2021年03月28日

KIVISでの出会い (アーカイブ 2010年7月)

下に紹介した万年筆は、その後のご縁で、国立歴史民俗博物館に寄贈されたと聞いたが・・・勘違いかも?

この時、実はペン先もペン芯もゴシゴシと洗浄したのだった。

並木良輔氏の手に一度は握られたであろう万年筆を、その場にいた数人が手にして触らせてもらった。

おそらくは現役のパイロットの社員の方々も一度も触ったことのないであろう ”創業者の手のぬくもりが伝わる” 万年筆。

地方大会の妙味はこういうところにもあるのじゃよ。



2010年7月3日(土)に山梨県笛吹市で行われた【もじをつむぐ2010】@喫茶キヴィスですばらしい物語のある萬年筆との出会いがあった!

前日に毎日新聞山梨版に紹介記事が掲載されたのを見た、S氏(75歳)が、ご自身の萬年筆、それに関連のある書籍、その著者から祖父宛に送られた葉書を持たれて来訪された。

もう何十年も使っていなかった萬年筆の状態をチェックしてもらうのと、その萬年筆がどういう物なのかを調査するのが目的であったらしい。

S氏の祖父は東京高等商船学校卒業で、現在のパイロットの創設者、並木良輔氏の2年先輩。かなり篤い親交があったらしい。

今回S氏が持ち込まれた萬年筆は、その並木良輔氏がS氏に贈ったもので、S氏の銘が蒔絵で書かれている。

大型のインク止め式で、ペン先は50号、Pilotの文字が彫られているが、形状はダンヒルナミキの50号ペン先と同じ(らしい)。

図柄はカエルで、これはS氏の祖父が大好きだったもの。構図は代表的なもので、N御大によればすばらしい出来映えだとか!

そして並木良輔氏の著書(新品)もあり、そこにはS氏の祖父に感謝するという記述もある。この本の存在もN御大は知らなかったとか。

そして、その本には並木良輔氏からS氏の祖父に宛てた葉書が入っている。ずっと本にはさまれていたせいか、色も一切変わっていない。

萬年筆自体は一時S氏の父が使っていたこともあり、中でインクがネバネバになってはいたが、アスコルビン酸をはじめとする各種の液による洗浄によって、ほぼ元にもどった。

あとはペン先清掃や、パッキンの交換などが必要と思われるが、これは怖いのでやめておいた。

S氏とN御大のお話の後、N御大が【コレを拝見出来ただけでも山梨まで来た甲斐があった】とおっしゃったのが印象的だった。

S氏とN御大は、今後、交流を続けるらしい。S氏は、ご子息がこの萬年筆にまったく興味を示してくれないのが残念なようす。

ちなみに、S氏のご子息は、女優の松たか子のご主人だとか!


Posted by pelikan_1931 at 23:41│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック