今なら、初めに依頼者に目の前で書いてもらう。それ以降、自分の筆記角度で書くことはしない。徹底的に依頼者になりきってしまう。
下記に書いてある、陰謀説は本当だった。このテストニブのあるお店では、基本的には試し書き禁止だったらしい。
あと、被膜と書いてあるが、まぁ脂膜だろう。おそらくは手の脂。
ペン先を素手で触ったあとは、必ずペン先を激落ちくんなどで洗浄しておいた方がいいですぞ!
最近は書き出し掠れ処置をほとんどしない。やらなくても書き出し掠れさせない技を得たのでな。口が裂けてもやりかたは言わないが・・・

No.146にある全てのペン先バリエーションとNo.145のS【真ん丸いペンポイント】のセット。
ペン先の太さに対して明確な要望を持たない人が店頭で試し書きする際に用いるもので、これを出されるとどれか選ぶしかなくなるという最終兵器!
考えようによっては、実物での試し書きを出来るだけさせない為の陰謀かも?
通常はセットでFかBか・・・とかを決め、その後で同じ太さのペン先をずらっと並べて手に合うものを選ぶというのが一般的。
しかし中にはTestペンで試し書きして、そのまま新品を買う人もいるからな。


スリットは適度に開き、ペンポイントの状態も実に美しい。見ただけなら完璧な調整といわざるを得ない。
依頼人の書き癖とは多少違うので、そういう意味では研ぎは必要。しかし拙者の筆記角度にはピッタリじゃ。何の問題もない。
ところが書いてみると・・・インクが出ない。まいったな・・・。金ペン堂さんのように、インクに浸けないでも合うかどうかわかる!というのを訓練している。
殆どの場合は当たる。しかしこれは外れた!
イロイロ調査してみると、ペンポイントに皮膜が出来て、これがツルツルと滑ってインクが紙につかないとの仮説に至った。
そこで皮膜を取る程度に5000番の耐水ペーパーでそっと擦ってみると・・・問題無くスルスル書けるようになった。
金ペン堂さんが商品での試し書きさせないのはこの皮膜を発生させないためかな?奥が深そうじゃな。

特に太字系は良い!ただし横から見ただけではわからない。横から見ればPelikanはもっと綺麗じゃ。
横から見た場合に確認すべきポイントは自分の筆記角度に合わせて研ぎを入れられるだけのペンポイントの厚みがあるかどうか。
これが一番大切。ペンを寝かせて書く人にとっては多少ペンポイントが薄くても問題ない。
ペンを立てて持つにもかかわらず横も太い字を書きたければペンポイントに厚みが無ければ実現できない。
Pelikanは下に厚くぽっちゃり、Montblancは上に盛り上がっている感じでペンポイントが付いている。
調整するならPelikanの方がやりやすい。拙者にとっては。

スリットは上下に平行にセットされている。この状態から、ごくわずかに腹開きにするのは1秒で出来る。
素材が柔らかいので力を入れるとすぐ曲がるので、調整はしやすいが、筆圧の強い人にとっては怖いペン先じゃ。

前回のNo.149の時代のペン先に戻せないものか・・・書き味には影響は無いのだが、これだけ高い万年筆でコストカットしないで欲しいなぁ・・

ペン芯の突起に左図のストッパーがあたるところが正しい位置ということになる。
拙者にとってはペン先がもう少しペン芯から前に出た位置のほうが好きだが、ストッパーがあるのに合わせないというのも気が引けるので我慢してMontblancの指示に従っている。

非常に良いことではある・・・遊べる部分が少なくなったので拙者には物足りないが、超マイノリティーなので文句は言えまい。
今回、新しい発見があった。通常の製品では、ピストン機構を軸にねじ込む際に、多少接着剤をつけてある。
ところがこのTestモデルでは接着剤が付いていなかった。
一般購入者ではなく、店頭に設置する試し書きセットなので、ピストン機構が外れてもスタッフがいるから・・・ということで省いたのかもしれない。
これはうれしい。接着剤が内臓の美観を損ねている・・・と常々思っていたのでな。
もうひとつは貴重な体験!調整し終わって筆記テストした時、たまに書き出しがスキップする状態が残っていた場合の新手法。
これまでは2000番でひと舐め程度擦っていたのじゃが、これが線ではなく、点をいくつか入れるだけで同様の効果があることを発見。
線よりもザラつき感が少ないのでヌラヌラ好きには最適じゃな。これはそのうち、裏定例会で実地指導しようと考えている。