2022年07月20日

【 1970年代 Montblanc No.146 18C-EF 曲がった! 】アーカイブ 2010年4月

この2010年4月より後には、これよりもはるかに曲がったペン先が続々と持ち込まれるようになった。

この修理画像を見るまではあきらめていたものが持ち込まれるようになったのだろう。そして成功しなかったものはなかったと記憶している。

この記事で述べた、3次元にまがったものは、まずは二次元の曲がりに直してからというのは正しかったことも証明された。

懐かしい記事じゃ!



2010-04-20 01今回の依頼品はMontblanc愛好家が血眼になって捜す、1970年代のMontblanc No.146。ものすごく柔らかい18金ペン先が特長で、一時期異様な相場になったことがある。

乳液か油でヌルヌルしている手でインクを吸入しようとしていて、ツルっと手が滑ってインク瓶の底にペン先を激突させた・・・のだったかな?


2010-04-20 022010-04-20 03それにしても、ものの見事に曲がっている。ここまで曲がったペン先を修理するのは初めてじゃな。

素材が柔らかくて粘りがあるからここまで曲がったが、多少は強い(こわい)当時の14金ペン先だったら、ここまで曲がれば折れていたかもしれない。


2010-04-20 042010-04-20 05上から見て、左側に曲がっているだけではなく、左右でずいぶんと段差がある。

こういうペン先を修理するに際しては、拙者はまずは段差解消から始めている。挟む面がツルツルのヤットコで上下に曲がっている部分をそろえる。

すなわち、三次元に曲がっているペン先を、まずは二次元の曲りに持ってくるのじゃ。

しかる後、二次元の世界で調整を続ける・・・こうすれば問題点が単純化されて解が出やすい。


2010-04-20 061970年代のモデルなので、ペン芯はまだ二段式になっていない。

二段式ペン芯を神格化する人がたまにいるが、あれ(二段式)はペン先とペン芯とを密着させる際の生産性向上の秘策であって、ペン芯のペン先への追随性とは関係がない。


2010-04-20 07ペン先の曲げを直して、表面を金磨き布で磨いた状態のペン先。極細好きの依頼者なので、ペンポイントのスリットは軽く閉じた状態にしておいた。

ペン先を紙に乗せれば、萬年筆の自重だけでペン先が開く程度の寄りに調整しておいた。


2010-04-20 08調整前よりも、ほんの少しペン先を前に出し、柔らかさが上がるようにしておいた。筆圧をかけないで、そっと紙をなぞるように書く時に最高の気持ちよさが得られる!

やはり絶品じゃな。ただ拙者には柔らかすぎて使いこなせまい。


2010-04-20 092010-04-20 10こちらが調整後のペン先。かなりいじってある。調整前は二枚の円盤状のペンポイントに円周上のある一点を紙に乗せて書くような調整だった。

すなわちスリットを狭めることによって細字を演出する方式。

調整師の労力はかからないのだが、点で紙に接しているため、どの方向に線を引いても、カリカリと引っ掛かってしまう。

そのカリカリ感が心地よいと感じる人もいるが、大多数の人は、もっと何とか・・・と感じている。

そこで今回はペンポイントの先端部を薄くし、ペンポイントの頂上付近の狭い面を紙に当てて書く方式に変えた。

ほんとに小さいがスイートスポットを作り込んだ。これによってスイートスポットが紙に接している限りは、スムーズな運筆が出来るようになった。

もちろん細字であるからカリカリ感は多少残る。しかも柔らかいペン先なので、どこかしらは紙に引っ掛かる感じはするが、調整前と比べれば雲泥の差じゃ。

もっとも、これほど曲がったペン先の調整前の書き味が何故わかるか?という疑問もあろうがな・・・


【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1h 修理調整2h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 


Posted by pelikan_1931 at 23:35│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック