2020年2月10日のBlogで紹介したまま、ペンケースの肥やしになっていた万年筆を本日微調整した。
正確に言えば、掲載されていた3本の内の2本と言うべきかな?
名古屋大会に持って行こうとしていたが、忘れてペンケースに入れたまま使わずに放置されていた。
いずれも昨年度のWAGNER 2019 限定品の14K-EFのペン先を改造・研磨した物じゃ。
一本はウェバリー風に先端部を上に反らせた物、もう一本はEFを鉈研ぎ風に改造した物。いずれも調整に非常に時間がかかる。
プラチナはペン先の形ががっちりと成型されており変形しにくい。
その分、調整師がアレンジしようとしても、そう易々とは曲げさせてくれない。
往年のOMASの18金ペン先のように、指でつまむと指紋がペン先に刻まれるのではないかというほど柔なペン先とは全く違う。
剛性が高く、曲げてもすぐに元の形に戻ってくれる。その分、作ってしまった段差を戻すのには、時間と力が必要じゃ。
ウェバリー風に反らす際には、曲げると同時にペン先が背開きになってしまう。
従って力でもって背開きを直す必要があるのだが、センチュリーのペン先でウェバリーに曲げた背開きを直すのはかなりの力業。
セーラーは21金なので曲げやすく、パイロットは剛性が低いのでさほど力はいらない。
プラチナの場合は、独特の剛性の高い弾性がウリなので、柔らかいペン先は別のライン(細軟や中軟)で楽しんで下さいという姿勢。
間違っても魔改造を前提とした設計にはなっていない。
しかし入手して、もはや手に入らなくなった万年筆を手に合わせて欲しいという要望があれば、調整師としては冥利に尽きる!
以前の状態でもなかなか良かったのだが、今回は異次元の書き味になった。ただし筆圧をかけず、速記もしないという条件でだがな。
表で書けばソフトEFもどき、裏で書けばなめらかなUEFというところかな。
2度と作れないような気がするので、自分で使うことにした。
こちらは、EFを鉈研ぎにした物。まるでチビ鉈のような雰囲気だが全く違う。
チビ鉈は細軟(SF)のペンポイントを研いでこそ得られる書き味で、硬いEFでチビ鉈の書き味を出すことは出来ない。
そこで開き直って、インクフローを絞った上で字幅に変化をもたらせるような極細にチャレンジしてみた。
拙者のようにインクフローの多いのが好きな者には向かないが、描かれた線は実に綺麗だ。
EFというか、UEFに近い線幅で、ここまで綺麗な線が描けるとはびっくり。
これ以上触ると特長が消えそうなので、インクフロー改善には走らないでこのまま使うことにした。
今日はたっぷり睡眠をとったせいか、実に良い調整が出来たわい!