2022年07月08日

【 Pelikan Hunting 18C-M (p.f.) ヌルヌル化 】アーカイブ 2011年11月

うーん・・・・このp.f.刻印付きの18C-Mは実に美しい。拙者がコレクションにしているM800系の限定品の大半は18C-3Bが付いているので、逆に18C-Mは新鮮。


2011-11-25 01今回の依頼品は・・・【生贄】ではなく、書き味の微調整。ブツはPelikanのハンティング。

実家にいるので詳しい資料が無いのだが、たしか1994年の限定品。トレド型の限定第1号だったはず。その前はGreen と Blueのスケルトン軸だったかな。

銀の彫刻の間に軸色と同じ緑の樹脂を入れているのだと思うが、シンナーなどで拭くと溶けてしまうという噂を聞いた。

【ハンティングとオーストリア1000とコンチェルトは樹脂が溶ける】とか。

どなたか被害にあったり、試されたら報告してくだされ。強く擦っただけでも、有名な【雑巾トレド】のようになるかもしれない。


2011-11-25 022011-11-25 03ニブと首軸との関係、ペン先とペン芯との関係などの位置関係はパーフェクト。

これって拙者が位置調整したのかな?ここまで完璧な位置調整が出来る新人なら【調整師候補】としてスカウトしたい!

Pelikan M800は位置調整に手を抜かないことが一番大切。ニブの種類や、使い手の筆記角度に合わせて若干の位置調整も施すが、基本はこの位置が正しい。

特に、限定品の場合は、書きやすさよりも美しさの優先順位を上げることにしている。それにしても【p.f.】ニブは美しい。


2011-11-25 042011-11-25 05横顔にも破綻は無い。筆記角度も依頼人にあっており、ペン先のずれも無い。最高の状態なのに微調整の依頼が舞い込んできた。

で、インクをつけて紙に書いてみたところ・・・かなり筆記音が高い。まったく引っかからないのに筆記音がシャリシャリシャリシャリとかなり大きく響く。

書きあがった字には表情があって実にいいのだが、仕事で使うには、音が大きすぎるなと思ってペンポイントをボーグルーペで拡大してみると・・・


2011-11-25 06こんな感じに見えた。表面がかなり粗い耐水ペーパーで荒らしてある。おそらくは1200番程度だと思われる。通常は1200番は仕上げには使わない。

320番でスイートスポットを削り込んだ後、ペンポイントの形を整える際に使うが、仕上げは2500番か5000番にする。細字なら10000番か15000番を使うこともある。

いわゆるペンポイント表面がザラザラの状況。面白い字はかけるが気持ちよくない・・・と、依頼者は感じたのだろう。

それにしても、この表面をざらつかせるのは悪くない!Bに施せば摩擦が大きすぎ、かなりインクフローを潤沢にしないと厳しいだろうが、Mには面白い。

この感触を覚えておかねば・・・と30分ほど筆記してから表面研磨を行った。


2011-11-25 07まずは、2500番の耐水ペーパーで表面を丸め、次に秘密のペーパーの上で、8の字旋回を左回りの8、右回りの8、右回りの∞、左回りの∞を各100回ずつ行う。

次にインクをつけて字を書いてみる。そこで違和感のあった部分に15000番のラッピングフィルムを添えて引っかかりを確認する(確認するだけで削ってはいけない)。

その引っ掛かりを除くように5000番の耐水ペーパーで少し研磨しては、ラッピングフィルムで確認する・・・という行為を繰り返す。

その後、10000番のラッピングフィルムの上にインクをたらし、それを使って書きながら表面のスムージングをやる。

最後に金磨き布の上で、8の字旋回を各10回ずつ軽く行う(これはスムーズ化ではなく荒らし)。

超電解水をふきつけてから、スリット内を15000番のラッピングフィルムでスリスリとやってゴミを落としてからルーペで確認する。そうすると、このように綺麗な表面となる。


2011-11-25 082011-11-25 09書き出しでスキップするようなら、5000番や2500番の上で、書き出し方向にだけ、シュリっと一回擦ればスキップは解消する。

ねっとりとしたインクをつけて布でぬぐい、相馬屋の原稿用紙の上にペン先を降ろす。

その瞬間、現実世界から解き放たれ、精神の世界に召されたような感覚に陥る。

ああ、これが本来の【p.f.】ニブ、特にMの感触だよなぁ・・・との想いに浸れる瞬間!

はっきり言って【調整を施した18C-Mのp.f.刻印付き】は実用には向いていない。強いて言えばトリップ用かな?

いわゆるヤクなので近づかないほうがいい・・・仕事の生産性が極端に落ちる。


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 

Posted by pelikan_1931 at 01:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック