最近再開した作業がある。おそらくは10年以上ぶりで再開した日課。
それは、インクを入れている万年筆全ての書き味を確認すること。
ただし、調整師の目で万年筆をチェックするわけではない。
インクが乾いてないか?インクフローは大丈夫か?インクは漏れてないか?全体としての違和感は無いか? を一本ずつ確認する作業。
今から20年以上前は、毎日同じ文章を全ての万年筆で書いていた。そして入れているインクも記載していた。
それを何年分も貯めておくと、退色具合が一目でわかる・・・と考えて始めたのだが、そうは問屋が卸さなかった。
インクを頻繁変えて色も楽しんでいたので、定点観測になっていなかった。すなわち無意味の紙になった。
ここに出ているのが、拙者の一軍万年筆。そのほか2軍で最大16本、3軍で最大16本にインクを入れている。
それら全てで同じ文章を書くのだが、結構時間がかかる。試し書きは20秒ほどで終わるのだが・・・
調子が変だなと思ったら、直るまで追い込み調整するので、けっこう時間がかかる。
上の画像で言えば、左から4本めの紫軸は極端に書き味が良い(拙者にとってはだが・・・)
左端から7本目のottohutt D04 純銀ラインは、超寝かせて書いてもインクがぬらぬらと出てくるように調整済み。これで毎回時間つぶしするので必ずBlog執筆開始時刻が遅れてしまう。
現在この中で、もっとも書き味に満足しているのは、右から4番目のくくりざる 14K-EF。
最近のセーラーのEFは、かなり書き味にばらつきがある。そこで出荷前にペンポイントを確認して、もっとも酷いのを購入した。
そしてそれを数ヶ月かけて少しずつチューニングして、もうこれ以上はありえないというところまで持ってきた。
左右のペンポイントがアンバランスなペン先は、まずは形を整えること。
スリット左右のペン先の幅や、左右のペンポイントの上下の厚みをそろえることが最も大事。
そこからは、焦らず少しずつ、その日の気分で調整する。それを20回ほどやれば、これ以上無いほどの書き味になる。これが追い込み調整じゃ。
ここに並んでいる15本は、いずれも書き味が大好物なのだが、よく見るとメーカーがかなり偏っている。
こういうのを見せられた段階で、この人にはどういう調整が好まれるのかは、ほぼ見当が付く。
ただ、自分のコレクションを見ても、どう調整すべきかは、まったく浮かばない。他人のコレクションならわかるのに・・・
調整師あるある・・・自分用の調整が一番手直しが多い