前の日が代官山での裏定例会で、二次会は恵比寿での沖縄料理。17時のはじまりと同時に店に入り・・・
店が閉まる時間まで飲み、そして食べ続けた記憶がある。
ひょっとすると、その後3時頃まで別の店で飲み、さらに六本木のバーで2時間ほど飲んだかも?
別の裏定例会の二次会では、酩酊した状態で、ゑでぃさんのM800を研ぎまくり、後日、一体どうしたのこの酷い調整は! と言ったという事もあった。
飲んだときには面白いアイデアは浮かぶのだが、それをその場で実現しようとしても思い通りに手が動かない。
やはりアイデアだけを書き留めておき、しらふの時に実験する方が良いだろうな。
【飲んだら研ぐな! 研ぐなら飲むな!】は萬年筆研究会【WAGNER】の名言集に入れておくべき言葉だな

拙者のような素人調整は、プロの調整師の方々と比べて圧倒的に少ない経験に基づいてやらねばならぬ。記憶だけではなく、発想力が無ければ調整は出来ない。
苦労して見つけた調整方法がプロの世界では常識とわかった時などは小躍りして喜んだ。
写真は拙者の実家の庭先にある切株。9歳くらいまではこの木に登って遊んでいたが、そのうち枯れてしまい現在に至っている。
懐かしいなぁ・・・ということでこの木を眺めているうちにある考えが湧いてきた。
『Sちゃんが隠した水晶はこの根元に埋めていたのではないか?』Sちゃんとは近くに住む同学年の女の子で、物心ついてから小学校2年生くらいまでは、毎日一緒に遊んでいた。
ままごとからお医者さんごっこまで。
そのSちゃんが持っていた水晶と蝋石が欲しくて、『ちょうでぇ、ちょうでぇ』と毎日のようにお願いしていた。
絶対に触らせてももらえなかったが、ある日『絶対わからんところへ隠したから見つけたらあげる!』『ヒントは?』『あんたのうちじゃ』
ということで、さんざん捜したのじゃが結局見つからなかった。そのうちカメラ(フジペット)を買ってもらいそちらに夢中になった。
拙者が水晶や蝋石にまったく興味を示さなくなると、彼女も興味を失ったらしく、隠した事すら忘却のかなたへ。
それから45年が経過し【Sちゃんは、この木の根元に埋めてたのでは?】と急に思いついた。45年間忘れていた事が、この写真を撮る事によって急に閃いた。
その真偽はともかく、こういうところが人間の脳の面白いところじゃ。
実際の調整作業でも、こういう閃きが度々発生する。通常は壊れた万年筆を見た瞬間に閃く。閃かない場合は・・・・・ほとんど失敗するのじゃ。

左側にトタンの壁が見え、右側に木のある家・・・というのは拙者の家から南を向いた時の映像(記憶)。
ところがカーブミラーに写っている風景は拙者の家の南側から北側を見た際の左右逆転映像。
カーブミラーだけを見ていれば想像できるのだが、外側に現実の風景が写されていると想像回路が狂ってしまい、どうしてもカーブミラーの映像が読み取れなくなる。
実はお酒を飲んだ後の調整作業においてはよく発生する【記憶と理屈の混濁】。
どこを削ればどちら側の引っ掛かりが取れるのか?がルーペでイリジウムを覗きこんでいるうちにわからなくなってしまう。

睡眠不足で乗り込んだバスで春の日差しをうけながらウトウトして目覚め、外を見た時の視野はこの程度。
いったい自分はどこで何をしているのか、一瞬わからなかった。飲んだ後の調整において、同じような気分を味わう事がよくあった。
そこで拙者が皆に注意している決めセリフは・・・
【飲んだら研ぐな! 研ぐなら飲むな!】

しかし、とてつもない妙案が生まれもしない。
覚醒の世界、意識混濁の世界・・・どちらも調整技法を身につけるには必要かもしれない・・・・と言って、昨晩の深酒の言い訳をする・・・・
すまんの・・・今日は調整出来んのよ・・・【飲んだら研ぐな】