それほど頻繁に使う必要のないものだったようだ。とっくに手元には無い。おそらくは机を整理する際に捨てたのだろう。
もし現在、下記の状態を直すなら間違いなく〔BONDIC 液体プラスチック接着剤〕を使うだろう。
紫外線を当てない限り固まらないので、時間をかけて丁寧に薄塗りする事が出来る。
また失敗した際の剥がしも簡単なので楽。
以前は、往年の修理マニュアルなどを入手して、それをなぞるように修理していたが、現在では新しい情報がどんどん入ってくる。
いろんな薬品や工具を、この修理に使えないか?などと常に考えていると思いつくものだ。
要は修理が好きかどうかということ。好きならばすぐに発想することが出来る。興味なければ思いつかない。
修理を頼むなら、発想力豊かな人に頼むのに限る。まぁ、たまに生贄になることはあるがな・・・

グレーは一回しか見たことはないが、緑も高かったなぁ。そういえば青軸はまだ持っているかもしれない。
独逸国内では緑縞しか当初は売られていなかったので、赤軸は輸出専用?そのせいか独逸のBidderに競り負けた事が度々あった。
Pelikan 140独特の書き味に嵌るとほかの萬年筆を使う気にならないらしい。拙者の知人でもPelikan 140ばかり100本以上保持している人もいる。
彼曰く、【ほかの萬年筆もたまに買うが、それは改めてPelikan 140のすばらしさを再認識するため】とか。
筆圧が極端に強く、字の太さに強弱を付けたい人には最高の萬年筆じゃ。Pelikan 400NNがスマートな30才前後の青年なら、Pelikan 140は16才くらいのじゃじゃ馬。
赤軸のPelikan 140なら、まさに赤毛のチリチリ髪でソバカスのかわいい【じゃじゃ馬娘】を想像してしまう。

これは拙者が最も忌み嫌う状態だが、依頼者にとっても同様らしい。これを何とかして欲しいというのが依頼内容。

樹脂の痩せというよりも、キャップと軸とが別々の萬年筆から集めた【二コイチ】ではないかな?
いくらなんでもこの状態ではPelikanの品質チェックにひっかかって出荷は出来なかっただろう。
そこで stylustip さんに紹介いただいた、ゲルメディウム【Gel Medium】を試してみることにした。
絵の具に混ぜてツヤをコントロールする物らしいが、ぐらぐらキャップの内側にごく少量つければグラグラがぴたりと止まる!というもの。
多少練習しないと、多く付けすぎてキャップネジにこびりついたり・・・
ということが起こるが、水性なので乾燥するまでは小さな歯ブラシに歯磨きを付けてゴシゴシこすればすぐに取れるので問題ない。
軸側に塗った方が簡単で効果も大きいのだが、見映え第一主義の拙者には、そんな事は出来ないので、満足のいくまで何度も繰り返した。
結果、完璧にキャップのぐらつきは止まった!この状態が永遠に続くとは思わないが、ゆるくなったらまた塗ればよい。
綿棒の先に少しだけつけて、キャップ無いのねじ切りの手前を軽くなぞって乾かせば完成!
ゲルメディウム萬年筆愛好家の必需品じゃな。ほかにも色々と用途を見つけたのだが、それについてはまた機会を改めて紹介しよう。

一見理にかなってそうだが、実際にはペン芯とペンポイントを離していてもインク切れする事はないし、第一離していたほうがペン先を上から見たときにストレスがない。
ペン先からペン芯がチラチラと見え隠れしている状態ほど不細工な物はない。股引が足首から見えているような感じすらする・・・

筆圧をかけない状態での気持ちよさは、何度か調整をやれば身につくが、強筆圧用の調整には熟練が必要じゃ。
この個体はEFのペン先なのであまり無理は出来ないが、BやBBならばおもしろい書き味に出来る。

EFの場合には筆圧をかけすぎれば紙を削ってしまう。
あくまでも多少筆圧を強くする程度で楽しんで欲しい。
今回執筆時間:4時間 】 画像準備1h 調整2h 執筆1h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間