2022年06月10日

【 Montblanc 1980年代前半 No.146 B 】 アーカイブ 2006年10月

下の記事ではエボ焼けはインクによって引き起こされるというような記載があるが・・・

一番エボ焼けするのは、ペン芯の近くの金の表面(表も裏も)で、空気に接しているところなのだ。

空気中の酸素に関係があるのか、インクの中の酸 / アルカリ / ナトリウム などと関係があるのか?

そもそもエボ焼けは科学的には何なのか?どなたか心当たりがあれば教えて欲しい!




2006-10-25 01今回の調整依頼を受けた時には困惑した。依頼者の筆記角度で書く限りは、不具合がまったく無い。

1980年代前半の素通しインク窓の万年筆。Monbtlancの技術が円熟の境地であった時代のNo.146。

引っ掛りも無く、インクフローも必要十分。すぐに使っても何の不具合も無い。


依頼者に問うた【如何に?】・・・【さらに良く!】・・・【拙者の好きにして良いかな?】・・・【御意!】 てな会話があって持ち帰った一本。


2006-10-25 02No.149には【開高健モデルの14C−角型M】という他を圧倒する書き味のニブがあるが、No.146は時代にかかわらず書き味は良い。

その中でも70年代の18Cニブと80年代の金一色14Kニブは、他とは一線を画す書き味といわれている。

拙者が使った限りでは後者の方が良いと思ったが、個体差の範疇かも。


拙者の趣味から言えば、この個体はペン芯が多少前に出すぎている。フィンの数に換算して1.5枚分ほどペン芯を後ろにずらした方が見栄えがする。


2006-10-25 03ペン先も少し前に出した方が良かろう。あと1个曚票鷦汗菽爾ら前に出せば美しい造形になる。それにしても良い色に変色している。

コレクションケースに並べるならこのままの色が良いのであるが、表がこれほど焼けているということは、裏にはかなりのエボ焼けがあると想定される。

やはり分解して清掃しなければ完全な調整とは言えない。特にインクフローを改善する場合にはエボ焼けの除去は重要な作業じゃ。


2006-10-25 04分解したペン先の表側じゃ。見事にエボ焼けをしている。模様を見て確信した事がある。

エボ焼けは、インクによっても促進されるということじゃ。インクがあまり付かない首軸内側に隠れた部分はエボ焼けが少ない。

またインクが停滞した状態に沿って焼けたような感じがする。

以前、Montblancのブラックインクがエボ焼けを促進するとの仮説を出した方がいたが、インクとエボ焼けとの関係は確かにありそうじゃな。



2006-10-25 05左の画像は、一通り金磨き布でエボ焼けを除いた状態。

これから金磨き布にやや力を込めてゴシゴシと磨いたあと、ロットリング洗浄液、ベンジン、鍍金液を使った脱脂、インク誘導液・・・

のうち、いくつかを組み合わせてエボ焼けを取り除き、インクフローが良くなるようなおまじないを掛ける。

依頼人とは月に2回は会うので、インクフローが悪くなったらいつでも再度おまじないを掛けられる。

万年筆は一回調整したら永遠にその書き味やインクフローが保障されるわけではなく、気温、使うインク、残インク量、持つ位置の変化、紙の性質、椅子の高さ、体の曲げ方・・・

などによって様々な変化がもたらされる。結局は永遠に調整を施しながら使う筆記具なのじゃ。持つべき友は調整師!



2006-10-25 06左の画像は磨き終わったペン先。見違えるほど綺麗になっているのがわかろう。

ここまで磨けばエボ焼けによるインクフロー問題は解決される。だいいち新品同様のペン先は気持ちよい。

スリットの間にもインクが通りやすいような細工が施してある。

それにしてもコストカット前のペン先の美しいこと!これにバイカラー化を施す事の罪を考えて欲しいものじゃ。



2006-10-25 07最終的な姿がこちら。ペン芯の位置はスリットの間の黒くなっているところ。かなり後退している。

ただし、ペン先が多少前に出ているので、差し引き首軸に押し込まれたペン芯の長さはフィン1枚分程度じゃ。


この調整によって、何の問題も無かった万年筆が、もう一段書き味が良くなったのは言うまでも無い。人間の欲には限りが無い。

書き味の追求にも限りが無い。しかし【全てお任せ!】ならいつでも調整しよう。ただし拙者の書き癖に合わせて楽しむので悪しからず。

スイートスポットを3つ作ってあるので、どの角度で書いても、そこそこに書き味は良いが、スイートスポットに当たればまさに夢の書き味を体験出来るじゃろう。
 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック