2022年07月10日

【 Montblanc No.149 漆塗り 18K-B ペン芯交換 】アーカイブ 2013年10月

こういう記事が2013年頃の典型的なBlogだ。

最初はテーマに沿って書いているのだが、途中から自分の興味に引っ張られてやたら文章が長くなっている。

しかし読んでいて、発見と記述が楽しくて仕方がない様子がよくわかる。

今や新しい万年筆界の潮流は高校生+大学生に移ってきている。

いや、むしろ高校生中心の活動を大学生がサポートしているような状態かもしれない。

この世代の人々が受験/就活が終わった後に、じっくりと新たなメディアで万年筆愛を語ってくれると良いなぁ。

そうなれば拙者は万年筆の終活に入れる!




1今回の依頼品は、見事な漆塗り(鎌倉彫風)のMontblanc No.149じゃ。なんでもご自分で塗られた軸らしい。

表面処理された既存の軸に漆を塗るのは非常に難しいはずじゃ。一度漆の厚み分だけ削った後で漆をかけないとどうしても段差が出来てしまう。

そこがメーカー純正と萬年筆に詳しくない塗師に頼んだ場合の差。今回は萬年筆に詳しい素人が塗ったはずだが、塗師に負けない仕上がりになっている。

流石にメーカー純正には及ばないがな。

それにしても、一度何重にも塗った漆を削って紋様を作るなど、ずいぶんと練習したのだろうなと思う。依頼人は確か5年ほど前から漆塗りの実験をしていたはず。


23この萬年筆についているペン先を見て驚いた。なんと森山スペシャル!自分で調整を始めたころに森山さんに研いでもらい研究した記憶が蘇ってきた。

No.149の森山スペシャルに遭遇するのは久しぶり。最近遭遇した森山スペシャルは、ほとんどがPelikan M1000やM800に施されていた。

研がれてから既に何年も経過し、いい按配にこなれてきた森山スペシャル。ペンポイントの接紙部分に紙と擦れた細かな傷がびっしりと入っている。

拙者は、調整直後が最高の書き味であり、それから先は使うほど書き味が落ちるという持論を持っていたが・・・

この森山スペシャルを見て、少し修整しなければならないかもしれない。

調整直後はペンポイント表面がツルツルなため、場合によっては書き出し掠れが発生する事があるかもしれない。

しかしペンポイントの表面に紙による擦れ傷が入ると、そこにインクの粒子が残り、書き出し掠れが激減する。

この森山スペシャルは、まさにそういう状態になっている。萬年筆研究会【WAGNER】の調整師は、書き出し掠れ対策として、研磨後ペンポイントにやや粗いペーパーで傷を付ける。

従って書き出し掠れの頻度は森山スペシャルよりは少ないはずなのだが、こうやって時間が経過した森山スペシャルを見ると、ペンポイントのエイジングのすばらしさを実感する。

もし、数ヶ月待てるなら、そしてある程度の筆圧があるなら、研磨後の粗しは必要ないかもしれないなぁ・・・と思った。

エイジングとは、時と共にペンポイントが研磨されるのではなく、ペンポイント表面に傷がついて書き出し掠れが無くなること。これならエイジングとして認められる。

エイジングで筆記角度に合わせてペンポイントが研磨されてしまえば、エッジが引っ掛かり書き味が悪くなるという意味での【エイジング=劣化】論を引っ込めるつもりは無いが・・・

書き出し掠れが軽減される効果は見せつけられたなぁ・・・


45森山スペシャルの凄さは、こういう画像では表現できない。左画像を見るだけでは、コテ研ぎにしてから、やや丸みを付けたようにしか見えない。

しかし15倍の高価なルーペで見るとその研ぎの美しさに脱帽する。森山スペシャルを真似て太字研ぎから始めたが、やはりご本家にはかなわないなぁ。

蛍光灯の直射光を入れない状態でペンポイントを見ると、鏡のように滑らかで廻りの風景が表面に映って見える。ところが、そこに直射光を当てると光景は激変する。

ペンポイントの表面には縦の傷、横の傷、斜めの傷が縦横無尽に走り、反射像は見えなくなる。まさに光景は激変する。これが使い込んだ森山スペシャルの凄さじゃな。

森山さんが、【しばらく使って、もし不具合があれば持ってきて・・・】という場合、この表面傷を作った段階で評価して欲しいと言うことなのだと、遅ればせながら気付いた。


6ペン先は金銀金で、SteODのマーク付き。コストカット穴があり、ペン芯のペン先ストッパーの凸に合致する切れ込みが左画像左端にある。

これは本来はデュマペン芯に乗せるんだよなぁ・・・と軽く考えていた。そこに落とし穴があった!それはともかく、美しいペン先じゃ。


7この萬年筆にはエボナイト製ペン芯が付いていた。しかもペン芯のフィンが折れている。かわいそう。折れた瞬間が目に浮かぶ。

このエボナイト製ペン芯にデュマ用ペン先を合わせ、デュマ型首軸に入れるとスカスカでペン先が安定しない。

そこでペン先とペン芯をひっくり返して逆向きで押し込もうとして折った・・・のだろう。

8じゃ、正しいデュマペン芯と交換しましょう・・・とお預かりしたのだが、デュマペン芯は首軸にまったく入らない。慌てて調べて見ると・・・

首軸はヘミングウェイ型だった!左画像のように、入っていたエボナイト製ペン芯とは長さも違うし、径も違う。

上のペン先の径は7.55弌下のエボナイト製ペン芯は7.00弌しかし首軸の内径はそのどちらとも違う。

きっとヘミングウェイペン芯なら合うだろうと思ったが生憎ヘミングウェイペン芯が手元に無い。

9ところが、デュマ型ペン芯と同じようなペン芯先端部なのに、長さが違うペン芯が部品箱にあった。これは趣味文Vol.27の66頁には出ていない!

といって、上のデュマペン芯のデッパリを切断したのでもない。末端部の構造が違う。しかもペン芯の径も異なっている。

さらにはペン芯の裏の最先端部にある文字が異なっている。

上のデュマペン芯では、Aの文字が浮き出しているのに対して、下の【仮称:デュマ似】ペン芯ではCの文字が浮き出ている。


10そして【仮称:デュマ似】ペン芯の外径は7.20个任△蝓▲妊絅泪撻鷽弔肇┘椒淵ぅ叛愁撻鷽弔里舛腓Δ秒羇屐

ではこのヘミングウェイ型首軸に入るのかな?と思って押し込んでみると・・・

まさにあつらえたようにピッタリでペン先がぐらつく事もない。なんと、ヘミングウェイペン芯と同じ径の【仮称:デュマ似】ペン芯があったということになる。

しかし・・・たしかヘミングウェイは当時のエボナイト製ペン芯と互換性があったはず。

拙者はヘミングウェイにエボナイト製ペン芯を装着して書きまくっていた。単にぐらつきに気付かなかっただけなのか?

日曜日の水道橋の定例会で、whitestar_ftlさんにヘミングウェイペン芯と【仮称:デュマ似】ペン芯を比較させてもらおう。

しかし、当日は、朝から趣味文の取材も入る・・・時間があるかなぁ?


 【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1h 修理調整0.5記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 

http://blog.livedoor.jp/whitestar_ftl/%E9%83%A8%E4%BD%8D%E6%8E%A8%E7%A7%BB%E5%B9%B4%E8%A1%A8201708.08_001.jpg


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック