2021年03月31日

【 Montblanc No.264 14C-M 生贄 】(アーカイブ 2010年4月)

No.264はVintage Montblancの中ではNo.142、No.256と並んで大好きな3本に入っていた。

もはやVintage Montblancにはさほど興味は持ってないが、目の前に出てくれば買ってしまうだろうな。

ペンポイントに至る斜面の表側が面取りに関しては、今では自分でもやるようになった。

なぜそうするのかは・・・秘密! ぜひ解明して下され。フェルマーの最終定理よりは解明は簡単でした。


2010-04-16 01今回の依頼品はMontblanc No.264じゃ。No.25Xシリーズが嵌合式のキャップなのに対して、こちらは回転式。なんとなく高級感がある。

インク窓がブルーの後期モデルは1957年〜1959年に作られたモデルらしい。

ペン先はNo.25Xシリーズのイカペンではなく、通常のペン先だが、拙者はこちらの柔らかい書き味の方が好きじゃな。調整の指示は特になかったので生贄とする。


2010-04-16 022010-04-16 03ペン先はMだが、スリットが強烈に詰まっており、ペン先の段差もある。

よく見ると、ペンポイントに至る斜面の表側が面取りされている。これにはどんな意味があるのだろう。まさか金の節約ではあるまい。

形を整える研磨の際に手元が狂ったのかな?ワザとだとしたら皆目見当が付かない。


2010-04-16 042010-04-16 05後期モデルなので、ペン芯はフラットフィードではない。

いわゆるペン芯としての性能面では、この後期型の方が上だが、見栄えではやはり前期型が良い。悩ましいところじゃ。

Mではあるがペンポイントの厚みは薄い。字巾は縦線で稼ぐタイプ。横線は細い。従ってペン先が詰まった状態だと、横線が出ない。

縦線は筆圧をかければ出るが、かけないと濃淡が極端で筆跡が小汚くなる。やはりスリットを拡げて書き出し時の筆圧が低くても字が書けるようにすべき!


2010-04-16 06胴軸の根元をヒートガンで暖め、ピストン機構を抜いてみたところ、ピストン弁の汚れは皆無。どうやら腕の良い修理人の手を経てからマーケットに出てきた物らしい。

多少ピストンが硬かったので、シリコングリースを弁に塗ってから元通りに胴軸にねじ込んだ。

No.14Xのテレスコープ方式と比べると吸入量は少ないが、修理を考えればこちらの方式に分がある。この方式はPelikanの回転吸入式の特許にひっかからなかったのかな?


2010-04-16 072010-04-16 08ペン先はNo.244と共通のようじゃな。ピストンは清掃済だったが、ペン先の根元にはエボ焼けがたっぷりと付いている。

これで販売元が日本ではないことがわかる。日本のプロであれば、エボ焼けは排除するはずだからな。

多少スリットを開いた上で、徹底的に清掃したのが右側じゃ。金磨き布の上にペン先を、数秒間こすりつけるだけでここまで綺麗になる。ぜひお試しを。


2010-04-16 09スリットはこの程度開けば十分。背側のスリット巾よりも、腹側のスリット巾が重要。出来るだけ広く、でも、書き出し掠れが出ないよう・・・というのがポイント。

本来なら毎日微調整するぐらいでも良いほど。ちなみに拙者はWAGNER 2008のミュージック・ニブを、今でも毎日微調整しながら使っている!


2010-04-16 10こちらが調整済ペンポイントの横顔。多少スイートスポットを削り込み、その周辺を付近に溶け込ませるように調整した。

スイートスポットはあるが、発見できない!という状態に出来たら最高なのだがなぁ・・・

インクをつけて書いてみると・・・ああ、心地よい!悦楽の境地・・・・このままでは書き味に溺れて生産性が著しく下落しそうじゃ!



【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 


Posted by pelikan_1931 at 22:35│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック