左画像は左右とも、製造から1年ほど経過した 泉筆五宝展記念万年筆。真鍮部分は少しだけ曇ってきている。
真鍮は一様に曇っていくわけではなく、布に接触している部分、革に接触している部分、空気に触れている部分・・・によって曇りの進行も濃さも変わる。
しかも、それ以前に指で触れたり、薬品で洗ったりしていれば、その部分の曇りの進捗にも変化が出てしまう。
かといってピカールで磨くと、真鍮独自の風味が消えてピカピカになるが、そこから表面が滑らかなまま曇りが進行していき、かえって可愛くない。
ピカピカの状態を維持するには【サビーヌ・ブラス】という液体を塗れば曇りは発生しなくなるのだが・・・真鍮ぽくないなぁ。
拙者はほとんど金属が腐ったくらいにダメージを負った真鍮が好きだ。同じ気持ちの仲間も少なくない。特に、いわゆる【外人さん】は大好き!
日本でも台南でも、ダメージ加工した泉筆五宝展記念万年筆ばかりがお嫁に行く。一方で自然劣化している真鍮軸は見向きもされない。
それなら【いくらなんでもそれはやり過ぎでしょう・・・】と少し引かれるくらいのことをしようと、ここ一ヶ月ほどいろんな実験をしてみた。
左画像上は綺麗な軸をバーナーであぶっただけ。それでも色は変わるし、あぶった後は曇りにくい。
バーナーであぶったあとで油に浸すといい色になると教えてくれた方もいるのでやってみたいのだが・・・やけどしそうで怖い。
下は、相当手をかけたもの。キッチンハイター⇒希塩酸⇒バーナー⇒キッチンハイター⇒アンモニア。
アンモニアにつけて3日ほど、減った液を追加しながら戸外に放置。その後、アンモニアから取り出して水に浸けること2日。
それを金ブラシでこすった後で金磨き布でこすったらこうなった!なんか気味悪い水色のブツブツが・・・
それを拡大してみると、どうややアンモニアに侵されて?真鍮から出た気泡が固まったもののようだ。
それを金ブラシでこすったため、一部の気泡の頂点が割れて、小さなフジツボのような状態になっている。
これが真鍮をつけたアンモニア液が濃いブルーに変わった原因だったんだな。感動的な光景だ!戸外に何十年も放置されていた真鍮みたい!
もちろん、内部の樹脂はバーナーで溶けたため、新しい内部パーツは取り寄せ中。これを組み込めば新しいキャップが出来上がる。
尻軸はキャップを挿しこむので、気泡を作るわけにはいかない。また首軸はインクがまとわりつくので変に劣化はさせられない。
そちらは、別の方法で黒化させる予定じゃ。明日その液が届くので実験してみたいな。
でも趣味文の締め切りも近いし、イベントも多い(岡山、福島、誕生日)ので時間は有効に使わねばな。