尻軸根元のリングが、文字通りリングで、これを回しても吸入機構は外れない。リングが空回りするだけ。
やはりオリジナルと同じ物は作れないと今ならわかる。この尻軸機構をエボナイトで作ったら・・・20万円を超えてしまうだろうて。
拙者の予想通りだったのは、金型を作って色違い軸がどんどん発売されるはずだということ。
ただ、最近ではM800系やM101N系の新製品が出てこないような気がする。一時はこれでもかというほど出ていたのだが・・・
ひょっとするとPelikan社にとって、M800系やM101系は経営の重荷になっているのかなぁ?ちょっと心配!


そのため、記事がこの時間になってしまったが、日本に入荷したモデルのインプレッションを早めに届けたいと思ってな・・・
このモデルが出るという話を聞いたとき、価格が5万円程度と聞いて、まったく期待していなかった。
もしロットの少ない限定生産品を5万円で作ろうとしたら、定番品よりもはるかにみすぼらしい品になってしまうのは明らかだと思っていた。
今回入手してみて、ひょっとすると将来、半定番のラインに加えられるかもしれないと感じた。十分に価格に見合う品質を持っている。
現在のPelikanのラインでは、M800が52,500円、M600が39,900円、M400が31,500円、Ductusが47,250円で、M101Nが50,500円。
売る側としてはおいしい価格帯に位置している。
作る側の視点で見ると、金型を使わなければならない部分は、今回の開発で出来た(例:天冠、尻軸)。
従って色違いを作るには、素材だけ変えれば良い。キャップと胴体の縞は、作り方は緑縞と同じようなので新たな技術はいらない。すなわち半定番化の土台は揃っている。

最近の製品ではPelikanの限定品ラインとMontblancのフィッツジェラルドでしか見たことがない。この吸入機構が、右に捻ることによって外れるのはすばらしい!
インクがピストンから後ろに回る場合でも簡単に洗浄できるし、シリコングリースを弁に塗るのも特殊工具を使わなくても良くなった。
復刻で最も重要なのは、軸色ではなく機構。しかも便利だった機構の復活が大事なのじゃ。
すぐに壊れるテレスコープ吸入式や、すぐに錆びるうえ吸入量の少ないスノーケル吸入式を復刻しても意味が無い。
やるならボタンフィラー、レバーフィラー、分解可能な回転吸入式というのが拙者の望み!今回は見事に答えてくれた。
今後年に一種類ずつくらい模様違い、色違いが出てくることを期待している。
もはや寿命の尽きかけたVintageにほとんど興味の無くなった拙者としては、古き良き機構が現行品で実現されるのが最もありがたい!


もっともBBに関しては、日本でかなりダメ出しして本国に送り返したので、あまり数が無いのだとも聞いた。
最近のPelikanの研ぎと同じく丸研ぎなので、玉が大きくなるほどアラが目立つからかな?
数本店頭で見たのだが、一つとして段差も背開きも無かったこと。これは最近のPelikanの品質から考えれば画期的!
やっと店頭で買った物が、そのまま使える時代になったなぁ・・・と復活したPelikanを誇りに思う!
どうにも薄汚れた感じで好きになれなかったオリジナル軸と比べ、遙かに洗練された色と機構。将来ペンケースにずらっと並べてみたい欲求にかられた久しぶりの萬年筆じゃ!
分解清掃を楽しみたい人には必携の萬年筆といえよう!個人的には100%趣味に合致した萬年筆がついに現れたという感じかな。問題は何本入手するかだけ!