしたい。
一つだけ製造上の改善点は発見したが、製品自体とは関係無いのでここでは書かない。


はっきりいって、それは大間違い!この薫風は、すでにネットの世界では大人気!予約しても店側が確保出来なかったという噂も流れている。
拙者もずいぶん前にUEF/F/Mの各1本を申し込んだが、その時点で既にMは取れないと聞かされて呆然とした。
春暁は3,776本の限定だったが、薫風は2,500本しか作られていない。軸の彫りの歩留まりが悪いから〜なんて噂も聞くが、春暁の結果を受けて、少しなよったのではないかな?
だが、今回は倍の5,000本でも完売しただろう。それほど魅力にあふれた万年筆だ。特に軸の彫りは素晴らしい。
特筆すべきは、NICEと違って彫りのエッジが立っていないこと。NICEが苦手という人は、NICEの縦の彫りが指に当たって痛いと言う。
今回の薫風では面取りしてあるのか、そういう曲線なのかはわからないが、エッジが見当たらず実にスムーズ。指当たりが良くて、指に優しいという理想的な軸じゃな。

ちゃんと透明にしてくれました。拙者はペン芯まで透けて見えるのが好きなので、WAGNERの限定品(NICEベース)には透明ソケットを使っている。
ところが、春暁では白のソケットを使ったので、ペン芯が見えなかった上、首軸と胴軸とが違う素材のように見えたのじゃ。


下の3本が白いソケットで、それより上は透明ソケット。思い起こせば透明ソケットのモデルの方が人気が高かったような気がする。
白いソケットにすると首軸の色が白いソケットの上で目立ってしまい、安っぽく思えてしまう。やはりソケットは透明か黒が良いと思うなぁ〜。注:一番上はシャイン・ピンク(通販限定モデル)

海外のサイトでは薫風のSM付きや、B付き、C付きなども注文できる。SM以外は正式には出ているのかどうか不明だが・・・拙者と同じ事してるのかも?


ペンポイントを拡大するとスリットが開いている上、頂点の高さが異なっている。これではカリカリしてストレスを感じてしまう。
超極細のペンポイントはスリットを思いっきり詰め、ペンポイントの高さを揃えたうえで、エッジを落とさないと万年筆らしい書き味にはならない。
もちろん、ノートにカリカリと小さな字で書き込むので書き味は二の次・・・という人がUEFを購入するのだろうが、拙者には耐えがたい。


インクもある程度流れるし、ひっかかりも無い。しかし、これは所詮30分調整でしかない。


時間(=お金)をかければどんな書き味の万年筆でも、持てる性能の最大値に近いところまでは持って行ける。
そして最高レベルにまで調整出来たペン先は、使えば使うほど性能が落ちていく。これは包丁と同じで使うほどに切れなくなるからじゃ。
ペン先を育てるという行為は、書き味の良くないペンポイントを使い込んで、〔すこしマシな書き味にすること〕を言う。ただ、そこには浪漫があるのでむげに否定するわけでは無いが・・・
早く絶妙の書き味を経験したいのなら、しかるべき調整師(有料でじっくりとやってくれる方々)にお願いして、一か月ほど待ってみては?
調整戻りも加味した上で、完璧な書き味を提供してくれることでしょう。ただ、持ち方が変わったり、ぶつけたり、落としたり、自己調整したら無に帰しますけどね。


他のモデルでは素通しの樹脂が使われている。もちろん、天冠や尻軸もサンドブラスト仕上げだが、これは他のNICEベースのモデルといっしょ。
春暁がすごいのは、胴体は素通し樹脂にカットラインを入れてるだけで、NICEのように胴軸にはサンドブラストを入れていない。
にもかかわらず、天冠と尻軸にはサンドブラストをかけてある。
春暁にはSF/F/M/B/Cのフルラインナップのロジウム鍍金のペン先がついていた。
拙者のように両方を購入して、薫風には珍しいペン先をつけ、春暁には残りのペン先をつけて双方とも徹底的に調整するというのはいかがだろう?
いつでも交換可能なペン先がセットで存在するというのはなかなか良かですたい! それに春暁は今ならいくらか安く入手できるしな!