2022年06月07日

【 Montblanc No.136 14C-M 健康診断のはずが・・・ 】アーカイブ 2013年9月

この記事を書いた翌々月にソウルに行って、韓国の万年筆愛好家グループと歓談したのだが、Vintage MontblancのOリング修理は軸に優しくないのでやめた・・と聞いた。

その時は単に胴軸が収縮した時に硬いOリングを使っているとクラックが入る・・・程度の理解で聞いていた。

今思い返せば、彼らはこの記事を読み、これはOリングの摩擦力で壊れた物だと、婉曲に教えてくれていたのかもしれない。

当時から韓国の修理技術は圧倒的で、非常に勉強になったものだ。

コロナ騒ぎが終わったらまたソウルペンショーへ行きたいなぁ・・・




1今回は生贄ではなく、健康診断。ブツはMontblanc No.136。依頼人はwhitestar_ftlさん。

その象徴たるフラットトップ・キャップを持ったNo.136と言いたいのだが・・・

同じ軸とキャップ(クリップと天冠)の組み合わせのNo.136を各種カタログで見つけることは出来なかった。

No.126のキャップに似ている部分や、No.234 1/2に似ている部分もある。

これと同じ組み合わせの軸がRegina Martiniの古い冊子に掲載されているが、残念ながらモデル名称が書かれていない。

従って、これが正しいNo.136の組み合わせかどうかはわからない。ただしひとつだけNo.136ではない部品が混じっているのはたしか。それは後述。


23こちらはペン先、一見してアレっと思った。こんなに綺麗な刻印がNo.136の時代に出来たのかな?

すこし刻印が綺麗すぎないか?もう少しぎこちない文字だったんじゃなかったかなぁ?

Vintage Montblanc に興味があったのはずいぶん前で、今や1本も持っていないし、記憶も飛んでいるのでなんとも言えない。

またペンポイントの形状も明らかに1950年代以降だと思う。

なんとなく、クラシックカーにポルシェ・ターボのエンジンを積んでいるみたい。しかも燃費節約の為のターボではなく馬力を稼ぐためのターボエンジンの時代の・・・


45ペン芯はフラットフィードで、かつ溝無しなので1950年代初頭以前のもの。これならNo.136の時代と言っても間違いとは言えない。

ただペン先の出来は、あきらかに1950年代以降。

先端部に行くに従って太くなり、ペンポイントをしっかりと包み込む技術はとてもNo.136の時代とは思えない。

書き味もかなり硬い。No.136はこの記事のように、スチール製のペン先も多かったんだよなぁ・・・

試しに拙者のBlogの左上にある記事検索のキーワード入力欄に〔136〕と記入して検索ボタンを押すと、過去のNo.136の調整記事が出てくる。

そしてそれらには二つと同じ組み合わせが無い。


6キャップの刻印は独逸語で書かれている。少なくとも米国市場向けにMasterpieceなんて彫られていない。潔い時代のMontblanc製品だ!

そしてこのキャップの特徴。キャップに空気穴が空いていない。従って胴軸に嵌める状態のキャップの口から息を吹き込んでも、どこからも空気は抜けない。

従ってインクが乾燥するという事は避けられようが、結露によってキャップ内がインクだらけになるという現象が起こる可能性は高い。温度差の激しい所を持ち歩けばだが・・・


7こちらはクリップ。これは一枚板にスネーククリップ形状と天冠が入る穴を一挙に切り抜き、その後で天冠が入る部分を90度曲げる加工をしたのだろう。

クリップと天冠リングを熔接でごまかす・・・なんて事はしていない。流石Montblanc!

またクリップ部の厚みはかなり変化がある。ここは打ち抜いた後で小まめな加工をしたと思われる。天冠リングの部分を曲げたのはきっとその加工が終わってからだな。


8こちらがペン先。思った通り根元に【146】の刻印がある。この美しさ1950年代のNo.146でもかなり年代が進んでからのものであろう。それにしても美しいニブじゃ。

ニブ全長の1/3強が首軸内に収まっている。こういう贅沢は最近ではあまり見かけない。

エボナイト製ペン芯時代のNo.149やNo.146が好まれるのは強固に首軸に固定されたニブの丈夫さ!

現代では、ペン芯の上でペン先が暴れるのを防ぐために、ペン芯とペン先の位置を固定するのがはやりだが、この時代には摩擦力だけで乗り切ろうとしている。

アッパレ!ただ個体差は大きかっただろうなぁ。


9コルクを止めてOリングにして欲しいという要望だったので、入るかどうか試すためにピストンユニットを外してみた。

下がNo.136で、上はNo.144のピストンユニットにOリングを取り付けたもの。

胴軸内径は1950年代のNo.146と同じらしく、Oリングはピッタリと入るのでOリングに交換しても問題は無い。

しかしなんだか吸入機構の動きがおかしいような気がする。動きがぎこちない・・・


10ピストン弁をOリングに交換し、何度か吸入テストをしていたら、いきなり尻軸が左画像のように外れた!ヒャー初めての経験!

尻軸は逆ネジで吸入機構にねじ込まれていたわけじゃな。そして吸入機構は胴軸に順ネジでねじ込む・・・なるほど壊れやすいわけじゃ・・・

今までコルク交換が便利なNo.139から、何故、専用工具が無ければコルクを交換できない1950年代No.149にモデルチェンジしたのか理解不能だったがやっとわかった!

No.139の仕組みでは、今回のような状態になった時修理不能になってしまう。専用工具があれば直るのかもしれないが、それでもNo.149よりははるかに複雑?

一個上の画像の新旧のテレスコープ機構を比較すると、どのように壊れにくくしているのかうっすらとわかってくる。

やはり1950年代のテレスコープは故障しにくいように改良されている。


1時間ほどいじってみたが、構造がわからないのでこの尻軸ユニットは拙者では直せない。直る物なのかオダブツなのかもわからない。

ご存じの方がいらっしゃれば教えて下され!アーメン!


 【 今回執筆時間:5時間 】 画像準備1h 修理調整2.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
この記事へのコメント
>>これはOリングの摩擦力で壊れた<<

々いOリング

黒いOリングはニトリルと呼ばれ硬いゴムなので 
胴軸内壁と外径が ピッタリ合わないと
使えません。
この136では Oリングが大き過ぎて(摩擦が大きい)
テレスコ機構に負担が係ったと思います。

また 
サイズは 外径 6.6 7.6 8.6
     内径 2.8 3.8 4.8
     太さ 全て1.9
 
1mm刻みなので 中間の外径7.0mmが必要な時は
お手上げとなります。


■魯螢鵐阿亮鑪燹
アマゾンなどで販売のOリングは3種類。
赤と白はシリコン

硬さ 黒>赤>白

最も柔らかい白を使うと許容量が広いので
内壁にフィットします。

Oリング 白 サイズ
白はサイズの種類が多様で
0.5mm刻みで販売されています。
また 太さも1.9mm 1.5mm と2種類あります。

これらの複数の選択肢の中から
最も適合するOリングをチョイスすればOKです。

戦前のモンブランもペリカンも シリコン・白ならば
Oリングで対応可能です。

https://ameblo.jp/kamisama-samasama/entry-12030402087.html

Posted by 紙様 at 2022年06月08日 08:04