2020年12月17日

【 Montblanc '50年代 No.146 14C-KB インク漏れ 】(アーカイブ 2009年5月)

この時代にはピストン弁にコルクを輸入して使っていたんだなぁ。

今ではOリングを使うのが一般的。ただし、Oリングは硬いので、軸が収縮すると軸自体が裂けてしまう可能性が無いとはいえない。

韓国のPenHoodでは、それを避けるためにOリングはやめてコルクに戻したと聞いたことがある。



2009-05-27 01今回の依頼品はMontblanc No.146。画像でわかるとおり1950年代のモデルじゃ。

過去の掲載ログを見たところ、Montbanc+Pelikanの独逸勢が圧倒しているが、その中でもMontblancがPelikanの2倍ほどはあろうか・・・。

萬年筆研究会【WAGNER】は【ペリカン倶楽部】が母体となっているので、会員の持っている萬年筆ではペリカンの方がモンブランよりも多いのは、過去の持ち物検査で判明している。

にもかかわらず調整報告での登場回数ではMontblancがPelikanを圧倒している・・・

これからVintageの世界に入る人は、この事実を冷静に捉えた上で足を踏み入れるようにな・・・。近くに修理・調整してくれる店が無い場合は非常に危険。

特に海外からの入手は。自分である程度の技量を身につけた後であれば問題無いと考えるのも早計。部品が入手できないと万事休すという場合も多いのじゃ。


2009-05-27 022009-05-27 03今回はペン先には何の問題もない。スリット調整、研磨の状況、ペン芯とペン先の位置・・・

全てが拙者の好みじゃ。拙者のBlogを見て誰かが調整したのか、拙者自身が過去に調整したのか、単なる偶然か・・・

最近、個体判別能力が落ちているので定かではない・・・


2009-05-27 04不具合はインク漏れ。しかもピストンの後側へインクが回り、尻軸のところからインクが漏れるというもの。

画像では古いコルクを外しているが、こういう場合はコルクが収縮して胴軸内部とコルクとの間に隙間が出来、そこをすり抜けてインクが後ろに回るというもの。

ある種、宿命だが、座敷牢に収納する時に内部に水を充填し、コルクが乾燥しない状態にしておけば長持ちする。

インクを少量残したまま乾燥させてしまうのが最悪じゃよ。


2009-05-27 052009-05-27 06横から見ても、ペン先の状態には問題がない。ペンポイントもクーゲルらしくなっている。

このペン先の厚さであれば、紙にペンを置いた瞬間の感触はふぅうわっとして最高であろう。

拙者自身はクーゲルの書き味は好きではないが、紙当たりの感触には一目置かざるを得ない。

2009-05-27 07ここから先は直し方を伝授。まずは左画像。これはコルクとピストンと胴軸の関係を表している。

ピストンは後側から専用工具を使って外す。コルクはNo.146専用のコルク(独逸から通販で入手)を胴軸内径よりやや細い状態にサンドペーパーで削る。


2009-05-27 08それを左図のようにリングで止めて装着し、スムーズに稼動するかどうかを確認する。

その後でコルクをピストンから取り外したうえで、熱したイボタ蝋の液に浸け、回りを蝋で固める。

ピストンだけを胴体に取付け。ピストン先端部を一番前まで前進させて、胴軸の首軸側から蝋で固めたコルクを押し込んで、リングで止める。


2009-05-27 09その状態がこちら!書けば簡単じゃがかなりの微調整が必要で、専門家でない拙者は毎回コルクを一個は余分にダメにしてしまう・・・。

ちなみに以前、独逸にコルク交換を頼んだら、送料抜きで50ドルかかった!コルク代ではなく、あきらかに人件費!趣味なら嬉々としてやるが、商売としては拙者には出来ない・・・



2009-05-27 10こちらが最後に首軸を取り付けた状態。首軸の取り外しには胴軸をヒートガンで温めて行う。これはヘアードライヤーで十分。

世界のコレクターは携帯用のヘアードライヤーを使っているそうな。それなら最高温度は低く、軸にダメージを与えるリスクも少ないじゃろう。



【 今回執筆時間:6時間 】 画像準備1.5h 修理調整3.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


Posted by pelikan_1931 at 23:52│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック