2020年10月17日

字も綺麗に書ける絵画向けペン先

@01こちらは真鍮古美仕上万年筆の胴軸を緑の半透明樹脂に変え、キャップを緑のラッカーで塗ったもの。

ペン先は18金のEFが付いている。これを、ふでdeまんねん風に反らすのだが、字の方は字幅可変、絵を描く際に書き味が良いという研ぎに挑戦した。

セーラーのふでdeまんねんはペン芯の先端部からペンポイントまでの距離の(先端部から)半分強の部分を40度上に反らせている。

これによって立てれば細字、寝かせれば太字がかけるのだが、実は、イラストや絵を描く人にも愛用されている。

ただ、字を書く人には、書き味がいま一歩、絵を描く人には線の幅が単調との評価を受けているようだ。

昨日会った古山画伯は、先代の長原先生にお願いして、絵画用のペン先を作ってもらった。

それを長原先生は当初〔ふででおまんねん〕と呼ばれていたそうだ。

そういう懐かしい話の場に、たまたまサイン用に持ち込んだ、拙者が研いだふででまんねん風の万年筆があった。

ただ、インクの色がMontblancのボルドーで、でべそ会長とかぶるので、2冊くらいでやめて深海にした。もしそれが当たればラッキーですぞ。

ほとんど使われなかったその万年筆を何気なく持って字を書いたでべそ会長は・・・

〔こんなに気持ちよく字の書けるふででまんねんは初めてです〕と褒めてくれた。

それを聞きつけた古山画伯は、その万年筆で絵を描いたあと、7本の万年筆を出して、〔この7本を自由に研いで、絵画用に〕と差し出した。

正直困った・・・拙者は文字を書く道具としてふででまんねん風の研ぎをしていたので、絵画用は考えたこともなかった。

まずは、実験じゃ! と、上の万年筆をそれらしく研いでみることにした。

褒められた万年筆は、古山画伯に進呈したので、それを参考にすることが出来ないので、もう一本作る事にした。


@02それが最初に紹介した真鍮古美仕上万年筆。

ペン先は18金のEFで、このままでも極上の書き味に研いである。

これをふででまんねん風に反らすわけなのだが・・・


@03@04このように、少しお辞儀したペン先を上に反らすと、先端部が開き、かつ、背開きになってインクは出ないし、書き味はガリガリ。

そこで、ペン先を外して、先端部の開きを寄せ、背開きを腹開きに近いくらいまで曲げる。

この作業は金ペン先ではさほど大変ではないが、スチール製ペン先では指が痛くなってしまう。

ちなみに、古山画伯から預かったうち、6本がスチール製ペン先!まずは金ペン先での実験というのが本日のBlogの主旨。


@05こちらが拙者が再度作ったふででまんねん風のペン先。

実は40度ではなく、二段階に曲げてある。これによって細い線、太い線とともに、連続的に線幅を変える線も引けるのじゃ。

そして先端部、横、反対側のエッジに至るまで、全て細かいペーパーで仕上げてある。

ペン先をひっくり返せば極細、普通に描けば、Fから超々極太まで線幅を変えられる。

しかもまったくひっかかることなく線が引ける。これ、絵を描くというよりも字を書く方に向いているはず。

絵を描く際にはひっかかりなど全く気にならないはずだからな。

@07そして、絵を描く際の隠し球もある。

それが左側画像右端の万年筆と同じく、春の泉筆五宝展2020 限定万年筆のキャップを尻軸に接着するのじゃ。

こうすると、異常に長くて、真鍮キャプよりは軽くて扱いやすい絵筆用万年筆に変身するはずじゃ。

現段階で文字を書くには万全の万年筆となっている。では絵を描くためにはどうかなぁ?

2日ほどかけて古山画伯用のふででまんねん風の研ぎを7本やる際には、今回の研ぎを参考にする。

で、研ぎ終わったら、この万年筆は無用の長物になるので、TIPSで販売する予定じゃ。

WAGNER会員は絵を描く万年筆にほとんど興味を示さないので、それまでにこれがお嫁に行く可能性は低いのでな。

こういう力をかけて研いだペン先は必ずといっていいほど調整戻りが発生する。

従って1ヶ月ほど観察しながら微調整を繰り返してTIPSに望むことになるだろう。

絵やイラストに万年筆を使ってみたい方はぜひ、ためしてみて下さーい。もちろん、TIPS会場で同じ物を作れますよ・・・たぶん。


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック