鍍金マスク液の配合を会得すれば、マスキングはきれいに出来る。絵心がある人がやればもっと上手く出来るはずだ。
ボーグルーペをつけての作業になるので、超細かい絵筆も必要。出来れば命毛があるような筆が良い。
いずれにせよ絵筆の幅が狭く、細い毛の物が良い。
鍍金する時になっていつも【あれ買っておけば良かった!】と思うのだが、終わると達成感で忘れてしまう。

木工用ボンドは金属の上では接着が弱いし水で溶ける、セメダインは脱脂液をつけるとボロリと外れてしまう、瞬間接着剤は鍍金終了後はずれない・・・
これ以外のもマスキングテープやらいろんなものを試してみたがことごとく失敗。
ではMontblancはどうやってプラチナ鍍金しているのか?と調べていたら、シールのようなものをペン先に貼っている写真があった。
良く見るとプラチナ鍍金すべき形はくり抜かれてはいない。
ということはマスキングテープではなく、プラチナ鍍金すべき鍍金液が染み込んだようなシールかな? それ以上は解からないが手作業で鍍金しているらしい。
やはりマスキングしてプラチナ鍍金をするのではないな。あまりのも効率が悪すぎる・・・ところが鍍金シールが絶対に手に入らない素人はマスキングしての鍍金しか出来ない・・・
と諦めていたのだが【鍍金マスク液】なるものを見つけてから期待は盛り上がっていた。
これまでに紹介したように、ペン先の裏にロジウム鍍金する際、鍍金液が表に回らないよう表面全体にマスク液を塗った事はあった。
しかし今回はマスクする面が非常に狭い。したがってうまくいくかどうかはわからない。
依頼者からは失敗しても良いから・・・なんていわれていたが、引き受けた以上鍍金ごときで失敗しましたとは言えない。

拡大してみれば多少の鍍金斑はあるのだが、メーカーから出荷したばかりのペン先でも斑はいっぱいある。ただ拡大鏡で見ないので気づかないだけ。
プラチナよりも銀の方が上品な輝きなので、いっそう豪華には見える。ただ・・・二度とやりたくないほど面倒な作業だった。
鍍金マスク液は粘りがあって細かい塗りが困難。といってうすめ液で薄めるとドバーっと拡がって余計な部分をマスキングしてしまう・・・
その部分をナイフで削り取るとペン先にダメージを残す可能性があるので、全部剥がしてやり直し・・・・
結論から言えば、ペン先のバイカラー再鍍金は、よほどの事が無い限りお奨めは出来んな。
今回はマスキングする部分が外側だけだったが、内側もマスキングして金銀金のバイカラー鍍金であれば発狂していたかも。
自由奔放に斑模様を創るような鍍金は面白そうなので、今度実験してみる。早い話がバーメイルが一部剥れたような感じを出したいのじゃ。