2020年03月22日

万年筆を調整する・・・・ってなに?

@03本日、Lichtope オリジナルの万年筆(特別仕様のPENLIX)14K-Flex を調整していてふと思った。

万年筆を調整している人を一般的に〔調整師〕と拙者は呼んでいるが、人によってやっている事は驚くほど違っている。

まず、自分のことを〔研ぎ師〕と定義している人と、〔調整師〕と公言している人と、〔万年筆の整備をしています〕と謙虚に話す人がいる。

ここではメーカーの工場でペン先を出荷状態にまで持っていく人を対象外とする。

となると、〔研ぎ師〕の割合が半分以上なのは、フルハルターの森山さんと、Nib Shaperの長原さんだろう。

で、研ぎ師を別にすれば、有料でペン先調整を行っている調整師というのはさほど多くない。

萬年筆研究会【WAGNER】の調整師はプロ(拙者とたこ娘)・アマ(それ以外)とわず有料で調整を行っている。

またpenandmessage.やpenlandcafeも有料(もちろんプロ)。遠隔調整を入れれば有料のプロの数はもっと増えるだろう。

もちろん、研ぎ師も調整はするし、調整師も研ぐ。要はどちらに重点を置くかだ。

そしてペン先調整ではなく、万年筆の調整といえば、修理やカスタマイズも入ってくる。

修理の世界というのは修理マニュアルがあり、どういう状態が正しいのかを知っておかないと修理は出来ない。

逆に言えば、マニュアルがあれば、ちょっと器用な人なら、すぐにでも修理は出来る。ただし修理パーツと工具があればだがな。

実は修理の世界には逸材が多い。工作機械を使ってやる人は部品から作ってしまう。

拙者のような老い先短い人間は、少しでもたくさんの萬年筆を調整したいので、部品作りやリスクの高い修理はそういう人にお願いしている。

研ぎ師の特長は、ある程度ペンポイントの形状の完成形のイメージを持っており、それに近い形に研ぎ上げてからカスタマイズする方式をとられるのだと思う。

その点、調整師と呼ばれる人たちは、完成形にはこだわらない方が多い。

依頼者の好みを聞いて、どういう状態なら、この依頼者が満足するかを考える。

これが一様ではなく、また同じ依頼者が同じ内容を頼んでも、日によって解決方法が違うこともある。差し出された万年筆の状態によってやり方も変わってくる。

いわば同じ材料を使って、おいしい物を食べさせて下さい・・・というお客に、腕によりをかけて創作料理を作るのに近い。

たとえば、字幅を細くして欲しいという要望に対して・・・

スリットを詰めるだけの人

ペンポイントの横を削るだけの人

ペン先を下に曲げてポスティング状態にして小さな字にしてしまう人

長刀研ぎにして裏書きさせる人

解法はいくらでもある。

さらには上記の方法を複数集めて解法を求めれば、時間はかかるが依頼者の望みにはどんどん近づけられるだろう。

調整師は個々にいろんな方法を編み出し、他人の方法を教えてもらい、教え合ってもいる。

人の話を聞くと、もっと良いアイデアも思いつく。そうやって相互に刺激を請け合うことこそが腕を上げる最良の方法なのだと思う。

拙者が台湾や韓国のペンショーに参加したり、海外の調整師のHPで、彼らの技を頻繁に見ているのは、それに触発されて新しい事を思いつくからじゃ。

思いついた事を試すには、生贄が必要だ! なので・・・よろしく! わたし失敗しないんです!


Posted by pelikan_1931 at 23:35│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
この記事へのコメント
 こんにちは。

 紙様さんのお気持ちも分からなくはないですが,一部の情報を隠す人の心理も分からない訳ではありません。隠してなお得意げというのは仰せの通り論外ですが。

 例えば希少性ある特定の万年筆について,重要な情報を握っていたとしても,その人はそこに行き着くまでにそれなりに金銭面や労力といったところで使うところがあった筈。それだけのコストを払って得た情報なのに,それを無償で提供するなんてちょっと,というのはあるでしょう。ましてや,タダで教えて貰うことにありがたみを感じない,もしくは教えて貰って当たり前というスタンスで目の前に来る人がいたとしたら,教える側の気持ちは如何でしょう。

 世の中いろいろな人がいますし,自分の老い先とか考え合わせれば,墓場まで持って行くような情報なのかどうか,一概には言えないことですが,何でもかんでも知っていることは包み隠さず教え合って有り難がられる,そんな精神風土が醸成されれば良いですね。
 
Posted by monolith6 at 2020年03月24日 16:49
>>調整師は個々にいろんな方法を編み出し、
他人の方法を教えてもらい、教え合ってもいる。<<

WAGNERに参加している理由は
情報の共有です。

自分の知っている事は誰にでも
全て教えます。
そして
皆様から自分も色々な事を
教えられ助けられています。

「企業秘密だから教えない。」
とか
「コレは内緒。」
などと情報拒否して自慢している人をみかけると
哀しい気持ちになります。
Posted by 紙様 at 2020年03月23日 07:56