2022年08月01日

〔萬年筆は刃物 V3 その4  金磨き布と8の字旋回について〕 アーカイブ 2014年10月

【四本のヘミングウェイ】に金磨き布の話を書くと聞いたとき、拙者はそのリスクを話し、止めといた方が良いよと言ったのだが・・・

古山さんの業界を盛り上げねば万年筆は終わってしまう!という強い危機感を聞いて掲載にGo!を出した。

そして下の話を聞いた時に、にんまりとしたものじゃ。

カリスマが世の中を動かす仕組みは、人の行動を予想することなのだと感じた。やはり古山画伯はカリスマじゃ!




古山画伯の著書【四本のヘミングウェイ】の中で、拙者が金磨き布の上で8の字旋回して仕上げしているという記述があったはずだ。

ご丁寧に、伊東屋では【四本のヘミングウェイ】の横に金磨き布が並べて販売されていた。 あまりの手際の良さに思わず金磨き布を追加で購入してしまった。

この金磨き布には大きなリスクがあった。この本が発行されたあと、長原先生のペンクリに、 8の字旋回をした結果、インクが出なくなったと青い顔した人がいっぱい来たとか。


長原先生は【たこ吉さんが長年かけて編み出した方法を形だけ真似してもだめですよ】 とたしなめたあと・・・

ペン先を水に入れ、ペン先のスリットをぺーパーでスリスリしたら、インクは再び出るようになったとか。

これこそが、古山画伯と拙者が仕掛けた【8の字旋回の罠】だったのだ。【四本のヘミングウェイ】は萬年筆愛好家には爆発的に売れることは予想された。

このヒットを利用して、萬年筆を壊す人を増やし、業界の売上に貢献しようというブラックな裏目標を立て・・・

自己調整でいかに萬年筆がすばらしくなるかという妄想をかき立て、壊す人を増やそうという謀略。

細字系のペン先は、耐水ペーパーで研磨して形を整えた後、ラッピングフィルムでエッジや表面を研磨すれば、極上の書き味に出来る。

(この表現にも、謀略が含まれているので注意

ただし、太字系の調整において、表面仕上げに10000番以上のラッピングフィルムを使うと、書き出し掠れが頻発する。

従って、プロは太字の表面仕上げにラッピングフィルムを使うことはまずない。

使うとしても、両方のペンポイントのエッジが、わずかに紙を擦る感じがイヤな時に、その場所を集中的に擦り、エッジを摩耗させる時だけ。

では金磨き布は何の目的で使うのか?実はこれ、ペンポイント表面へのバフかけ効果を狙っての作業。いくら丸く丸くを意識しても耐水ペーパーで削れば細かい角が表面に残る。

これにバフかけしてその角をとるために金磨き布の上で8の字旋回していた。

現在は金磨き布ではなく、秘密のペーパーを利用している。効果は同じだが、粉がスリットに残らないのがありがたいのでな。

金磨き布を使った際の弱点は、磨き粉がペン先のスリットに残り、それがインクの通りをじゃますると同時にインクをはじく事なのじゃ。

従って、金磨き布でバフかけした後は、超音波洗浄機などでスリットを洗浄するか、水で洗ってからサンドペーパーやラッピングフィルムでスリットをスリスリと擦ること。

この作業を怠ると、研磨粉がなくなるまでインクが出てこなくなる。

この部分を敢えて書かないで、新たな萬年筆を買わせようとしたのだが、この企みを長原先生に阻止されたことになる(笑。

金磨き布を使って仕上げたあと、スリットを掃除し、インク瓶にペン先を浸けてから書くと、夢のような書き味を体験できる。これで有頂天になってはいけない。

では・・・と、インクを吸入させて悦にいって書きまくり、キャップを閉めて床につき、翌朝書こうとすると、90%以上の確率で書き出しが掠れる。呆然とし、次にイラっとするはず。

実は、金磨き布の上での8の字旋回は(太字系の萬年筆にとっては)調整の最後の作業ではないのだ。むしろ、これからが調整の始まりといっても過言ではない。

太字萬年筆の調整方法には大きく分けて二つある。

★一つは、チャーチャーやCarちゃんで研磨したあと、2500番程度の耐水ペーパーでエッジを丸め、表面を擦って終わりにするやり方。

★もう一つは、それに8の字旋回(金磨き布や秘密のペーパーの上)を加えた後、5000番の耐水ペーパーで少しずつ擦りながら書き出し掠れを止めていくやり方。

後者は自己調整でしか出来ない技じゃ。なぜなら書き手の筆記角度、紙、椅子の高さ、机の高さ、使うインクなどは書き手にしか制御できないので、基本的には自己調整がベスト。

毎日少しずつ擦り、翌朝の書き出し掠れが起きるかそうかをドキドキしながら待つ!これこそが自己調整の妙味と言えよう。

太字の追い込み調整とは、実は書き出し掠れを最小化する事を意味するのだ!

実は、昨晩追い込み調整が完了した萬年筆(ペン先はB)が2本ある。これらを24時間ぶりにキャップを外し、尻軸に被せて、ペン先をそっと紙に落とし、そっと横線をひいてみる。

書き出し位置から少しも掠れることなく、インクが綺麗に紙に乗る。これこそが太字追い込み調整の効果なのじゃ。

これは自己調整でしか味わえない妙味。ぜひお試しあれ!二ヶ月もかければ誰でも成功する!(罠?) 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック