最近の中国や台湾製の万年筆は安価な物の品質は、むしろ日本製よりも良いといえる。
文具の仕入価格と販売価格との差が少ない上、人件費が安いアジアの国々で製造している。
そしてペン先もけっこう良い物を使っている場合もある。独逸製のスチール製ペン先を使う場合は、価格が倍になるケースもある。
いったい本体はいくらで製造出来るのだろう?
上はMoonmanの木製軸。Bock製のスチール製ペン先が付いたモデルだが、未調整でも書き味が良いと評判だ。
下はLABANのTAROCOで、こちらは台湾製。値段はMoonmanの倍くらいするが、それなりに垢抜けたデザインとなっている。
しかし、ペン先を見て違和感を覚えた。
LABANの万年筆は自社のロゴが入ったペン先を使っているはずだ。いくらなんでもBockのペン先は多雨買わないだろ・・・
実はTAROCOはペン先先端部が天冠内側の頂上に衝突してペン先がひん曲がるリスクがある。
キャップをきつく閉めると、ペンポイント先端部は天冠内部の底よりも奥に入る設計になっている。
天冠内部の金属に穴が開いていて、そこにペンポイントが収納される仕組みだ。
ただしインナーキャップが無いので、万力のような力持ちが閉めたり、捻りながら押し込むと・・・
ぐんにゃりと曲がる可能性がある。
拙者が持っているTAROCOはそういう被害に遭ったので、ペン先を互換性のあるBOCK製に取り替えたのだろう。
元々のペン先は右側のような状態だったが、左のようにペン先を入れ替えたのじゃ。
見比べてみると、どう考えても同じ設計のペン先に見えるじゃろう?
Bockの模様があるペン先は、ほぼ未調整でも気持ち良く書けた。
一方でTAROCOのペン先はやや細めに研ぎ上げてからスリットを狭めた。
実はその前に、ひん曲がった状態のペン先を直している。
先端部のオレンジに見える部分が下に曲がっている。ただし肉眼ではほとんどわからない。
そして研磨・調整してあるので、さすがに未調整のBock製のスチールペンよりは書き味が良い。でも差はさほど無い。
可能な限りペン先を後ろに押して、衝突のリスクを減らすような調整がこういう設計の万年筆では求められるのじゃ。