2022年05月24日

【 Montblanc No.1465 高筆圧対応化 】アーカイブ 2006年8月

この記事を書いたころは、書き味がそこそこ良いペンポイントの調整を嫌がっていたようだ。

趣味だったので、出来るだけ酷いペン先が欲しい!それを直したいと望んでいたのだろう。

今は落ち着いてきたので、ダメダメなペン先に興奮することはあまりない。(すなわちたまにある)

最近は強筆圧の人には、万年筆のイベントではほとんど遭遇しない。みんな筆圧が下がってきたのかなぁ〜?

強筆圧対応マニュアルなんて世の中には存在しないので、貴重な資料ですよ。



2006-08-31 01昨日に引き続き高筆圧者対応の調整じゃ。依頼者は昨日と同じ人。

従って調整手順もほぼ同じだが、ペン芯がプラスティック製であるため、ペン芯側を自在に変形させるわけにはいかない。

従ってペン先側をいじる量が相対的に多くなるのじゃ。


2006-08-31 02左はインクが入ったままの画像。インクはペン先先端まで潤沢に供給されている。

特別どこかに引っ掛るわけでもない。筆記角度も依頼者にマッチしている。

強いて言えば【どこにでも点で接するような調整】になっている。どこにもスイートスポットが無い。悪いわけではないが、面白くも無い書き味。

単なる筆記具と割り切れば優秀な書き味なわけだが、悦楽を供給してくれる小道具と考えると不満はある。依頼者の目的はそんなところじゃろう。

元々No.146はNo.149よりも重心が後ろにある。純銀の上に金を鍍金したNo.1465に至っては、重心位置が後ろ過ぎてキャップを後ろに挿して使うのは困難じゃ。

そもそも後ろに挿すとキャップが不安定になる。No.146系の限定品の多くはキャップを後ろに挿すことを念頭にいれない設計になっている。


2006-08-31 03プラスティック製ペン芯になってから、ペン先とペン芯の位置は固定されるようになった。

ペン先の根元の三角形の部分がペン芯の三角形のニブ止めときっちり合わさって固定されるような設計じゃ。2つ下の画像を参考にされたし。

プラスティック製ペン芯の場合、インクを拭く作業を繰り返しているとペン芯のフィンが斜めに寝てしまう事があるが、この個体ではそういう現象は発生していない。


2006-08-31 04横から見てもフィンは一切寝ていない。ほとんど使っていなかった万年筆のようじゃ。

ペンポイント先端は非常に綺麗に丸められている。最近のMontblancの
ペンポイントは出荷時点からこれほど良く調整されているのかな?

それとも誰かによって調整されたのかな?

ただ多少調整戻りが発生して
ペンポイントに左右段差が発生していた。この段差を直すにはペン先を外してからやった方が良い。

No.146のペン芯はプラスティック製なので前から引っぱるとペン芯のフィンが曲がってしまう。従って後ろからたたき出した方が良い。


2006-08-31 05ペン芯はプラスティック製で、根元が多少細くなっている。実はこの根元が細いペン芯になってから、若干インクフローが悪化したように思われる。

ペン先の首軸内の部分には有名な【コストカット穴】が2個空いている。

ほんの少しのように思えるがチリも積もれば山!メーカーはこのような細かいコスト削減を続けて利益を出しているのじゃ。

不必要なほど長いペン先根元部分を首軸内に入れているのがMontblancの特長じゃ。

コストカット穴が無いかわりに首軸内部にチビっとしか入ってないメーカーもある。ペン先の安定度を考えたらMontblancに軍配が上がる。Pelikanもかなり長い!

ペン先のスリットはそれほどガチガチに詰まっているわけではない。少し筆圧をかければペン先がわずかに開く。

ただ今回の依頼者は筆圧が強く、かつインクがドバドバと出るのが好きじゃ。ペン先のスリットが詰まっている状態で筆圧をかけたりすると【サツマイモ】のような線になる。

筆圧がかからない部分は細く、かかる部分はドバっとインクが出る。従ってインク濃淡と字幅の極端な差が表出し、綺麗なお手紙にはならないらしい。



2006-08-31 06そこで昨日の調整と同じく、まずはペン先のスリット間隔を拡げた。

18金製のニブは力を入れるとすぐに曲がってくれるので調整する側にとってはやりやすい。

しかし強い筆圧で書いているとすぐにペン先が変形してしまうという弱点もある。18金ペン先は定期的な調整を前提とした物なのかもしれない。

上の画像の状態では毛細管現象が働かないのでインクはペンポイント先端までは運ばれない。

2006-08-31 07そこで昨日と同じく、ツボ押し棒でペン先のハート穴からペ
ンポイントまでの部分をしごいて、先端をやや下に曲げる。

こうすればペンポイントは腹開きになり、かつ毛細管現象も効くようになる。

注意すべきは、エボナイト製ペン芯なら出来た【首軸に差し込んでからのお湯による微調整】が出来ないので、ペン先だけで高筆圧に耐える状態を作り出さねばならない事! 

首軸に挿しこむまでが勝負になる。何度もペン芯の上に乗せてペン先のズレを確認しながら微調整を行うのじゃ。


2006-08-31 08微調整が終了したら首軸に差し込んで、
ペンポイントの調整にはいる。

元々書き味は良いのじゃがスイートスポットが無かったので単調な書き味になっていた。

そこでキャップを外して万年筆を立てて書く前提でスイートスポットを2つ作っておいた。

一つは、首軸のネジより前を持って書く場合の表書き。もう一つは裏書き状態じゃ。表書きはドバドバのMからB程度の字幅、裏書はスタブで横細縦太の文字が書けるように調整した。


2006-08-31 09元々書き味も、インクフローも良かったので、出来る事はスイートスポットを作ることぐらいじゃた。

実は大掛かりな調整や改造では、その変化に目を奪われて本来の書き味比較がおろそかになる人が多い。

調整師にとっては(ある意味)楽な仕事じゃ。ところが、今回のような、元々書き味が良い万年筆を渡されるとどう直すか悩んでしまう。特にMクラスは難しい。

しかし、仕上りを自分で確かめた段階では、不安は自信に変わった!

今回も 大成功 のはずじゃ!
 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック