2018年09月15日

万年筆談話室こぼれ話 その1

万年筆談話室を訪問される方々とお話ししていると、驚くような出会いや行動をされているので感服することが度々ある。

そこで、たまにはそういうお話をご披露してみようかなと始めるのが〔万年筆談話室こぼれ話〕シリーズ。

記念すべき第一回目は、フルハルターが大井町にあったころのお話。おそらくは10年以上前の話だろう。

平日の午前中、萬年筆研究会【WAGNER】の会員でも、万年筆&インクcafeの会員でもない方が、万年筆談話室いらっしゃった。

その方の順番になって、お話ししているうちに、フルハルターの話になった。

彼は過去にフルハルターに何度か出入りしたらしいのだが、記念すべき初訪問の日はMontblanc No.144を調整してもらおうと考えていた。

フルハルターのドアを開けると、森山さんは席を外されており、眼鏡のおじいさんと隣り合わせに座ることになった。

待てど暮らせど森山さんは出てこない。どうやら買い物に出かけていたようだった。

眼鏡のご老人が話しかけてきたので、万年筆談義になったのだが、No.144の調整に来たというと・・・

〔何でしたら私が直しましょうか?〕とおっしゃったのだが、見ず知らずのおじいさんに大切な万年筆を触らせるわけには行かないと思い、丁重にお断りして取り戻し、森山さんの帰りを待ったのだとか。

〔森さんだってあやしいと思うでしょ、だってベレー帽かぶってたんですよ、そのおじいさん〕といってにっこりと笑った。

な、長原大先生だ!万年筆の神様だ!

〔あーぁ、、あの時見てもらっておけばよかった。結局一度も長原先生には見てもらわずじまいだったんです〕

本日は満席の飛行機で長崎に到着し、迎えに来てくれていた友人の車でホテルに行き、部屋に荷物を置いてから、友人とマツヤ万年筆病院を訪問。

たまたまご主人と奥様が二人ともいらした。奥様は先代の娘さんで辰年産まれ、すなわち拙者と同い年。

友人の話によるとすごい目利きで、大量に仕入れる万年筆はご自身の感性だけで決められるそうだが、まず外さないのだとか。

パーカーのビッグレッドの復刻版を世界で一番多く売ったとか、Lamyの4色ペンの大量注文(数百本)が来た際、世界中の在庫を調べてもらったら、本社よりもマツヤの方が在庫が多かったとか!

ご自身が好きな万年筆は必ず売れるというジンクスがあるそうな。この方(愛称は:おちかさん)には萬年筆会の辰年グループの会長になっていただきたいな。

そのおちかさんが絶対に売れると太鼓判を押すのは、今回のパイロットの100周年と同じタイミングでひっそりと売り出された、キャップレスのプラチナ鍍金モデル。

定価3万円だが、拙者もこれは売れるだろうなぁ〜と感じていた。おちかさんは、すでに大量に発注されているらしい。

今回仕入れたこぼれ話。Pelikanでは、限定番号No.1の品は、本社の金庫に保存され絶対に販売されないということ。

少なくとも、春夏秋冬の4本セット(240万円)の限定番号No.1は日本で作ったが故に、営業の方に見せてもらったが、触らせてもらえず、そのまま独逸送りになったらしい。

限定番号一桁のセットを仕入れたが、店に展示した数時間の間に売れてしまったとか。長崎は天領だったため住民には幕府からお金が出たらしい。

そういうお金を生活費には使わず、お祭りや贅沢品の購入に充てた文化の名残が、長崎で高額万年筆が売れる理由ではないか?・・・というのが友人の推理だが、なるほどなぁと妙に納得しながら、餃子25個とチャンポンで張り裂けそうなお腹をさすりつつこの記事を書いた。

おやすみなさーい! 明日はそぼろ皿うどん(焼きチャンポン麺)も食べてみよう。一口もらって食べたらとってもおいしかった!


Posted by pelikan_1931 at 23:48│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック